独占有名人インタビュー:堀江貴文 「自分の知らない世界を見れるのが漫画のいいところ」
更新日:2017/05/12 10:00
ホリエモンこと堀江貴文さんが、「めちゃコミック」インタビューに登場! 実業家としての活躍だけでなく、歯に衣着せぬ鋭い発言でも注目を集める堀江さん。彼は普段どんな漫画の読み方をしているのか、好きな作品から電子漫画シーンのことまで、大いに語ってもらいました。
堀江貴文
漫画ほど電子に向いているものはない
――漫画好きとしても知られている堀江さんですが、普段どのように漫画を読んでいますか?
全部ではないけど、ほぼ電子です。新刊で電子書籍化されるまで時間のかかるものや、電子版が出ない作品については、本で買います。基本的に、紙だとかさばるし、汚れることもあるので、面倒なんですけどね。紙が良いというユーザーはかなり少数になってきていると思います。
――生活からできるだけムダをなくすという堀江さんが、電子書籍に移行したのはいつ頃だったんでしょうか?
刑務所に入ったときですね。いい機会だったし、断捨離しようと思って、自分が持っている書籍を人にあげたりしてほとんど処分しました。漫画は本当に好きな作品じゃない限り、何回も読み直すことはないですからね。断捨離する前は漫画本コレクションがあったけど、僕の家に遊びに来た人が読むときしか活躍してなかったし、必要ないかなって。
――自分の楽しみで読むのとは別で、漫画というコンテンツをどう捉えていますか?
当たり前なんだけど、売れている漫画ってやっぱり面白いし、かなり昔の漫画でも面白い作品はいつ読んでも面白い。漫画って賞味期限が長いので、何十巻と出ているものは課金すれば儲かるし、すごく有望なコンテンツなんです。でも、親や先生に「漫画は勉強の邪魔」とわけのわからないことを教えられて育ち、それを盲目的に信じて漫画を習慣的に読まない人はまだまだ多いし、その層へ向けたマーケットはこれまで全然開拓できていなかった。そこへスマホやタブレットが普及したことで、今まで漫画を読まなかった、恥ずかしくて読めなかった、漫画の面白さを知らなかった層が、電子書籍経由で読み始めている。電子の良い点はこっそり読めるところ、そういう意味では漫画ほど電子媒体に向いているものはないんです。
堀江貴文
――今では、漫画の描き手側の環境も変わってきていますよね。
若手の漫画家志望の人が出版社の由緒ある賞を獲って商業誌でメジャーデビュー、といった昔からの王道パターンがあるけど、必ずしもそれだけが道ではないですからね。せっかく漫画を描いて持ち込んだとしても、そのときの担当者のセンスだけで決まるところもあるから、そこで却下されて「才能ないんだ」と落ち込んでしまうのもちょっとね…。今の時代、ネット上で自分の漫画を発表して、一定の層に刺さって話題になれば、どんどん広まっていくこともあるので。
――ネット発の漫画で、堀江さんに刺さった作品はありますか?
ネットの漫画はよく読むんですけど、「さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ」 (永田カビ/イースト・プレス) が良かったです。pixiv(ピクシブ)コミックから火がつき、書籍化されて売れてますよね。
音楽業界だと、曲は無料で出してライブで稼ぐとか、最先端の現場ではすでにCDを“売らない”というところまで来ています。友達のバンドマンから、CDをたまに渡されるんですけど、僕はデバイスを持っていないから聴けないんですよ。iTunesや音源データがあれば、すぐポチるのに。紙の書籍の話と同じように、CDへのこだわりみたいなものもまだある。僕は正直、CDの中身はお菓子のゴーフルを入れておいて、QRコードとかを付けてダウンロードさせる形で良いと思うんですよ(笑)。
ホリエモンの漫画観から結婚観まで
――堀江さんの青春時代は、どんな漫画を読んでいましたか?
昔から広く読んでました。漫画雑誌だと、中学生のときに「週刊少年ジャンプ」(集英社)を卒業して、その後「週刊ビッグコミックスピリッツ」(小学館)や「週刊ヤングサンデー」(小学館)に移って。大学時代は「モーニング」(講談社)とか「近代麻雀」(竹書房)ですね。
――子どもから大人になるにつれて、スピリッツとかヤンサンなどのヤング系に移っていきますよね。
あの頃は、「MASTERキートン」(浦沢直樹/スタジオナッツ・勝鹿北星・長崎尚志/小学館)や、「パイナップルARMY」(工藤かずや・浦沢直樹/小学館)が好きでよく読んでました。
――特に好きなジャンルはありますか?
