rokaさんの投稿一覧

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評価1 5% 35
151 - 160件目/全511件
  1. 評価:4.000 4.0

    硬派な力作

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    妻が亡くなり、自らも癌に侵されて余命半年を宣告された男のもとに、14年前に失踪した娘が他殺体で発見されたという知らせが届く。
    殺_人の時効まで、あと半年…というストーリー。

    実に硬派な漫画で、大規模なトリックとか、猟奇的な動機どか、そういうのはなく、あくまで現実的な枠の中で、一人の男が執念を持って素人捜査をやり遂げる様を、丹念に描いた力作である。

    最初は冷たかった警察サイドが、主人公の必死さに打たれて力を貸してくれる描写や、主人公がかつて心を通わせることが出来なかった娘の本心が、捜査の中で明らかになる過程も、胸が熱くなる。

    ちょっとモノローグが多すぎるような気もするが、まあ、よしとしよう。
    いささか都合のいい展開も、主人公の執念を思えば、神が味方してくれたということで、よしとしよう。

    ただ、ラストは主人公、死ななきゃ駄目だろう。
    私は別に、何でもかんでも登場人物の死を願うような猟奇的な人間ではないが、どういったって、主人公の死をもってしか閉じられない作品というのはあって、本作なんかは、その典型だと思うのだが。

    • 3
  2. 評価:1.000 1.0

    お前ら貞ちゃんをナメんな

    一応、「貞子」の名を冠したホラー漫画。
    制作者サイドに一応、「リング」原作者の鈴木光司の名前もある。
    が、何もかもに「一応」という断りを入れたくなるほど、漫画の内容は「リング」とは全く違う。
    どうやら「リング」のかなり後年に制作された「貞子」という映画を漫画化したものらしい。
    ふーん。

    まあ、色々と酷い。
    特に構成は滅茶苦茶で、話があっちこっちに飛ぶのは、映画のカットバック的な演出を踏襲しているのかもしれないが、あまりに稚拙すぎて、何が何やらわからない。

    だいたい、わざわざ漫画化するような映画とも思えない。
    こういう「とりあえず作っとけ」的なメディアミックスは、本当に寒いし、はっきり言って怒りを覚える。

    「リング」の貞ちゃんは、何であれ、日本のホラー界が生んだ一大アイドルである。
    こんなに有名になった個人のお化けっていうのは、日本の歴史上、「四谷怪談」のお岩と、貞子くらいなんじゃないの?
    そして、映画における貞子は、ホラー映画における幽霊の表現方法を変えた。
    これは功罪と言った方がいいのかもしれないが、「リング」以降、それこそホラー映画の幽霊は「貞子系」ばっかりになった。
    この影響は、邦画はもとより、海外にもいくばくかは及んだと思う。
    そう考えると、マジで凄い。

    貞ちゃんはそういう子なんだぞ。
    それをどいつもこいつも適当に扱いやがって。
    鈴木光司もいい加減にしてほしい。

    この漫画に関わった人間全員、呪いのビデオを見ればいいんだ。

    • 10
  3. 評価:2.000 2.0

    苛立ちをぶつける

    ハンサムな夫と結婚し、「顔面格差婚」などと陰口を叩かれている主人公。

    正直、登場人物たちに苛立ちばかりが募る話で、まるで入り込めなかった。

    以下、何にムカついたのか、苛立ちをぶつけてレビューは終わる。

    【主人公】
    ・あなたの外見は決定的には醜くないが、その卑屈さは致命的に醜い。何とかしろ。

    ・他人の評価でいちいちフラフラするな。愛を信じるなら、もっと毅然としていろ。

    ・夫に対してやたら引け目を感じるな。何が愛かは難しいが、愛し合うには、平等であるべきだろう。

    ・だいたい、そんなに外見が気になるなら、少しは努力をしろ。グダグダ悩む前に少なくともダイエットしろ。

    【主人公の夫】
    ・お前もお前で昔の恋人にヘラヘラついていくな。潜在的に妻に優越感があるのか、「俺は顔で女を選ばないぜ」というのがアイデンティティーなのか、はたまた単なるブス専なのか知らないが、何にしてもお前は駄目だ。
    いや、別にブス専は駄目じゃなかった、間違えた。

    • 13
  4. 評価:1.000 1.0

    少年よ、緊迫しろ

    ある日、唐突に「50年前」の村に迷い込んだ少年が、兄と連絡を取りながら脱出しようとするのだが、という話。

    方向性としては「サイレン」というホラーゲームみたいな感じを狙ったのかもしれないが、信じられないほど面白くない。

    何しろ緊迫感のなさが異常である。
    タイムスリップ、どうやら村は間もなくダムの底に沈む、村では訳のわからないかくれんぼをやっている、袋をかぶった変な男が歩いている、などなど、ヤバイことだらけなのに、何ひとつ、ヤバい雰囲気がない。
    「お前らもっと緊張感を持ってやれ!」と私は、上司が部下に感じるような苛立ちしか覚えなかった。

    漫画を読んでいると、ときどき、商品として流通していることが信じられないような作品に出くわすが、本作もそのひとつであった。

    • 14
  5. 評価:2.000 2.0

    着想は悪くないけれど

    「意味がわかると怖い話」というジャンルは、いつからか怪談のひとつのスタンダードみたいになったが、基本的には簡潔かつオチがつく、という話なので、それを4コマに落とし込もう、という着想自体はいいと思った。

    しかし、形式で完全に失敗している。
    「意味がわかると怖い話」なのだから、当然、読者に意味をわかってもらってなんぼなのだが、それにしたって「4コマの後に解説文」はないだろう。
    興醒めにも程がある。
    こんなことをするくらいなら、4コマでスパッと終わって、あとはオチの意味を考えて下さい、わからなかったらしゃーない、くらい思い切ったスタンスの方が、余程マシだったかと思う。
    まあ、それにしたって、大した話ではないのだけれど。

