rokaさんの投稿一覧

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評価1 5% 35
151 - 160件目/全506件
  1. 評価:3.000 3.0

    取り返せないズレ

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    私はとにかく「美しき女性の殺_人鬼」という設定が苦手で、「そんなのいるわけないやん」と常にいっきに冷めてしまうのだが、それはあくまで「現実枠」内の作品の話である。
    本作は一種のファンタジーなので、それほど抵抗感なく読めた。

    簡単に言うと、残夢という魔女みたいな女が、超能力みたいなもので善良な人間たちを次々に殺_人鬼に変えていく。
    ただしまあ、読み始めたときに期待していたものとは大きくズレがあるのも事実で、奇怪な連続殺_人の真相が上記のようなものだった、という展開には、「はあ」という感想しか出てこない。
    そのズレによる違和感をひっくり返すような何らかの魅力があったかと言えば、それは甚だ疑問である。

    • 1
  2. 評価:5.000 5.0

    素晴らしきジェットコースター・コミック

    ヤバい。
    面白すぎてヤバい。
    本サイトでは更新が遅いので、別のサイトで最新話まで一気に読んだ。

    現実的なミステリとして読めば、多少の粗はあるものの、そんなのどうでもいいと感じさせてくれる吸引力抜群のストーリー、そして、ハイレベルな画力。
    主人公含めて、登場人物が誰一人信用できない、という圧倒的な緊張感。

    ただ、本作の一番のアイデンティティーは、その異様なまでのテンポのよさではないかと思う。
    とにかく展開がすこぶる早い。
    単行本の単位で言うと2巻分しか読んでいないのに、体感的には、3倍くらいの量を読んだような満足感があった。
    毎回のようにサプライズがあり、映画では「ジェットコースター・ムービー」なんていう表現があるが、本作はまさに「ジェットコースター・コミック」である。

    これは実際、非常に微妙なところで、「展開が早すぎる」というのは、作品によっては傷になる。
    (事実、他作品に対して、私はそういうレビューを書いたこともある。)
    また、これが仮に小説であったなら、私は「おいおい、早すぎるだろ」と感じたとも思う。
    つまり本作のスピード感というのは、「漫画だからギリギリセーフ」という危ういバランスの上に成り立っているわけで、そのあたりのさじ加減が絶妙である。

    じっくりと丹念に積み上げる、というよりは、矢継ぎ早にパンチを繰り出してくるようなタイプのサスペンスであり、この魅力的なスピード感は、突出している。
    サスペンスフルなエンターテイメントのお手本のような作品であり、もう、何も言うことはない。
    ただただ、早く続きが読みたい。

    • 72
  3. 評価:3.000 3.0

    色褪せた

    90年代というホラー漫画全盛期の作品で、一部ではカルト的な人気を誇るらしいという話を聞いて、ホラー漫画好きの私としては、半ば教養科目のようなつもりで読んだ。

    が、別に今の時代に読まなくても、というのが正直な感想であった。

    悩みを抱える登場人物が怪しげな店を訪れ、望みを叶えてもらう代わりに酷い目に遭う、というのが話の基本線で、当時はそれなりに新鮮だったのかもしれないが、今となってはあまりに手垢にまみれた設定であるし、それ以上の何かを見出すことは難しかった。

    「色褪せない名作」とか「不朽の名作」とかいう言葉があるが、逆に言えば、多くの作品は時代とともに色褪せ、朽ちてゆくということだ。
    それが悪いというわけではなく、それが普通だ。

    これなら、犬木加奈子の「かなえられた願い」という漫画の方が、今読んでも、余程楽しい。

    • 2
  4. 評価:2.000 2.0

    あまりに物足りない

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    様々な悩みを抱えた人々が、占いをきっかけに前に進む、という筋の連作短編。

    派手な破綻はないものの、あまりに薄味で、ちょっとびっくりしたほどだった。
    だって、占いは本当に普通にタロット占いをしているだけで、感心するような示唆とか、ましてや特別な能力とか、何もない。
    かといって、登場人物たちのドラマに深い何かがあるわけでもない。