ノンフィクションに近いフィクションが好きですね。実際のモデルがいたり、実際に起こりそうなことが題材のものとか。「さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ」 (永田カビ/イースト・プレス) は、「不器用だなあ」「こういう人がいるんだな」って思いながら読んでました。自分がその登場人物に自己投影や共感するのではなく、その登場人物への興味という部分が大きいです。
――漫画に感情移入して読むということはないんですね。
感情移入はあまりしないけど、感動したり、思わず涙が出ることもあります。
世界一のジャズプレイヤーを目指す青年の成長を描く「BLUE GIANT」 (石塚真一/小学館) は、僕自身絶対に主人公のようにはなれないし、一歩引いた目線で読んではいるんですけど、あの作品には心を動かされました。自分が知らない世界や人間を見ることができる、それが漫画のいいところです。
- 青年漫画 BLUE GIANT
- 4.3 (471件)
僕は必ずしも共感するために漫画を読んでいるのではないので、ドラマ化もされた「東京タラレバ娘」 (東村アキコ/講談社) なんかは、「アホだなー、こういうの実際あるわ」って楽しみながら読みました。アラサー女性は、あんな感じの人が多いですよね。なんで皆そんな結婚に固執するんだろうって疑問です。知り合いの女性と話しても、直接は言わないけど「ホントにあんな男と結婚していいの?」と思うこともあって、半年経ったらやっぱり離婚していたり。結局、結婚スタンプを押したいだけなのかなって。
――ちなみに、堀江さんの結婚観は?
僕は結婚しないですよ。でも、結婚式を見に行くのは好きです。「茶番だなー」と思いながらも、両親への手紙でホロっとしたり、こんな参加費(ご祝儀)でこんな良い人間ドラマを見れていいのかなって。
女性が結婚にこだわるのは、子どもを産む能力を有効活用しなければならないと思い込んでいるからだと思います。妊娠に限らず、人間なら誰でも自分が人より優れている能力や資格、モノを持っていればそれを活かさなきゃ!と考えるんですよ。でも、本当に子どもが欲しいのか、本当にそれがやりたいことなのかと突き詰めたときに、そうではない人も少なくないんじゃないかな。子育てより楽しいことは世の中たくさんあるし、子どもがあまり好きじゃない人もいる。でも、そういうことは言いづらいし、僕は言えるけど言うとめちゃくちゃ批判されますからね。
――世の中の規範にとらわれ過ぎてしまっている部分はありますね。
子育てをしている人たちの「自分たちも大変だから、みんなもそうした方がいい」みたいな巻き込みたい症候群があったり、規範の中で生きている親からプレッシャーをかけられている人も多いと思います。本当に大事なのは“自分がどうしたいか”のはずなのに。
堀江貴文
これも何かの縁ですかね
――めちゃコミック10周年にかけて、堀江さんの“10年”とは?
“10年前”だと、僕が人生で最も仕事をしていなかった時期です。あの頃、弁護士から表に出るなと言われていたのと、ゴルフにハマっていたこともあって、ガラケーでゴルフ漫画ばかり読んでました。「GOLFコミック」(秋田書店)というゴルフ漫画専門の雑誌もありましたね。
「キャディ愛」(沼よしのぶ/秋田書店)や「風の大地」(坂田信弘・かざま鋭二/小学館)とか、面白いゴルフ漫画は多いです。中でも、最初は「週刊ゴルフダイジェスト」(ゴルフダイジェスト社)、移って「週刊パーゴルフ」(グローバルゴルフメディアグループ)で連載されていた「千里の道も」(大原一歩・渡辺敏/ゴルフダイジェスト社)が大好きでした。
思い出すのが、以前タイのバンコクに旅行していたとき、現地の紀伊國屋書店に寄ったら、日本人観光客向けコーナーに「千里の道も」が置いてあったんですよ。それを買って読んでいたんですけど、なぜか9巻だけなくて、続きがめちゃくちゃ気になっていたら、電子コミックで「千里の道も」を見つけたんです。当時は、ガラケーだし、海外パケ放題もないから、パケット通信料が不安だったんだけど、読みたい衝動を止められなくて…。日本に帰って来て驚愕、20万円近くパケット料を払いました。今はスマホで、海外でもどこでも安くて簡単に読める、いい時代になりましたよね。今回、めちゃコミックのインタビューでこれを話すのも何かの縁なのかなって(笑)。
堀江貴文
自身の漫画観や漫画業界について、はたまた結婚観まで、鋭い視点でお話してもらいました! まさにホリエモン節炸裂のインタビューで、シビレました!
写真:原恵美子
プロフィール
堀江貴文
1972年、福岡県生まれ。「ホリエモン」の愛称で知られる事業家。96年 東京大学在学中に、有限会社オン・ザ・エッヂ(後のライブドア)を起業、2015年にSNS media&consulting 株式会社を創設。現在、宇宙ロケット開発をはじめ、様々な事業を展開している。漫画好きが高じて、レビューサイト「マンガHONZ」も運営する。主な著書に『ゼロ』(ダイヤモンド社)、『面白い生き方をしたかったので仕方なくマンガを1000冊読んで考えた』(KADOKAWA)、『錬金』(徳間書店)などがある。 ◆堀江さん公式Twitter https://twitter.com/takapon_jp
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作者
小山喜崇
昼は編集者、夜はイラストレーターとして働く。好きな漫画は、吉田戦車や和田ラヂヲ、漫☆画太郎などのギャグ作品。記事タグ
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