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作品レビュー
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201 - 210件目/全501件

  1. 評価:3.000 3.0

    しょぼすぎる新世界の神

    不幸な毎日を送っていたアイドルオタクの男が「電人」となる話。
    この「電人」というのは、あらゆる電子機器の中を自由に行き来出来る存在で、要するに、ジョジョの四部のレッドホットチリペッパーみたいな人間である。

    全ての電子機器を操れるなんて、この現代社会では無敵の存在であり、デスノートじゃないけれど、まさに新世界の神である。

    しかしまあ、この男の生きる目的(生きているのかも微妙だが)は、売れない推しのアイドルを世界一にする、というしょぼすぎるもので、またそのやり方が、ライバルになる別のアイドルグループの車を事故らせるとか、動画の再生数を億単位で操作するとか、該当アイドルの悪口をネットに書き込む人間を片っ端から始末するとか、いちいち頭が悪い。
    このあたりのアンバランスを「逆にそれがいい」と楽しく読めるか、拍子抜けしてしまうかで、評価が分かれるだろう。

    ただ、電人が引き起こす様々な事件の描写には、画としてはなかなか迫力があった。

    どうでもいいけど、昔、江戸川乱歩が子ども向けに書いた「電人M」という話があったんだが、タイトルの元ネタはそれかな。

    • 4
  2. 評価:3.000 3.0

    ミギーの引用

    ネタバレ レビューを表示する

    ヒグマの描写はあくまで現実的な中での迫力があって、なかなかスリリングだった。
    ただ、打ち切りっぽいラストには、ちょっとフラストレーションが残った。
    もっと何かを伝えられる漫画になり得たと思うだけに。

    最後、ヒロインがヒグマを始末するときに涙を流すことには賛否あるみたいだが、私は、ヒロインの気持ちがわかる。
    私が半ば異常な動物好きであることとも無関係ではないだろうが、人間から見たらどんなに「残虐」なヒグマでも、私は自分の手で葬り去ることになったなら、悲しくてたまらないと思う。
    私は撃つ。
    自分が可愛いからだ。
    ただ、撃つけれど、「ざまあ見ろ、この化け物が!」というふうには、なれないと思う。
    「ごめんな」としか、言えないと思う。
    そういう自分を偽善的だと思う。
    しかし、変えられない。

    あるB級パニックホラー映画の中で、サミュエル・L・ジャクソンが言っていた。
    「自然は確かに過酷だが、人間の残酷さには勝てない」と。

    あるいは、私の最も好きな漫画のひとつの中で、ミギーが言っていた。
    ある日道で出会った生き物が死んで悲しいのは、人間が暇な動物だからだ、と。
    ミギーは続けた。
    心に暇のある生物、何と素晴らしい、と。

    考えてみれば、私がヒグマに対して抱いた思いというのは、「寄生獣」で新一が後藤に対して抱いた思いと、全く同じだ。
    というか、新一が、私の思いを完璧に代弁してくれて、ミギーがそれをフォローしてくれたのだ。
    あの漫画は、やっぱり凄いね。

    私は、いくら偽善的であろうとも、歪であろうとも、その暇は、失いたくないと思うのだが。

    • 6
  3. 評価:3.000 3.0

    上手い二塁手とホームランバッター

    この作者は、ストーリーテリングに関してはかなり優れた人だと思っている。
    特に、「嫌な話」を語らせたら一級品である。
    「走馬灯株式会社」にしても、「マーダーインカーネイション」(こちらは原作のみ)にしても、「何て嫌なことを考えるんだ」という想像力には舌を巻く。

    その点は、本作でも遺憾なく発揮されているように見えるが、ちょっと悪趣味に走りすぎている気もした。

    加えて、この作者の得意分野は短編であるとも思うので、ストーリーが長きに渡って連続的に展開する作品とは、ちょっと相性が悪いようにも感じた。
    これは正直、「鉄民」でも思った。

