rokaさんの投稿一覧

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211 - 220件目/全513件
  1. 評価:3.000 3.0

    余命○○アレルギー

    最初に謝罪しておく。
    以下に述べる内容は全て、私の性格が捻じ曲がっていることに由来するものであり、漫画に責任はない。
    申し訳ない。

    私は、「余命○○」という設定が、根本的に好きではない。
    だったら読むなよ、という意見はごもっともなのだが、死神、というトリッキーな主人公に惹かれて、思わず読んでしまった。
    結論としては、まずまず楽しめたのだけれど、「余命○○アレルギー」の私はやはり、イマイチ入り込めなかった。

    やはり、「余命○○」という設定だけでもう、私は駄目だ。
    繰り返し、素直な心をどこかに置き忘れて大人になってしまった私は、「そんなの感動するに決まってんじゃん」と思ってしまうからだ。
    他の作品名を明示するのは避けるが、例えば「○日後に死ぬワニ」とか、タイトルを聞いただけで、「ハイ反則ー」と思う。

    いや、感動はするよ。
    私とて人の子であるから、余命○○の人やワニが死に向かいながら生きているのを見て、感動はする。

    ただ、そういう感動が、私は嫌いだ。

    ひとつは、感動の押し売りをされているような気分になるからだ。

    二つ目は、そんな、どういったって感動するしかないような設定に頼って、恥ずかしくねえのかよ、と天邪鬼なことを思うからだ。

    三つ目は、余命を知って日々を慈しむ、という構図自体が、そもそも嫌いだからだ。
    これは、図式としては、恋人を失ってから「失って初めて気づいたよ」系のことを言う男に似ている。
    私はそれが、大嫌いである。
    そんなもん、先に気づいとけや、とほとんど憤怒すら感じる。
    そういう人間にだけは絶対にならないと決めて長い間生きてきたから、これは、変えられない。

    別に余命を宣告されようとされまいと、私たちは皆、緩やかに死に向かっている。
    それを、いついつがリミットですよ、なんてわかりやすく示してもらえないとクリアに生きられないなんて、ちょっと残念すぎないか。
    大切なのは、残り少ない命を知ってどう生きるか、ではなくて、どれだけ残りがあるかわからない命をどう生きるか、ということなんじゃないの、と、私なんかは思うのだけれど。

    • 13
  2. 評価:3.000 3.0

    短すぎるけれど

    サイコメトリーの使える私立探偵の話。

    五話完結、というのを完全に見逃して読み始めたので、あまりに早い終幕にびっくりした。
    長ければいい、というものでもないが、五話で終わっていい、という種類の漫画でもないと思う。
    設定上の問題として、こういうのは、様々なサイコメトリーのバリエーションを描いてこそ、面白味が出てくるタイプの作品なのではなかろうか。

    ただまあ、正直、「もっと読みたい」というほどでもなかった。
    私は、妙にひねった助手のキャラ設定が受け入れ難かったのと、「嘘と本当」をめぐるテーマ性みたいなものもどうにも薄っぺらく感じられて、好きになれなかった。

    • 3
  3. 評価:2.000 2.0

    何だそのピュアさは

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    家族に取り入り、家族を乗っ取ろうとする男の話。
    とだけ書くと、現実にありそうだが、実際には猛烈な嘘臭さが漂う。

    例えば悪名高い北九州の事件なんかは、ある種の家族乗っ取り事件だが、当然、本来の目的は、金だ。
    そこに、サディズムとか過剰なコントロールへの欲求とか、異常な要素は絡むとしても、極めて現実的な目的がある。
    また、仮にだが、家族を崩壊させることが目的だ、というのも、現実にそんな事件があるかは別として、まだギリギリ理解できる。

    しかし、本作の主人公(?)は、全く違う。
    自身は恵まれない家庭に育ち、幸せな家庭を築くために、他の家族を乗っ取ろう、というのである。

    そんなタコな。

    何だ、そのピュアさは。
    それだけの目的なら、普通に自分の家族を一から作った方が早いだろ。
    他の家族を乗っ取るために、まずターゲットを探し、その隣人になり(そのために家族向けのアパートの一室を借り)、身分を偽り、家族の問題や秘密を把握し、周辺でトラブルを起こし(あるいは助長し)、次にそれを解決し信頼を得て…とかもう、気が遠くなる。
    そのコストとバイタリティーを、婚活に使えよ婚活に。

    まあ、色々書いたが、仮に非現実的な人物像であっても、漫画においては、強引に面白くすることは可能である。
    それがフィクションの強みだ。
    だが本作は、悲しいほどに盛り上がらない。
    それはやはり、漫画としての表現の拙さが最大の理由という他にない。

