木村良平インタビュー(後編):“面白い漫画”に好きなキャラも嫌いなキャラもいない!感動した少女漫画や正座して待つあの漫画とは?
更新日:2019/02/27 10:00
「黒子のバスケ」「ハイキュー!!」「刀剣乱舞」など、数々の人気作品に出演し、声優・俳優として活躍する木村良平さん。小さい頃から漫画に囲まれて育った木村さんが、「天才」と称賛する漫画家・藤田和日郎や「正座して待つ」あの漫画とは?
どんな悪役も、ちゃんと意味があって物語に存在している
木村良平
――前回は少年漫画について熱く語っていただきましたが、少女漫画も読まれるんですか?
母親が漫画を含む本をよく読む人だったので、その世代の「ガラスの仮面」 (美内すずえ/白泉社) や「エースをねらえ!」(山本鈴美香/集英社)は読んだことはあります。印象的なのは、「PARTNER」 (名香智子/小学館) という社交ダンスの漫画。結構昔の作品なんですけど、面白かったですね。
- 少女漫画 PARTNER
- 4.2 (198件)
――好きな少女漫画として「君に届け」 (椎名軽穂/集英社) を挙げていただきました。こちらはどんなきっかけで知ったのですか?
周りに紹介してもらって読みました。主人公・黒沼爽子(くろぬま さわこ)の気持ちが“君に届いた”あたりから続きが読めてないんですけど、久しぶりに感動した作品です。
――どのシーンが特に感動しましたか?
女子トイレで友情を確かめ合うシーンですね。爽子にとって初めての友達、矢野あやね(やの あやね)と吉田千鶴(よしだ ちづる)が根も葉もない噂を立てられるんですけど、それを流した相手に誤解だ、と食いついていくんです。
あやねと千鶴は、爽子が「今はまだ友達じゃないかもしれないけど、仲良くなりたい」という意味で言った「友達じゃない」という言葉をずっと勘違いして、爽子のことを疑ってしまってギクシャクしていたんですけど、誤解が解けて仲直りしたシーンは、すごく胸打たれたのを覚えています。
- 少女漫画 君に届け
- 4.6 (11771件)
陰気な見た目のせいで怖がられたり謝られたりしちゃう爽子。爽子に分けへだてなく接してくれる風早に...
――「君に届け」 (椎名軽穂/集英社) で、特に好きなキャラクターはいますか?
よくそういう話をするんですけど、昔から好きなキャラ、嫌いなキャラというのが特にないんです。というより、純粋にその気持ちがわからないんですよね。
「好き」というのは、まだ理解できるんです。このキャラが出ると面白いことを言ってくれる、とか派手な展開になるから好き、とか、そういうのはまだわかるんですけど…。
どのキャラクターもそれぞれ意味があって存在していて物語を動かしていくから、面白い漫画が生まれるわけじゃないですか。だから「あのキャラ嫌い」と言われると「嫌い…?でも、そのキャラが出てこないとお前の好きなこの物語成立しないけど大丈夫?」って少し疑問に思ってしまうんです(笑)。
――物語上のキャラクターに共感して読む…というより、客観的な視点で楽しんでいる感じでしょうか?
あまり特定のキャラに自分を重ね合わせる、というのはないけど、主人公に対して「頑張れ!」と応援している気持ちはもちろんあります。主人公がどんどん強くなって活躍したら嬉しいので、そういう意味では感情移入してると思います。共感できない作品を好きでいつづけるのは難しいと思うので、好きな作品はどこかしら共感ポイントを見つけているんでしょうね。
木村良平
ただただ、単行本の発売を正座して待ちます!
――「HUNTER×HUNTER」 (POT(冨樫義博)1998-2018年) についても伺えますか?
「HUNTER×HUNTER」 (POT(冨樫義博)1998-2018年) も大好きですね。「うしおととら」 (藤田和日郎/小学館) や「からくりサーカス」 (藤田和日郎/小学館) と一緒で、作家さんの頭の中が意味分からない(笑)。
- 少年漫画 HUNTER×HUNTER
- 4.4 (2858件)
父と同じハンターになるため、そして父に会うため、ゴンの旅が始まった。同じようにハンターになるた...
「幽★遊★白書」 (冨樫義博 1990-1994年) も好きなんですけど、「HUNTER×HUNTER」 (POT(冨樫義博)1998-2018年) より前の作品ということもあって、冨樫さんがやりたいものになっていく瞬間がより感じられる気がして、作品の色がどんどん変わっていくのが魅力の一つの作品だと思っています。「HUNTER×HUNTER」 (POT(冨樫義博)1998-2018年) は、初めから“こういうものを作るぞ”という感じが強い気がしていて、より完成形がイメージされた作品なんだと勝手に思っています。頭を使うし、どんでん返しもあるし…単純にめちゃくちゃ面白いですよね。
――「HUNTER×HUNTER」 (POT(冨樫義博)1998-2018年) は、次巻の発売を首を長くして待っているファンの方が多いイメージですね。
子どもの頃はやっぱり続きが気になるので「なんでだよ!」と焦れったく思うこともありましたけど、今はもう「あっ、描いてくださるんですか!しかも10話も!ありがとうございます!」という気持ちでいっぱいです(笑)。僕はただただ単行本の発売を正座して待ちます!連載中の漫画は単行本でまとめて一気に読みたいので、「HUNTER×HUNTER」 (POT(冨樫義博)1998-2018年) は、もうずいぶん前で止まっちゃっています。またそろそろ読もうかな。
木村良平
- 少年漫画 幽★遊★白書
- 4.5 (1502件)
教師も手をやく不良の浦飯幽助。ある日子供を助けて事故にあい、幽霊になってしまう。予定外の死に閻...
