独占有名人インタビュー:滝藤賢一「漫画の悪役 大好き!」
更新日:2017/04/28 10:00
「るろうに剣心」「テラフォーマーズ」「重版出来!」など、数々の漫画実写化作品に出演し、視聴者へインパクトを与えている俳優・滝藤賢一さん。漫画との関わり方、話題作の舞台裏など、たっぷり語ってもらいました! 滝藤さんが演じてみたい漫画のキャラクターとは?
滝藤賢一
好きな漫画作品に出るのは素直に嬉しい
――これまで数多くの漫画実写化作品に出演された滝藤さんですが、ご自身としては普段どれくらい漫画を読みますか?
漫画を一番読んでいたのは、小学生~高校生の頃でしたね。大人になってからは、ドラマ『重版出来!』(2016年)や映画『テラフォーマーズ』(2016年)とか、漫画原作の作品に出演させていただくときに読むことがほとんどです。
――漫画原作の実写版に出演する際、どのように役作りをしているのでしょうか。
その作品のファンの方々がいらっしゃるので、原作に忠実に寄せるのか、自分のイメージで作ってしまうのか、なかなか難しいです。監督の演出もありますし。映画『るろうに剣心』(2014年)では、佐渡島方治(さどじま ほうじ)というキャラクターを演じさせていただきましたが、僕が全く寄せてなかったような…。
――原作「るろうに剣心―明治剣客浪漫譚―」 (和月伸宏/集英社) は、もともと読んでいましたか?
当時、「週刊少年ジャンプ」(集英社)の連載で読んでましたよ。「るろうに剣心―明治剣客浪漫譚―」 (和月伸宏/集英社) は好きだったので、お話をいただいたときは嬉しかったです。「えっ、方治!?」とは思いましたけど(笑)。
――佐渡島方治は、日本征服を目論む大ボス・志々雄真実(ししお まこと)に仕える参謀という重要な役どころでしたね。
原作は“百識の方治”という異名があって、頭脳明晰なキャラクターでしたが、映画では、その要素は皆無でした(笑)。最後、あっさり殴られて終わっちゃいましたけど(笑)。
――原作ありきの映像化作品を演じる難しさはありますか?
漫画に限らず小説にしても何にしても、原作の壁は高いと思います。それを映像化した映画やドラマは、また別物として考えるようにしています。とは言いながらも原作には多くのヒントが隠されているので、しっかり拾って役柄に肉付けをしていくことは必ずしています。
滝藤賢一
――「テラフォーマーズ」 (貴家悠、橘賢一/集英社) の場合、映画では日本人乗組員の手塚俊治(てづか しゅんじ)役で、原作は外国人のテジャズ・ヴィジというキャラでしたね。
連続殺人犯で、女性のネイルフェチという映画オリジナルの独特なキャラでした。伊藤英明さんも山下智久さんも変身姿が格好よかったけど、僕の変身姿もめちゃくちゃ格好よかったと思いませんか?
――自らが噴射するガスの勢いで車両を走らせるところですね。序盤のかなり盛り上がるシーンでした。
あのシーンの撮影は大変でした(笑)。朝から晩まで特殊メイクの状態でいたので、食事は口先の尖った部分にストローを差してゼリーを吸うんですが、ゼリーの弾力が半端なくて…。吸っても吸っても上がってこなくて酸欠になりました(笑)。
あと、ガス噴射で頬が膨らむときに、中の風船にチューブを通して空気を送る度に、顔の特殊メイクがバリバリっとはがれて痛いんですよ。とにかく過酷でしたね。
――滝藤さんは役作りをはじめ、準備を徹底して撮影に臨むそうですね。
時間が許す限りです、それが仕事ですから。『テラフォーマーズ』は厳しい撮影になると事前に知っていたので、共演者の伊藤英明さんやケイン・コスギさんにトレーニングや食事法を教わって、体を作っていきました。その後、ドラマ『重版出来!』(2016年、TBS系)の漫画家・高畑一寸(たかはた いっすん)役で裸になるシーンがあったので、デカくなった体をギュッと絞って美しい背面を目指しました。ガリガリのイメージなのに、脱いだら、まさかのブリッブリってめちゃくちゃ面白いじゃないですか。なんて勝手に自分で楽しんでいます(笑)。
滝藤賢一
- 青年漫画 テラフォーマーズ
- 3.8 (701件)
「全く見た事のないものと出会う時、人間は人間ではいられない。」 西暦2599年──。火星のテラ...
三五十五の成長に興奮!
――お仕事に関わるもの以外だと、どんな漫画が好きですか?
「柔道部物語」 (小林まこと/講談社) が好きで、高校時代ずっと読んでいました。懐かしいなあ。高校から柔道を始めた主人公・三五十五(さんご じゅうご)が、その名の通り“掛け算”でどんどん強くなっていくんですよ。
中学までは吹奏楽部で柔道とは程遠い世界にいた三五が強くなっていく。話を追うごとに、三五の体格が屈強になり、絵自体もどんどん洗練されていくので、とても惹き込まれてました。
――特に感情移入していたキャラはいますか?
いいキャラはいっぱいいるんですが、三五のライバル・西野新二(にしの しんじ)の無敵感は凄まじかった。
何度も読み返したくなるのは、このクライマックスの三五と西野の戦いですね。絵の躍動感もすごい!
三五の一本背負いを片手だけでこらえて、負傷してしまった西野はどんどん追い込まれていく。絶対強者の西野が負けそうになって必死になるところがグッときます。
そして、その西野を凌駕しつつある三五の表情。最高に集中しているときのタコ口は、どこかおかしいはずなのに、めちゃくちゃ格好いい!! しびれます!
