4.0
罪と許しと無償のサムシング
まず、元受刑者の造形がいい。
この漫画は、不運にも犯罪者になってしまった善人と、その社会復帰を支える保護司の人情物語、ではない。
元受刑者は、極悪人ではないにせよ、読者が全面的に同情できるような悲劇のヒーローでもない。
微妙だ。
気の毒ではあるが、正直、「そんなザマやから犯罪者になんねん」と言いたくなる面もあり、その微妙さが、罪と、それを許すことの難しさや複雑さを、私たちに問いかける。
また、この漫画で、保護司は無償なのだと知り、愕然とした。
はっきり言って、私なんか、百万回生まれ変わっても、そんな仕事を無償ではやらない。
そんな大切な仕事がボランティアに依存しているとは、知識もない中での感情論で申し訳ないが、国家のシステムとしてトチ狂っているとしか思えない。
ただ、主人公の「無償なのにやる、ではなく、無償だからやる」のだ、という主張には、ハッとした。
読んだところまで(13話)ではまだ明らかになっていないが、この主人公自身もおそらく、何かの罪を抱えているのではなかろうか。
それが、社会的に裁かれる罪かどうかは別にして。
「無償なのに」ではなく、「無償だから」。
そういう生き方も、あるいは、償い方も、あるのだろう。
繰り返し、私は百万回生まれ変わっても、そんな生き方は出来そうにないのだけれど。
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