本との新しい出会いは人のオススメから
――普段読まれる漫画で、何か共通点はありますか?
「HUNTER×HUNTER」 (POT(冨樫義博)1998-2018年) の他、今回挙げた「うしおととら」 (藤田和日郎/小学館) 「からくりサーカス」 (藤田和日郎/小学館) しかり、人が死ぬ漫画ばかりですね(笑)。振り返ってみると、好きな小説や映画も誰かが死ぬものが多いな、と感じます。
――小説は普段どういうジャンルを読まれるんですか?
割合でいうと圧倒的にサスペンスが多いですね。ホラーも読みますし、感動系のものや青春ものも読まないわけじゃないんですけど、比率ではサスペンスが一番多いかな。
――サスペンスってどういう定義なんでしょう。ミステリーとはまた違うものなんでしょうか?
大きい括りで言えばミステリーの中に含まれるものもあるんじゃないですかね。ミステリーにも色々あるじゃないですか。「ここで推理パートは終わりで、ここからは謎解きパートです」というような構成のものもあれば、ある刑事が事件を追って物語が進んでいく…というものもあるし、片足ホラーに突っ込んでいるものもあるし、学校内の出来事などを描いた、人が死なない物語もあるし。
少し前に読んだ湊かなえさんの「リバース」(湊かなえ/講談社)もミステリーに当たると思うんですけど、何かを推理するわけではないし、探偵も登場しない。でも、一つの事件を巡って人間関係が交錯していって、最後に明かされる衝撃の真実…というところは、ジャンル的にはサスペンスと言ってもいいと思うんですよね。
木村良平
――サスペンス漫画で好きな作品はありますか?
探せばあるんでしょうけど、あまりパッと浮かばないですね…ぜひ教えて欲しいくらいです(笑)。推理ものだったら「Q.E.D. 証明終了」 (加藤元浩/講談社) がすごく好きでした。ちょっと頼りない印象の天才少年が主人公で、彼は学校では少し変人扱いを受けているんですけど、見事に難解事件を解決する、気持ちのいい読後感を味わえる漫画です。
- 少年漫画 Q.E.D. 証明終了
- 3.8 (44件)
“本物”を求めるミステリー・ファンの間で超ウワサ! MIT帰りの天才少年・燈馬(とうま)×元気...
――最近読んだ小説で面白かったものはありますか?
少し前になってしまうんですけど、勧められてめちゃくちゃ大当たりだったのが「羆嵐」(吉村昭/新潮社)です。結構昔の本なんですけど、北海道の三毛別羆事件を題材にした作品。めちゃくちゃ怖かったけど、ものすごく面白かったですよ!
木村良平
あと、ラジオかTwitterでオススメされて読んだのが、映画化も決まっている「君は月夜に光り輝く」(佐野徹夜/KADOKAWA)。ヒロインの女の子が「発光病」という体が光り輝くという不治の病にかかっていて、その女の子と主人公の男の子との触れ合いの物語です。
――感動系のお話なんですね。また人が殺されるのかと思っちゃいました(笑)。
逆に薦められないと読まなかったかもしれない作品です。オススメされた方がやっぱり新しいものに出会えますね。映画チャンネルとかも点けっぱなしにしておけば、普段自分では借りないだろうものが見られたりするのがいいですよね。
演じられる年齢の幅をさらに広げられるように
――今後の展望などをお聞かせ下さい。
2018年は、個人的にはたくさん新しいことに挑戦できた年でした。2019年も引き続き新しいことには挑戦していきたいんですけど、きちんと自分の本分に戻って“芝居”を丁寧に作っていけたらいいなと思っています。
それはもちろん真摯に作品に向き合うとか、技術の向上もそうですし、あとは自分の年齢的にももうちょっと上の年齢の役もできるようにしていきたいなと思っています。アニメーションだけでなく、洋画の吹き替えなどでも、もっと上の年齢の役が演じられるようになると幅が広がると思うので、念頭に置いて頑張りたいと思います。
あとは舞台出演の機会もよくいただくので、声だけではない芝居もやっていきたいです。体力づくりもやっていきたいなと思っています。
木村良平
- 少年漫画 うしおととら
- 4.5 (497件)
伝説の「獣の槍」を操る少年・うしおと、五百年ぶりに解放された妖怪・とら。この不思議なコンビが贈...
漫画だけでなく、本全般が好きでよく読むとおっしゃっていた木村さん。小さい頃から読書によって身につけられた教養が、今の木村さんを作っているのかもしれませんね。今後も幅広いキャスティングでの活躍から目が離せません!
写真:原恵美子
ヘアメイク:福島加奈子
スタイリスト:村田友哉
プロフィール
木村良平(きむら りょうへい)
東京都出身。幼少期から子役として舞台等で活躍。テレビアニメ「東のエデン」(2009年)で初主演を務め、一躍脚光を浴びる。その後「黒子のバスケ」、「銀の匙 Silver Spoon」など数々の話題作でメインキャラクターを担当。テレビアニメ、ゲーム、実写映画、舞台等、幅広いジャンルで活躍している。2012年第6回声優アワード助演男優賞受賞。
◆木村良平 劇団ひまわり 公式プロフィール
https://profile.himawari.net/view/1515
◆木村良平 公式Twitter
https://twitter.com/ryouhey_drunk
◆木村良平 公式Instagram
https://www.instagram.com/ryouhey_drunk/
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