5.0
本当に素敵
この十年で読んだギャグ漫画(という分類でいいと思う)の中では、個人的には「セトウツミ」が一番のフェイバリットだが、それに迫るくらい本作も面白かった。
両作の楽しさの共通点は、「日常」、「会話」、そして「間」であると思う。
昔、好きな小説の中に、「面白い話を書く人というのは、面白い体験をする人ではなく、普通の体験を、人とは違った捉え方が出来る人なのだ」という意味のくだりがあったが、こういう漫画を読むと、それを痛感する。
何気ない日々の中から、何を拾い上げ、それをどう受け止めて生きるのか。
「センス」とか言ってしまえばそれまでなのだけれど、あまりに卓越した感覚神経に舌を巻いた。
私たちが普通に生きる普通の毎日と、そこですれ違う普通の人々に対して、ユーモアだけではなく、優しさと愛しさを持たなければ、こういう漫画は描けない気がする。
読んだ後で、何気ない日常を少しだけ慈しんで生きてみたくなるような、本当に素敵なギャグ漫画である。
万人にすすめられる作品なんて、原理的にあり得ないけれど、ギャグ漫画で何かひとつ推せと言われたら、私は男性には「セトウツミ」を、女性には本作を推す。
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女の園の星