    私の前に何やら悩んでいる人が通りかかり、彼らは占いを受けて何となく上手いこといって、勝手に振り切ったり立ち直ったりして、去っていった。
    極論すれば、それをただ眺めているだけの漫画であり、読んでいるうちに、私はいったい何をしているのだろう、という徒労感に襲われた。

    まあ堅実っちゃ堅実だけど、いくら何でも物足りない。

    • 14
  5. 評価:4.000 4.0

    原作との相性

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    この原作者とこの漫画家のコンビは、「昨日公園」と同じだが、相性はばっちりだと思った。
    原作小説の持つノスタルジックな雰囲気を、上手く再現できていると感じる。

    大人が振り返る子ども時代の痛みや悲しみを抒情的に綴っている点は「昨日公園」に通じるが、「昨日公園」がヒューマンな手触りだったのに対して、本作のテイストはホラー寄りである。
    子ども時代の「あれは何だったんだろう」的な追憶の恐怖表現はなかなか鮮やかで、このあたり、原作者の面目躍如かと思われる。
    もちろん、繰り返し、それを漫画のフォーマットに落とし込んだ作画も素晴らしい。

    ただし、オチの部分は、正直イマイチかと思う。
    過去の恐怖体験が現在を侵食する、というのは悪くないが、狂気の所在を主人公自身に回収するのは、サプライズこそあったものの、ちょっと強引に過ぎたような気もする。

    • 10
  6. 評価:4.000 4.0

    京都へのこだわり

    骨董品店のオーナーの孫と、ひょんなことからその骨董品店でバイトをすることになった女子高生が、様々な依頼を解決していく話。
    原作の小説は未読。

    あらすじだけ紹介するとミステリっぽいが、正直、ミステリ色は薄く、そこはちょっと拍子抜けした。
    硬派な(?)私には、主人公二人のラブコメ的文脈も正直、邪魔臭く、「いや、そういうのいいから」と思った。
    ただまあ、これも軽度なものである。

    そういうわけで、ミステリとしてもラブコメとしても何だか薄い。
    重厚な人間ドラマ、ということもない。
    じゃあ何の漫画なのか、ということになるが、これは、京都の漫画だと思う。

    学生の頃、私は四年、京都に住んでいた。
    就職して離れたが、今でもときどき、好きで京都を訪れる。
    だから、半端な知識で京都を利用したくらいの作品は偽物と見破れる自信があるが、本作は、違った。
    漫画の中でこれほどきちんと京都を描いた作品を、私は他に知らない。
    まあ、原作の利なのだろうが、それを画として表現するのには、おそらくかなりのリサーチがあったことが想像される。

    作品トータルとして見れば、決して好みではなかったが、京都という町を漫画作品の中でここまでしっかり描写し得たこと、その一点は、素晴らしい。

    • 6
  7. 評価:2.000 2.0

    簡単すぎる

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    主人公の主婦二人が、深夜限定の家事代行のサービスをやる、という話。

    まず、漫画の評価とは関係ないけれど、このビジネスの発想自体は面白いと思った(既に存在するサービスなのかは知らないが)。
    私自身、生活サイクルが一般の仕事とずれているせいで、「この店が夜中にやっててくれればな」と感じることが日常だから、特に都市部であれば、こういうビジネスの需要はあるのではないかと思う。
    まあ、安全性の問題とか、色々難しそうではあるが。

    話としては、主婦二人が、家事代行の仕事の中で、パパ活、ティーンエイジャーの妊娠、ネグレクト、DVなど、現代社会の様々な問題に直面することになる。
    展開はテンポがよく、サクサク読めるのはよし。
    だがいかんせん、解決が簡単すぎる。
    当たり前だが、前述の諸問題が、そう易々と一件落着するわけはない。
    このあたり、漫画として一定の落としどころを設定しないといけないのはわかるが、それにしても、という印象は拭えなかった。