――滝藤さんが集中しているとき、三五のように思わずやってしまうことはありますか?
「無名塾」(俳優養成所)に在籍していた頃、主宰の仲代達矢さんから「集中は拡散」と教わったんです。僕は芝居をするとき、全体の状況を俯瞰して見るようにしているつもりなんですが、たとえば電車が通ったり、強い風が吹いたり、何か突発的なことが起こると気が散漫になってしまう。でも、そういう周りのものすべてが邪魔にならず、すべてを受け入れて芝居ができる状態、それが僕にとっての集中ですね。
――例えば、オリンピック選手が瞬間瞬間で出すアドレナリンみたいなものでしょうか。
ある種、人間の潜在能力みたいなものなんですかね。あの感覚になることは滅多にありませんが、一瞬でもあれを味わってしまったら、もう俳優を辞められないです。あの瞬間を追い求めて、さまよい続けるんです(笑)。
滝藤賢一
演じるならアクの強い悪役
「寄生獣」 (岩明均/講談社) も好きで、これも高校の授業中によく読んでいました(笑)。だから、映画版の『寄生獣』(2014年~2015年)にも出演したかったです…。
浅野忠信さんが演じたパラサイトの大ボス・後藤(ごとう)や、北村一輝さんが演じたパラサイトかと思いきや人間だった広川市長とか、いいですよね。
漫画を読んでいた当時は、そのインパクトや発想力に驚かされました。人間が人智を超えた力を手に入れることで、身体能力がグンと上がったり、テレパシーみたいなものが使えたり、自分にも実際そういうことが起こったら面白いだろうなって。
- 青年漫画 寄生獣
- 4.5 (718件)
ごく普通の高校生・新一は、ある晩部屋で、ヘビのような生物を発見する。叩き潰そうとしたその生物は...
――これまでも色々と漫画のキャラを演じられていますが、やってみたいキャラはありますか?
いっぱいありますよ。「ONE PIECE」 (尾田栄一郎/集英社) ならバギー、「北斗の拳」(武論尊・原哲夫/ノース・スターズ・ピクチャーズ)だとジャギ、「DRAGON BALL」 (バードスタジオ/集英社) は、ギニュー特戦隊。やっぱり主役よりも悪役に惹かれますね。
――しかも、良い意味でクセのある、味わい深い悪役なので、滝藤さんにすごくマッチしそうですね。
「ONE PIECE」 (尾田栄一郎/集英社) はウソップも捨てがたいんですけど、大泉洋さんが一番でしょ(笑)。
――アクの強いキャラを演じる方がご自身としてもしっくりくるんでしょうか?
なぜかそういうオファーをいただくことが多いだけなんですよ(笑)。シンプルに削ぎ落として余計なことはしない、というのが理想ではあるんですけど、僕の場合、それだけじゃこの世界で生き残れない。変わったことをして、面白いと思ってもらわないと次がなかったんです。
- 少年漫画 ONE PIECE
- 4.4 (6897件)
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僕の代わりなんかいくらでもいる
滝藤賢一
――めちゃコミック10周年にかけて、滝藤さんは“10年”というものをどう捉えていますか?
振り返ると、僕の人生は10年周期で色んなことが大きく変わってきました。20~30歳の10年は「無名塾」で舞台の芝居をやって、30代では映画『クライマーズ・ハイ』(2008年)でチャンスをいただき、そこからの10年は映画やドラマなどの映像作品をやらせていただきました。30代のときは、「まだ諦められない」というかどこかで無理だと分かっていながら、主役をはる役者を目指していたところもあったんです。
でも、尊敬する先輩俳優さんから「滝藤君の代わりなんかいくらでもいるからやらないとダメだよ」とアドバイスをいただき、40歳からは、オファーをいただいたら、スケジュールが許す限り、迷惑をかけない限りフル回転でやる、というスタンスに切り替えました。だから、この先の10年、40~50歳までは身体のメンテナンスをしながら休みなく働き続けることが目標です。
子どもが自立するまで死ねないですから。また、さらに先の50、60、70歳のステージはどうなっているのか、もちろん変化していくことは楽しみではありますが、この厳しい世界に生き残っていられるのか恐怖ですよ…。
滝藤賢一
好きな漫画を絡めつつ、俳優という仕事、話題作出演の舞台裏について、とても濃いお話をしてくれました!
滝藤さんの次の10年はどんなステージになるのでしょうか。これからも応援しています!
写真:原 恵美子
ヘアメイク:内城千栄子
プロフィール
滝藤賢一(たきとう けんいち)
映画やドラマ、CMなどで幅広く活躍中。映画『クライマーズ・ハイ』(2008年)で一躍脚光を浴び、ドラマ『半沢直樹』(2013年/TBS系)の近藤直弼役で一気に知名度を高める。映画『るろうに剣心』(2014年)、『テラフォーマーズ』(2016年)やドラマ『重版出来!』(2016年/TBS系)などの話題作に次々出演し、その独特の存在感で多く視聴者を魅了する名俳優。
【ドラマ】『貴族探偵』(フジテレビ系)毎週月曜日21:00~放送中
【映画】『関ヶ原』2017年8月26日公開
◆エージェントオフィス タクト 滝藤賢一 公式プロフィール
http://www.ag-tact.com/Talent/Kenichi_Takitoh
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作者
小山喜崇
昼は編集者、夜はイラストレーターとして働く。好きな漫画は、吉田戦車や和田ラヂヲ、漫☆画太郎などのギャグ作品。記事タグ
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