    • 8
  4. 評価:3.000 3.0

    幼い問いと、茶番劇

    「ジンメン」の妙な迫力は買う。

    ただ、人間による他の動物の搾取とか、愛玩という名の自己愛とか、描きたいことはわからないでもないけれど、正直、浅い、薄い、という印象は拭えなかった。

    人間と他の生命との関わりというのをテーマにした漫画、というと、私はどうしても「寄生獣」が浮かぶ。
    比較してもしょうがないとはいえ、どう考えても、本作は「寄生獣」の遥か手前で止まっている。
    私が小学生なら「ふうむ」と思ったかもしれないが、今更そんなに無知にも無垢にもなれない。
    本作が投げかけている問いがあるとして、私は「そんなのわかってるっつーの」と性格の悪い感想しか出てこなかった。
    あまりに幼稚な問いに過ぎて、「寄生獣」の広川市長に会いたくなった。

    百歩譲ってその点を看過しても、主人公たちのやり取りや独白や行動は、どうにも茶番にしか見えなくて、全く入り込めなかった。

    とにかく全てが幼稚だ。
    かといって、子どもが読むにはグロ過ぎる。
    どうすりゃいいんだよ。

    私は動物が好きで、もう少し何かを見出だせる漫画ではないかと思っていたのだが、残念だ。

    • 5
  5. 評価:5.000 5.0

    本当に素敵

    この十年で読んだギャグ漫画(という分類でいいと思う)の中では、個人的には「セトウツミ」が一番のフェイバリットだが、それに迫るくらい本作も面白かった。

    両作の楽しさの共通点は、「日常」、「会話」、そして「間」であると思う。

    昔、好きな小説の中に、「面白い話を書く人というのは、面白い体験をする人ではなく、普通の体験を、人とは違った捉え方が出来る人なのだ」という意味のくだりがあったが、こういう漫画を読むと、それを痛感する。

    何気ない日々の中から、何を拾い上げ、それをどう受け止めて生きるのか。
    「センス」とか言ってしまえばそれまでなのだけれど、あまりに卓越した感覚神経に舌を巻いた。

    私たちが普通に生きる普通の毎日と、そこですれ違う普通の人々に対して、ユーモアだけではなく、優しさと愛しさを持たなければ、こういう漫画は描けない気がする。
    読んだ後で、何気ない日常を少しだけ慈しんで生きてみたくなるような、本当に素敵なギャグ漫画である。

    万人にすすめられる作品なんて、原理的にあり得ないけれど、ギャグ漫画で何かひとつ推せと言われたら、私は男性には「セトウツミ」を、女性には本作を推す。

    • 33
  6. 評価:1.000 1.0

    もういい

    申し訳ないけれど、「こういうの」は、もういい。
    今日もこの世のどこかで起きているっぽい、現実的っぽい、酷く不幸っぽい話を、「これが現実だよね、現実って残酷だよね、リアルだよね」と言わんばかりに丸投げする作品には、本当に飽き飽きしているし、心底うんざりしているのだ、私は。

    言っておくが、私は「嫌な話」は全く嫌いではない。
    「ブラッドハーレーの馬車」も「ミスミソウ」も「闇金ウシジマくん」も素晴らしい漫画だと思う。

    何でこんなにムカつくのか、正直、自分でもよくわからない。
    多分私は、人の傷や痛みにろくに向き合ってもいないくせに、それをわかった顔で描こうとする大人が、許せないのだろう。
    描かれる対象が子どもである場合は、特に。

    • 31
  7. 評価:4.000 4.0

    ポップなグロテスク

    よくもまあ、ここまで色々と気持ちの悪いものを描けるな、と感心する。
    グロテスクでありながら、実は表現としては結構ポップであって、上手くツボを押さえている。
    細かい描き込みの丁寧さと画力の高さが、それを支えている。

    食糧にされる人間の描写も、悪趣味でグロテスクではあるが、例えばフォアグラをとられるガチョウとか、繁殖を強いられるペットとかのわかりやすいメタファーになっていて、そういう意味では、ちょっと社会派の側面もある。
    相手が人間ではない、というだけで、我々は結構エグいことをやっている。
    それも、生きるために、ではなく、快楽のために。
    そして、その事実を知っても、私は今夜も美味しくフォアグラを食べる。
    そういうのが、人間の残酷なところなのだろう。
    まあ、今日の夕食はラーメンだけど。

