5.0
人生の軌道を少し良きものにしてくれる
世界観が完成されていて、魅力的で、少しずつ読みたいけれど、続きが気になって時にはずんずん読んでしまう素敵な作品です。
シーヴァとせんせの生活に流れる、穏やかなものが特に素敵。
読み始めは、差別というものの本質を描いているのかなと思いました。読み進めるうちに、守るとは、幸せとは、生きるとは、愛するとは、…とどんどん考えさせられる(というより感じさせられる、に近い)テーマが増えました。
そして最後は、一人ということと、ふたりでいることの決定的な違いを思い知らされました。
すぐには役立たないけれど、この作品からもらったものは私の人生を少し良きものに軌道修正してくれるという予感がします。
ラストが読み取れない、という方がいるようです。
わかりやすさを重視する作品がここ数十年で増えているので無理もないかもしれません。
でも、ちゃんと読めば、十分伝わります。わからなければ何度も読んでみてください。わかりやすくはないからこその、余韻や深みや広がりが存在します。
大事なのは、時間の長さではなく、二人いるということ。私はこれは、最大限のハッピーエンドだと思っています。
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とつくにの少女