rokaさんの投稿一覧

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161 - 170件目/全509件
  1. 評価:2.000 2.0

    何なんだよ

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    どちらかと言えば地味な主人公の女性が、ルックス抜群のエリートから突然(と言っていいと思う)プロポーズをされるが、実はその男は全国各地に自分の子どもを産ませるための女性を作っていた、自分の遺伝子をそこらじゅうに残すためにね、という話。
    何なんだお前は。

    男の自宅の壁には巨大な地図があり、子どもが生まれた地方にはその子どもの名前のメモが貼ってある。
    (例えば北海道の地図には「雪」というメモが。)
    それが後になって、主人公が男に対して決定的な疑いを持つ伏線になる、というかそんなのは伏線とも言わないが、とにかくまあ、馬鹿じゃないのかお前は。

    ジャンル的には、紹介文ではサスペンスとなっていたけれど、もうほとんどギャグの領域だと思う。
    ここまで非現実的な設定をもってサスペンスを成立させるには、相当な技量が必要だけれど、個々のキャラクターの造形もとことんペラペラなので、ただひたすらに滑っているという印象しかない。
    申し訳ないが、こういうのを真面目なサスペンスみたいにやられるのは、本当に寒い。

    • 3
  2. 評価:2.000 2.0

    どうでもいい

    結婚、妊娠、新居のマンションに引っ越し…ところがそのマンションが何かおかしい、という話。

    主人公は、誰かや何かに価値や愛情を持っているのではなく、結婚「というもの」をして、家庭「というもの」を持つことが幸せなのだ、と何の疑いもなく思い込んでいる人間で、私が最も嫌いなタイプの人間のひとつである。
    この時点で相当げんなりしたが、まあ、それはいいとしよう。

    ただ、サスペンス的な空気を漂わせているわりに、諸々の謎の吸引力のなさは致命的である。
    誰もが秘密を抱えて生きている、的なことがテーマのひとつなのだろうが、それがまあ、あまりに薄っぺらくて、どうでもいい。
    主人公を悩ませる奇妙な出来事も、誰かの悪意なのか、主人公自身の妄想なのか、それも、どうでもいい。
    主人公が彼女の言う「幸せ」をつかもうが、目を覚まして新たな幸せを目指そうが、はたまた地獄に落ちようが、それも、どうでもいい。
    もう、ひたすら、何もかもが、どうでもいい。
    そんなふうに、何やら自暴自棄のような気持ちになる作品だった。

    • 4
  3. 評価:4.000 4.0

    押切蓮介とオカルト

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    一応ホラー漫画に分類していいかと思うが、かなりの異色作である。
    作者が見聞きした話、あるいは作者自身が体験したことを基に描かれるのだが、各話の後に、すぐに押切蓮介自身による解説というか、あとがき的なコメントが入る。
    それがまた、結構なネタバレになっていて、「この話は聞いた話から想像したものだ」とか、「この話は実際に起きたことにかなり盛っている」とか、「おいおい、それはホラー漫画としては言わない方がいいんでないの」ということが結構あって、それがまあ、押切蓮介らしいと言えばらしくて、面白いのだが、漫画作品として見た場合には、どこか散漫な印象も受ける。

    しかし、冒頭の「赤い家」と、最終話の「おばけなんていないさ2」の破壊力は圧巻で、私は激しく胸を打たれた。
    ホラー漫画として優れた作品だった、ということでは全くない。
    作者の言わば自伝として、押切蓮介という人が、どのような経緯で怪奇に興味を持ち、どのような思いで「幽霊をぶん殴る」というギャグ漫画を描いてきたのか、そして現在、オカルトに対してどう心境が変化してきたのか。
    それを知って、ほとんど泣きそうになった。

    オカルトが好きな人、嫌いな人、色々あるけれど、オカルトに対してこれほど複雑な愛憎を持ち合わせている人間というのは、他にいないんじゃないかと思う。
    だが、押切蓮介は、それをシリアスに語るというよりは、あくまでギャグに近いものとして、漫画の中で描いている。
    それが、何より素晴らしい。

    • 8
  4. 評価:4.000 4.0

    半ば狂人

    作者が、私の好きな押切蓮介の盟友である、ということで読むに至った。

    この清野とおるという人は、半ば狂人ではないかと思う。

    作者の実体験に基づく漫画だが、感性と行動力がぶっ飛んでいる。
    幽霊の存在を確かめたくて心霊スポット的な場所に行く、まではよしとしよう。
    そこでなぜか一人で酒を飲む、というのも、一般の理解からは遠いところにあるが、まあ、ギリギリよしとしよう。
    それによって得られる奇妙な昂揚感が病みつきになるというのも、ついでだから、セーフにしてしまおう。
    しかし、この男は、例えば幽霊が現れるという話を聞いたマンションの一室の前に、何も知らない自分の知人を、次々と連れて行く。
    彼らが何か霊的なものを感じるかもしれない、ということを期待して。
    ここだ、問題は。
    これだけは、まともな人間には絶対に出来ない。
    幽霊の噂がある場所だ、ということを後で明かして、「実はここってさー」などと怖がらせるためではないのだ。
    作者はあくまで純粋なデータ収集というか、心霊の裏づけ欲しさにこれをやっている。
    そんなことに人を巻き込むか、普通。