    • 5
  6. 評価:3.000 3.0

    取り返せないズレ

    ネタバレ レビューを表示する

    私はとにかく「美しき女性の殺_人鬼」という設定が苦手で、「そんなのいるわけないやん」と常にいっきに冷めてしまうのだが、それはあくまで「現実枠」内の作品の話である。
    本作は一種のファンタジーなので、それほど抵抗感なく読めた。

    簡単に言うと、残夢という魔女みたいな女が、超能力みたいなもので善良な人間たちを次々に殺_人鬼に変えていく。
    ただしまあ、読み始めたときに期待していたものとは大きくズレがあるのも事実で、奇怪な連続殺_人の真相が上記のようなものだった、という展開には、「はあ」という感想しか出てこない。
    そのズレによる違和感をひっくり返すような何らかの魅力があったかと言えば、それは甚だ疑問である。

    • 1
  7. 評価:5.000 5.0

    素晴らしきジェットコースター・コミック

    ヤバい。
    面白すぎてヤバい。
    本サイトでは更新が遅いので、別のサイトで最新話まで一気に読んだ。

    現実的なミステリとして読めば、多少の粗はあるものの、そんなのどうでもいいと感じさせてくれる吸引力抜群のストーリー、そして、ハイレベルな画力。
    主人公含めて、登場人物が誰一人信用できない、という圧倒的な緊張感。

    ただ、本作の一番のアイデンティティーは、その異様なまでのテンポのよさではないかと思う。
    とにかく展開がすこぶる早い。
    単行本の単位で言うと2巻分しか読んでいないのに、体感的には、3倍くらいの量を読んだような満足感があった。
    毎回のようにサプライズがあり、映画では「ジェットコースター・ムービー」なんていう表現があるが、本作はまさに「ジェットコースター・コミック」である。

    これは実際、非常に微妙なところで、「展開が早すぎる」というのは、作品によっては傷になる。
    (事実、他作品に対して、私はそういうレビューを書いたこともある。)
    また、これが仮に小説であったなら、私は「おいおい、早すぎるだろ」と感じたとも思う。
    つまり本作のスピード感というのは、「漫画だからギリギリセーフ」という危ういバランスの上に成り立っているわけで、そのあたりのさじ加減が絶妙である。

    じっくりと丹念に積み上げる、というよりは、矢継ぎ早にパンチを繰り出してくるようなタイプのサスペンスであり、この魅力的なスピード感は、突出している。
    サスペンスフルなエンターテイメントのお手本のような作品であり、もう、何も言うことはない。
    ただただ、早く続きが読みたい。

    • 83
  8. 評価:3.000 3.0

    色褪せた

    90年代というホラー漫画全盛期の作品で、一部ではカルト的な人気を誇るらしいという話を聞いて、ホラー漫画好きの私としては、半ば教養科目のようなつもりで読んだ。

    が、別に今の時代に読まなくても、というのが正直な感想であった。

    悩みを抱える登場人物が怪しげな店を訪れ、望みを叶えてもらう代わりに酷い目に遭う、というのが話の基本線で、当時はそれなりに新鮮だったのかもしれないが、今となってはあまりに手垢にまみれた設定であるし、それ以上の何かを見出すことは難しかった。

    「色褪せない名作」とか「不朽の名作」とかいう言葉があるが、逆に言えば、多くの作品は時代とともに色褪せ、朽ちてゆくということだ。
    それが悪いというわけではなく、それが普通だ。

    これなら、犬木加奈子の「かなえられた願い」という漫画の方が、今読んでも、余程楽しい。

    • 2
  9. 評価:2.000 2.0

    あまりに物足りない

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    様々な悩みを抱えた人々が、占いをきっかけに前に進む、という筋の連作短編。

    派手な破綻はないものの、あまりに薄味で、ちょっとびっくりしたほどだった。
    だって、占いは本当に普通にタロット占いをしているだけで、感心するような示唆とか、ましてや特別な能力とか、何もない。
    かといって、登場人物たちのドラマに深い何かがあるわけでもない。

    私の前に何やら悩んでいる人が通りかかり、彼らは占いを受けて何となく上手いこといって、勝手に振り切ったり立ち直ったりして、去っていった。
    極論すれば、それをただ眺めているだけの漫画であり、読んでいるうちに、私はいったい何をしているのだろう、という徒労感に襲われた。

    まあ堅実っちゃ堅実だけど、いくら何でも物足りない。

    • 15
  10. 評価:4.000 4.0

    原作との相性

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    この原作者とこの漫画家のコンビは、「昨日公園」と同じだが、相性はばっちりだと思った。
    原作小説の持つノスタルジックな雰囲気を、上手く再現できていると感じる。

    大人が振り返る子ども時代の痛みや悲しみを抒情的に綴っている点は「昨日公園」に通じるが、「昨日公園」がヒューマンな手触りだったのに対して、本作のテイストはホラー寄りである。
    子ども時代の「あれは何だったんだろう」的な追憶の恐怖表現はなかなか鮮やかで、このあたり、原作者の面目躍如かと思われる。
    もちろん、繰り返し、それを漫画のフォーマットに落とし込んだ作画も素晴らしい。

    ただし、オチの部分は、正直イマイチかと思う。
    過去の恐怖体験が現在を侵食する、というのは悪くないが、狂気の所在を主人公自身に回収するのは、サプライズこそあったものの、ちょっと強引に過ぎたような気もする。

    • 11

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