    昔、私の好きな小説の中で、生まれついての短編の名手に優れた長編が書けないのは、上手い二塁手がホームランバッターになれないのと同じだ、という意味のくだりがあったが、この作者も、あくまで上手い二塁手なんじゃないか、という気がする。

    • 6
  4. 評価:5.000 5.0

    極上の会話で送る、全く新しい寓話

    日本昔話は異常犯罪の記録であり、昔話に出てくる鬼などの怪物が現代社会でも犯罪を行っている、という設定のもとに、子どもの頃に父親を殺された新米刑事と、怪しい民俗学者が事件を捜査する、というストーリー。

    奇抜な設定だが、単なる「思いつき」とは全く異なり、相当に練られていて、面白かった。
    「瓜子姫」や「鶴の恩返し」など、著名な昔話を題材に、斬新な発想とアプローチで作品として再構築する手腕には舌を巻く。
    作品の屋台骨は、民俗学のリサーチの深さというよりは、解釈の発想力の豊かさに支えられていて、絶対に真似できない。
    「犯人」を捜したり追いつめたりするにも、原典にある「人ならざる存在」の特徴を上手く活かすあたり(例えば天邪鬼は命令に従えない、という性質を利用するとか)、思わず唸った。

    そして、この漫画の何がいいって、会話である。
    作中、主要な登場人物たちはひっきりなしに喋っているが、この会話の軽妙なテンポと、言葉の選択のセンスが絶妙で、素晴らしい。
    殺_人だとか誘_拐だとか、話の筋自体は緊迫したものが主だが、そこを流れる会話はあくまでリズミカルでユーモラスで、本筋を食ってしまうほどの勢いで躍動しながら、しかも全く作品の邪魔をしていない。
    これはちょっと、すごいと思う。

    そうしてさんざんふざけておいて、不意にグッとくる会話がくる。
    「おれにはもう一度会いたい人間も帰りたい場所も時も何一つない。幸せだなおまえは」
    「おまえにもいつかかかならず失いたくないものができる。だから今は誰かの大切な人を救うために全力で力を貸せ」
    何だよこれ。
    ずるいだろこんなの。

    本筋もばっちり面白い上に、極上の会話がそれを彩る、何とも贅沢な漫画。
    これほど会話の魅力を感じさせてくれた漫画というのは、他に「セトウツミ」くらいしか思いつけない。

    • 22
  5. 評価:3.000 3.0

    探偵業の裏表

    「探偵の探偵」をする「対探偵課」なる部署の探偵、という何だか早口言葉みたいな立場の女性探偵を主人公にした漫画。
    原作の小説があるが、未読。

    事件を解決するような小説の中の探偵と、浮気調査ばかりが主たる業務である現実の探偵は違う、というのは私たちの多くが知っているが、もう一歩踏み込んで、一般には知られていない探偵業の裏側を垣間見えるような描写がいくつもあり、まずまず興味深く読めた。

    ただ、話としては、ちょっと大風呂敷を広げすぎた感があり、大手探偵事務所と警察組織を巻き込んだ陰謀の展開には、いささか興醒めしてしまった。
    もう少し小規模なエピソードの集積で成り立つ漫画であったなら、より入り込めたのではないか、という気がする。
    もっともそれは、原作段階での問題なのだろうけれど。

    • 2
  6. 評価:3.000 3.0

    ギャップの発明

    昔は結構、真剣に読んでいた。

    前半の、のどかで平和な村での生活のラブコメ的な描写と、猟奇的で残酷なホラー展開のギャップというのは、今にして思えば、ひとつの発明だったのだろうと思う。
    それも、恐怖の対象である第三者の登場によってヒロインとの生活が脅かされる、というギャップではなく、ヒロインそのものが恐怖の対象に変わる、というギャップである。
    これが、新しかった。