    変人を気取ったりライトな狂気を演じたりしながら、自分自身では「装っている」ことに気づいてすらいない、という人間は世の中に多くいる。
    「俺ってちょっと変わってるから~」とか言うアレである。
    まあ、それはいい。
    それはいいのだが、清野とおるは、全く違う。
    完全に自然体で狂気をまとっていて、マジで恐ろしい。

    別にこういう人が世の中にいてはならないとは思わないが、私は多分、友達にはなれない。
    この人の漫画を読むぶんには楽しい。
    だが、誰かが言ったように、遠くから悪魔に手を振るのと、悪魔と手を繋ぐのは全く別の話だ。

    そういうわけで、結局、押切蓮介も尋常ならざる人間かと思われる。

    • 10
  5. 評価:3.000 3.0

    アイムソーリー、ラブコメ

    学校を舞台にしたオカルト空間の描写はなかなか秀逸で、ときにハッとするような美しさがあった。
    ただ、そんなことがどうでもよくなるくらい、不思議なことがある。
    私はかなりのオカルト好きだし病的な妖怪好きであるが、びっくりするくらいハマれなかった。
    おかしい、これはどういうことなのだろう。

    本作、題材はオカルトだが、ジャンルはまあコメディと言ってよいのかと思う。
    それは別に全然構わない。
    私は「妖怪の飼育員さん」という妖怪ギャグ漫画が大好きで、満点をつけた。
    しかし本作をコメディとして評価しようと思うなら、申し訳ないが、私はクスリとも笑えなかった。

    まあ、本作、コメディはコメディでも、一種のラブコメだ。
    怪異という名の衣をまとったラブコメ。
    「ラブコメなんかじゃない!」と主張したい方、まあ、待って下さい。
    じゃあ聞きますが、これ、主人公が女の子、「花子さん」でも成立します?
    そういうことだ。

    ミもフタもない言い方をするが、私はこの「ラブコメ」というのが決定的に苦手である。
    というか、苦手である、ということに、今気づいた。
    別に漫画に限らず、世の中には、「私は興味ないけど、それを楽しいと感じる人がいるのはわかる」という物事がたくさんある。
    キャンプもサーフィンも私にとってはそうである。
    ただ、この「ラブコメ」なるものは、マジでわからない。
    ラブコメ好きの皆さん、ごめんなさい、でも、マジでわからない。
    これはレビューなんかで絶対に書いてはいけない一言かもしれないが、「何が面白いんですか?」

    嗚呼、今まで書いてきたレビューの中で、一番ひんしゅくを買いそうだ。
    消されるかもしれん。

    いや、ちょっと待てよ、じゃあ私は今まで読んだラブコメ漫画をどう評価してきたんだ、と思って、500以上のレビューをざっと見てみたが、信じられないことに、正統なラブコメと呼べそうな漫画はひとつもなかった。
    この数年というもの、私は無意識にラブコメの地雷を回避しながら漫画生活を続けてきたことになる。
    何だよその危機管理能力。

    ジャンル自体の否定のようなレビューになって、申し訳ない。
    ラブコメに責任はない。
    悪いのは私だ。
    ただまあ、ひとつ言わせてもらうと、私はオカルトが大好きだから、心のどこかでは、思ったのだろう。
    オカルトを、ラブコメの飾りにすんなや、と。

    • 12
  6. 評価:4.000 4.0

    限りなく等身大

    私の好きな押切蓮介の漫画家生活を描いたエッセイ風の漫画。

    私が初めて読んだ押切蓮介の漫画は「ミスミソウ」だった。
    今まで読んできた全ての漫画を思い返してみても、あれほど深く感情を抉られた作品というのは他にほとんどない。
    一体どんな人があんなものを描くのだろう、という興味はずっとあって、本作を知り、手に取った。

    本作を読んでしみじみ感じたのは、どんなに強烈な作品を世に送り出す漫画家でも、やはり人間なのだ、ということだ。
    それは当たり前の事実なのだけれど、私たちは基本的に、知らない。
    あのホラー漫画やあのギャグ漫画を描いている人々が、どんな日常の中で、何を思い、どんな地獄を抱えながら、ネームを提出しているのかを、知らない。

    だからといって、別に、本作で押切蓮介がわかったと言う気もない。
    作者、というものをナメてはいけない。
    エッセイだろうが日記だろうが、作品は作品であり、作者は作者であって、現実の人間ではない。
    ただ、この漫画で描かれた押切蓮介の姿は、限りなく赤裸々で、等身大に近いように思えたし、おどけながらも自分の血肉を紙面に塗りたくるような飾らない姿勢には、好感を持った。

    こういう生活の中から「ミスミソウ」が生まれたのかと思うと、何だかちょっと、胸が熱くなった。
    「ミスミソウ」は、あまりに心にかかる負荷が大きく、一度読んだきり、読み返す決心がつかないでいる唯一の漫画なのだけれど、本作の押切蓮介に敬意を表して、もう一度読んでみようかな、という気になった。

