5.0
シベリア抑留
私の父は外地からの引揚者です。終戦後、工場を風邪で休んだ父は、その日、工場長と若い男の人が、ソ連兵に連れていかれたことを知りました。工場長は結婚したばかりで、抑留された後、病死したそうです。父はすぐに、妻と子を連れ、病気の祖母を背負って、北朝鮮から、南朝鮮まで、歩き、舟に乗り、逃げたそうです。そして、南朝鮮で、引き揚げ船を待って、帰国したそうです。母は終戦日と言いたくないと言っていました。 敗戦日つぶやく母は引揚者
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私の父は外地からの引揚者です。終戦後、工場を風邪で休んだ父は、その日、工場長と若い男の人が、ソ連兵に連れていかれたことを知りました。工場長は結婚したばかりで、抑留された後、病死したそうです。父はすぐに、妻と子を連れ、病気の祖母を背負って、北朝鮮から、南朝鮮まで、歩き、舟に乗り、逃げたそうです。そして、南朝鮮で、引き揚げ船を待って、帰国したそうです。母は終戦日と言いたくないと言っていました。 敗戦日つぶやく母は引揚者
大まかな知識としては知っていても実感を伴ってとらえることがなかったシベリア抑留。
その凄惨さが描かれており、
思わず最後まで一気に読んでしまいました。
S20.8.15といえば終戦記念日ですが、
抑留者にとってはそれからが、長いシベリアでの戦いの始まりだった訳です。
理不尽で非道な扱い、強制労働、飢えと寒さ、疫病の蔓延など辛酸をなめ尽くされた抑留者の方々に捧げる適当な言葉が見つかりません。
また、終戦したのに故国日本の土を踏めず、シベリアの凍土にてお亡くなりになった方々のご冥福をお祈りします。
帰国された方への補償が不充分で遅かった事や、亡くなった方の遺骨の返還が進まない事は大変残念であり、解決されるべきで忘れてはいけない事だと思います。
この作品がもっと世に知られる事を願いますし、
私もシベリア抑留を取り上げたノンフィクションを
もっと読もうと思います。
近代の歴史の中であまり語られることのない話を作品として残してくれた作者。私たちの世代は戦争とは無縁の豊かな社会で生きてきているけどそれが当たり前じゃなかった世代の人間が同じ社会で同じ国で生きているんだということを感じました。劣悪な環境の中で国のために亡くなっていた方の無念なども感じました。すごい作品。
作者のお父様の実体験の漫画化ということです。
シベリア抑留については色々な方の体験談を見聴きしてきましたが、この作品もまた大変貴重な真実の物語です。
体験したご本人が記憶の底に封じ込めていたものを聴きだして漫画化されたとか。
買って損はありません。
絵が優しいので厳しい内容の作品でしたが読み進めることができました。
夫の亡き祖父が戦争経験者で戦地であった話は一切話さなかったそうです。。本人が黙るそうです。
そして必ず、戦争なんてするもんじゃない、それだけ言って席を外してしまう。
今も戦争が起きてますが何かを得ることはなく
失うものが多すぎます。
ユーモアたっぷりでおおらかで
人徳のある祖父がシベリア抑留経験者でした。
折に触れて関連本などを読んでみるのですが、この作品は具体性にあふれ、切実で個人的でとても良いです。
たくさんの人の目に触れてほしいです。
祖父もインパール作戦にむかう途中、マラリアにかかり、島の洞窟に部隊で隠れて終戦を迎えたそうです。祖父から直後戦争の体験を聞いたことは一度もなく、それだけ苛酷な日々だったのだと思います。生きて帰って来てくれたこと、ただただ感謝ですね。
以前Twitterで紹介されているのを見てずっと読みたかった作品でした。
嘘であって欲しい!まさかと思うような現実がそこにはあります。読んでてしんどいです。が、目を逸らさずに知りたい戦争の歴史だと思います。
絵が簡素だからこそ、描かれているものに心が入る
淡々と動く時間の中で、どんなことをして、どんなことを考えていたのか
この時代の若者たちが、どんな生活を送っていたのか
その辛さと理不尽さが静かに語られる
重い
ほんわかとした、絵柄なのが、余計に切なくなります。テレビや本では学んでいましたが、一人にクローズアップしている所が新鮮でした。少しですが、作者がこの作品を書き始める過程があるのも良いと思います。