    • 7
  8. 評価:2.000 2.0

    何なんだよ

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    どちらかと言えば地味な主人公の女性が、ルックス抜群のエリートから突然(と言っていいと思う)プロポーズをされるが、実はその男は全国各地に自分の子どもを産ませるための女性を作っていた、自分の遺伝子をそこらじゅうに残すためにね、という話。
    何なんだお前は。

    男の自宅の壁には巨大な地図があり、子どもが生まれた地方にはその子どもの名前のメモが貼ってある。
    (例えば北海道の地図には「雪」というメモが。)
    それが後になって、主人公が男に対して決定的な疑いを持つ伏線になる、というかそんなのは伏線とも言わないが、とにかくまあ、馬鹿じゃないのかお前は。

    ジャンル的には、紹介文ではサスペンスとなっていたけれど、もうほとんどギャグの領域だと思う。
    ここまで非現実的な設定をもってサスペンスを成立させるには、相当な技量が必要だけれど、個々のキャラクターの造形もとことんペラペラなので、ただひたすらに滑っているという印象しかない。
    申し訳ないが、こういうのを真面目なサスペンスみたいにやられるのは、本当に寒い。

    • 2
  9. 評価:2.000 2.0

    どうでもいい

    結婚、妊娠、新居のマンションに引っ越し…ところがそのマンションが何かおかしい、という話。

    主人公は、誰かや何かに価値や愛情を持っているのではなく、結婚「というもの」をして、家庭「というもの」を持つことが幸せなのだ、と何の疑いもなく思い込んでいる人間で、私が最も嫌いなタイプの人間のひとつである。
    この時点で相当げんなりしたが、まあ、それはいいとしよう。

    ただ、サスペンス的な空気を漂わせているわりに、諸々の謎の吸引力のなさは致命的である。
    誰もが秘密を抱えて生きている、的なことがテーマのひとつなのだろうが、それがまあ、あまりに薄っぺらくて、どうでもいい。
    主人公を悩ませる奇妙な出来事も、誰かの悪意なのか、主人公自身の妄想なのか、それも、どうでもいい。
    主人公が彼女の言う「幸せ」をつかもうが、目を覚まして新たな幸せを目指そうが、はたまた地獄に落ちようが、それも、どうでもいい。
    もう、ひたすら、何もかもが、どうでもいい。
    そんなふうに、何やら自暴自棄のような気持ちになる作品だった。

    • 3
  10. 評価:4.000 4.0

    押切蓮介とオカルト

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    一応ホラー漫画に分類していいかと思うが、かなりの異色作である。
    作者が見聞きした話、あるいは作者自身が体験したことを基に描かれるのだが、各話の後に、すぐに押切蓮介自身による解説というか、あとがき的なコメントが入る。
    それがまた、結構なネタバレになっていて、「この話は聞いた話から想像したものだ」とか、「この話は実際に起きたことにかなり盛っている」とか、「おいおい、それはホラー漫画としては言わない方がいいんでないの」ということが結構あって、それがまあ、押切蓮介らしいと言えばらしくて、面白いのだが、漫画作品として見た場合には、どこか散漫な印象も受ける。

    しかし、冒頭の「赤い家」と、最終話の「おばけなんていないさ2」の破壊力は圧巻で、私は激しく胸を打たれた。
    ホラー漫画として優れた作品だった、ということでは全くない。
    作者の言わば自伝として、押切蓮介という人が、どのような経緯で怪奇に興味を持ち、どのような思いで「幽霊をぶん殴る」というギャグ漫画を描いてきたのか、そして現在、オカルトに対してどう心境が変化してきたのか。
    それを知って、ほとんど泣きそうになった。

    オカルトが好きな人、嫌いな人、色々あるけれど、オカルトに対してこれほど複雑な愛憎を持ち合わせている人間というのは、他にいないんじゃないかと思う。
    だが、押切蓮介は、それをシリアスに語るというよりは、あくまでギャグに近いものとして、漫画の中で描いている。
    それが、何より素晴らしい。

    • 7

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