    • 6
  7. 評価:2.000 2.0

    短編という無茶な形式

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    最初に断っておくが、私は短編という形式が、漫画も小説も好きである。
    その前提で書くが、本作が「短編である」ということそれ自体に、いくら何でも無理がある。

    超能力者みたいなのが生まれる村。
    能力を持たずに生まれた子は生け贄みたいな存在として葬られる村。
    そこで生まれた双子の兄弟。
    弟は将来を嘱望される天才的な能力者であり、一方の兄は能力を持たない。
    「双子だからいずれ能力が目覚めるはず」という理由で生を奪われなかった兄は、弟に対して劣等感やコンプレックスを持ちながら育つのだが…。

    どうですか?
    壮大なスペクタクル巨編が始まる予感がしませんか?
    だが、繰り返す、5話完結である。
    そんな無茶な。

    もちろん、長くしようが短くしようが、制作者サイドの自由なのだが、物語のフォーマットによっては、どうしても語るのに最低限必要な「尺」というものがある。
    およそ思いつく限りで、これほど短編に相応しくないタイプの話もないのではなかろうか。
    どういう事情で成立した作品なのか知らないが、ちょっと無茶苦茶だと思う。

    • 3
  8. 評価:3.000 3.0

    ダイナミック

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    最初は、絵柄(特に登場人物の)がホラー漫画にあまり向いていないような気がしたのだが、恐怖表現の描写にはなかなか迫力があって、「おー」と思った。

    特に、最初の探偵のエピソードは、探偵が主人公なのか何なのか微妙な位置で始まるので、それがあっさり噛ませ犬として退場した展開には、よしよし、と思った。

    ただ、いかんせん、心霊現象がダイナミックに過ぎる。
    もちろん、私は「本物の」心霊現象がこういうものだ、ということを実感を持って知っているわけではないけれども、ここまでくるとさすがにファンタジーの域である。
    それがホラー漫画にあってはならないわけではないものの、作品にはやはり「枠組み」みたいなものがあって、本作のホラー描写は、いささかそれを逸脱しているように感じられ、あまり入り込めなかった。

    • 5
  9. 評価:4.000 4.0

    振り回されるだけのミステリ

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    はっきり言って、この設定はずるいと思う。
    遺書が深読みやら裏読みやらいくらでも出来てしまうものである以上、後づけでいくらでも話が作れてしまうからである。
    その上、遺書は活字で書かれているわけで、偽造・捏造可能となると、そもそも遺書が本人によって書かれたものではないかもしれないとか、自殺ですらないかもしれないとか、そういうレベルのことまで何でもありになってくる。
    おそらく、連載開始時点ではそれほど今後の展開が緻密に練られていたわけではないだろう、という気がする。
    別にそれ自体を非難する気もないのだが、ここまで何でもありだと、読者に「推理」の余地というものがほとんどない。
    つまり本作は、「考えるだけ無駄」なミステリなのであり、それはもう、ミステリ漫画としては致命的だと思う。

    ただ、こんなこと言っておいて何だけれど、面白かった。
    プロットとしては変化がなく、三十人くらいの生徒たちがただただ自らに宛てられた遺書を公開していく、というだけの内容、ほとんど「何も起きていない」といっていい話であるにも関わらず、私は読むのを止められなかった。
    「彼女に何が起こったのか」という謎の一点でここまで引っ張れるのは、それなりに作品に力があるということなのだろう。
    また、「こういう系」の作品は、往々にして人が死にまくったり、人間離れしたサイコ学生が出てきたり、何かと「起こりすぎる」ことで興が削がれるが、そういうことがなかったのも、ポイントが高かったのかもしれない。
    要するに、「何も起きない」ということが、奏功したのかとも思われる。
    そう考えてみると、この「やったもん勝ち」のずるい設定を考案した時点で、本作はある部分、既に成功していたのかもしれない。

    読者の推理に対して排他的である、というミステリとしての致命傷を負っている作品ではあるが、「推理を楽しむ」ミステリではなく、「ただ振り回されるだけのミステリ」として、私はそれなりに楽しんだ。
    それを邪道と呼ぶかどうかは、微妙なところなのだけれど。

    • 32
  10. 評価:3.000 3.0

    古きよき、だが

    古きよきホラー漫画時代を思い出す短編集。
    表題作は「怖い昔話」風の一編。

    これは今まで色んなホラー漫画のレビューに書いてきたのだが、幼い頃、従姉の家に行くと必ずホラー漫画雑誌が置いてあって、それを読むのが楽しみだった。
    もちろん、あの頃のドキドキみたいなものは永遠に戻らないのだが、私にとってはひとつの原体験みたいなものだったと言ってよいかと思う。

    そういうわけで、この種の漫画を読むときは、いつも一種の懐かしさと慕わしさを覚える。
    それだけで十分と言えばまあ、そうなのだが、大人になった今でも楽しめた、と言うには、本作はちょっとパワー不足のような気もした。

    • 4

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