    ただ、決してメッセージ性の強い、悪く言えば説教臭い作品ではなく、本線はあくまでスリリングな脱出劇である。

    矢継ぎ早に繰り出される恐怖演出は、「話が見えない」というストレスと相まって、読者をきっちり登場人物たちと同じ地平まで引っ張り込む。

    インパクトのあり過ぎるグロテスク描写が目立つけれど、適度に薫らせた社会派といい、ストーリー展開の妙といい、なかなかバランスに優れた、楽しい漫画だと思う。

    • 2
  8. 評価:3.000 3.0

    しょぼすぎる新世界の神

    不幸な毎日を送っていたアイドルオタクの男が「電人」となる話。
    この「電人」というのは、あらゆる電子機器の中を自由に行き来出来る存在で、要するに、ジョジョの四部のレッドホットチリペッパーみたいな人間である。

    全ての電子機器を操れるなんて、この現代社会では無敵の存在であり、デスノートじゃないけれど、まさに新世界の神である。

    しかしまあ、この男の生きる目的(生きているのかも微妙だが)は、売れない推しのアイドルを世界一にする、というしょぼすぎるもので、またそのやり方が、ライバルになる別のアイドルグループの車を事故らせるとか、動画の再生数を億単位で操作するとか、該当アイドルの悪口をネットに書き込む人間を片っ端から始末するとか、いちいち頭が悪い。
    このあたりのアンバランスを「逆にそれがいい」と楽しく読めるか、拍子抜けしてしまうかで、評価が分かれるだろう。

    ただ、電人が引き起こす様々な事件の描写には、画としてはなかなか迫力があった。

    どうでもいいけど、昔、江戸川乱歩が子ども向けに書いた「電人M」という話があったんだが、タイトルの元ネタはそれかな。

    • 4
  9. 評価:3.000 3.0

    ミギーの引用

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    ヒグマの描写はあくまで現実的な中での迫力があって、なかなかスリリングだった。
    ただ、打ち切りっぽいラストには、ちょっとフラストレーションが残った。
    もっと何かを伝えられる漫画になり得たと思うだけに。

    最後、ヒロインがヒグマを始末するときに涙を流すことには賛否あるみたいだが、私は、ヒロインの気持ちがわかる。
    私が半ば異常な動物好きであることとも無関係ではないだろうが、人間から見たらどんなに「残虐」なヒグマでも、私は自分の手で葬り去ることになったなら、悲しくてたまらないと思う。
    私は撃つ。
    自分が可愛いからだ。
    ただ、撃つけれど、「ざまあ見ろ、この化け物が!」というふうには、なれないと思う。
    「ごめんな」としか、言えないと思う。
    そういう自分を偽善的だと思う。
    しかし、変えられない。

    あるB級パニックホラー映画の中で、サミュエル・L・ジャクソンが言っていた。
    「自然は確かに過酷だが、人間の残酷さには勝てない」と。

    あるいは、私の最も好きな漫画のひとつの中で、ミギーが言っていた。
    ある日道で出会った生き物が死んで悲しいのは、人間が暇な動物だからだ、と。
    ミギーは続けた。
    心に暇のある生物、何と素晴らしい、と。

    考えてみれば、私がヒグマに対して抱いた思いというのは、「寄生獣」で新一が後藤に対して抱いた思いと、全く同じだ。
    というか、新一が、私の思いを完璧に代弁してくれて、ミギーがそれをフォローしてくれたのだ。
    あの漫画は、やっぱり凄いね。

    私は、いくら偽善的であろうとも、歪であろうとも、その暇は、失いたくないと思うのだが。

    • 10
  10. 評価:3.000 3.0

    上手い二塁手とホームランバッター

    この作者は、ストーリーテリングに関してはかなり優れた人だと思っている。
    特に、「嫌な話」を語らせたら一級品である。
    「走馬灯株式会社」にしても、「マーダーインカーネイション」(こちらは原作のみ)にしても、「何て嫌なことを考えるんだ」という想像力には舌を巻く。

    その点は、本作でも遺憾なく発揮されているように見えるが、ちょっと悪趣味に走りすぎている気もした。

    加えて、この作者の得意分野は短編であるとも思うので、ストーリーが長きに渡って連続的に展開する作品とは、ちょっと相性が悪いようにも感じた。
    これは正直、「鉄民」でも思った。

    昔、私の好きな小説の中で、生まれついての短編の名手に優れた長編が書けないのは、上手い二塁手がホームランバッターになれないのと同じだ、という意味のくだりがあったが、この作者も、あくまで上手い二塁手なんじゃないか、という気がする。

    • 6

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