5.0
僕達は生まれた時からコケっぱなしなのかな
読み始めた当初「報復刑」は、加害者に甘く被害者に厳しい、この現実の世界でも必要ではないかと思いましたが、読み進める内に、漫画の中で、報復刑を終えた後の、被害者遺族の方々の心の負担が、その良心故か凄まじい事を知りました。徐々に「報復刑とは何なのか?」と思う様になりました。
最近読んで一番泣けたのは「背中の思い出」というお話でした。個人的には、この話だけでも課金して読む価値があり、ドラマ化しても良いのではないかと思いました。
大体のあらすじを申し上げますと、主人公は鈴木拓斗という青年で、彼は幼い頃、酒乱の実父と自分の子供に無頓着な実母と暮らしていました。
その後、施設に預けられる事になった拓斗は、そこで、施設での親代わりに当たり、常に優しく暖かく接してくれる星野冬子と出逢います。また、同じく施設に預けられていた真司とも出逢い、親友の様に、兄弟の様に、冬子の元で共に健やかに成長します。
やがて、時が経ち、成長して施設を出た拓斗は仕事にも就き、彼女も出来て、順風満帆幸せな日々を送っていました。しかし、ある日、父親と再会した事により、彼の人生は一転、悲劇へと向かいます。
…と、ここまでが大体のあらすじですが、いつもは、この漫画は大体が一話完結型なのですが、今回のお話は三部構成となっており、作者の方々の意気込みというか強い気持ちを感じました。
漫画を読んでいる間も何回か泣きましたし、最後のシーンでも、拓斗にとって唯一の母との思い出で、幼い拓斗をおぶさり、振り返った「母」の顔にも……号泣してしまいました。名作だと思います。
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