3.0
主人公が蚊帳の外すぎ
主人公エリィは本の虫、これまでに読んだ膨大な本の知識量と頭の良さに自覚がない
サウズリンド国の王太子の婚約者であるけれど世間的にも本人的にも、なぜ自分が婚約者に選ばれたのか疑問に思っている
実はエリィの家は表向き大した地位ではないけれど「サウズリンドの頭脳」と呼ばれ代々国を陰から支える参謀の家門で知る人ぞ知る存在
王太子もエリィのことが本気で好きで、エリィが婚約者であることは王太子の希望的にも国益的にも正当な結果であることはわりと前半で分かるけど
そのあと、正式に将来の王太子妃として公式行事に出るようになってからが、国として政治的に問題まみれで…正直ダレるというか組織の体制的にどうなん?て展開が多すぎて
エリィが色々と無自覚なのは周りのせいでもある
ちょっとした雑談でエリィが出した意見で国を動かしてしまうし、それをエリィに報告もしない
元は敵である隣国と国境が近い領地の辺境伯が「エリィのせいで軍備が削られたじゃないか」とエリィに直接文句言いに来てポカーンからの「自分のせいだ」と思考の渦にぐるぐるとハマってしまったり
かつて王太子の婚約者候補だったという他国の令嬢が側室になるかも的な話が出てきて、その令嬢の知り合いがエリィに側室を認めろと急に詰め寄ってきたり
エリィは基本的にコミュ障ではあるけど、ちゃんと会話はできるし知識量で社交の話題には事欠かない
マイナス思考なのも自信のなさからだけど、それは本人だけの問題ではない
そもそも婚約者候補だった段階からエリィの性格やコミュ力なんて分かりきってたことなのに、なんのサポート体制もない
将来の王太子妃どころか将来の王妃だから守られてばかりはどうかと思うけど
王太子が「エリィを守りたい余計なコトを耳に入れたくない」ってスタンスなので、エリィが自ら情報収集しようとしても周りの人間は口止めされていて何も分からない
設定的に、リアルタイムな情報が本になることは難しい世界観
どれだけ本の虫でも生の情報は子飼いの諜報班でもいないと入手しようがない
考えようにも情報が足りない
つまり、せっかくの主人公の頭の良さがまるで発揮できない
-
0
虫かぶり姫