    ふんだんに盛り込まれた「問題編」の謎は、なかなか吸引力があり、「解答編」が読みたくてしょうがなくなった。
    その形式、および、原作ゲームのエピソードをばら売りにして次々と作品を「増殖」させていったようなメディアミックスの展開も含め、なかなか商売上手な作品であった。

    しかし、期待しまくったわりには「解答編」がズバッと決まっておらず、一種のSF的な文脈も受け入れがたくて、若い私の熱がいっきに冷めたことは、今でもよく覚えている。

    • 2
  7. 評価:4.000 4.0

    禁忌と勇気

    世の中の恋愛には色々な種類のタブーがあるけれども、娘の友達、というのは、読者の生理的嫌悪感を煽る設定としては、最大限に近いそれではないかと思う。

    この漫画に関しては、多くの批判、というか非難を読んだ。
    「いい大人が娘の友達と恋に落ちるのが生理的に気持ち悪い」
    「友達の親を誘っているようにしか見えない女も気持ち悪い」
    「不登校の娘よりも娘の友達との恋愛をとるなんてあり得ない」
    「社会人としても家庭人としても失格である」
    そういう全て、理解できるし、正直、私もそう思う。

    ただ、声を大にして言いたいのは、作中の登場人物が気に入らない、ということと、漫画という作品に対する評価というのは、難しいけれど、ある程度切り離して考えるべきではないか、ということだ。
    これは自戒を込めてだが、私はそう思う。
    人間の愚かさを描いているからといって、その愚かさが気に入らないからといって、作品までもが愚かである、ということにはならない。

    客観的には、理性的には、どう考えても守らなくてはいけないものが他にたくさんあるのに、一時の熱情に流されて全てを失う道を選んでしまうのも、また、人間なんじゃないの、と。
    そして、その熱情から不意に退屈な日常に帰れるのも、また、人間なんじゃないの、と。
    主人公の選択の是非はさておいて、この作品が描こうとしたものは、私は、肯定できる。

    私自身はこの漫画の主人公のような選択をおそらくしないし(あるいは出来ないし)、多くの良識ある読者にとっても、そうなのだろう。
    しかし、そのような人間を頭ごなしに否定することも、また出来ない。
    程度が違うだけで、あるいは種類が違うだけで、この主人公が持つような愚かさと全く無縁で生きている、と言える自信が、私にはないからだ。

    おそらく、この漫画の設定や展開が読者に喚起する反感、嫌悪、軽蔑、そういった全てをとっくにわかっていて、それでも作者は、描いたのだろうと思う。
    それは、いくぶん甘い見方かもしれないが、ひとつの勇気であったのではないかと思う。
    だから、作品として極めてリスキーなタブーに踏み込んだこの冒険の是非を、私は問わない。

    • 8
  8. 評価:4.000 4.0

    認めるしかない

    以前、この作者の「花園メリーゴーランド」という作品に星五つをつけたのだが、はっきり言って私は「花園メリーゴーランド」が全く好きではない。
    好きではないのに星を五つつけた漫画、というのは、そんなにないと思う。

    本作を読んではっきりしたことは、ミもフタもない言い方で申し訳ないが、私はこの作者の漫画が全然好きではない、ということだ。
    しかしながら、この人の漫画の技量は、認めざるを得ない。

    「花園メリーゴーランド」は、前近代的で閉鎖的な村社会における人間たちの姿を描いた。
    本作はさらに舞台が退行(差別的な言い方だが)して、文明ほぼ皆無の島社会である。
    何がすごいって、作者がどんな人生を送ろうが閉鎖的な村社会と島社会の双方を「経験」したはずはさすがにないと思うのだが、どちらも異様なリアリティーと迫力をもって描かれている点である。
    いったいどういう種類の想像力を持ち合わせているのか、マジでわからない。
    何でこんなものが描けてしまうのか。

    「花園メリーゴーランド」も、本作も、表現されていることは、基本的には同じだ。
    それはつまり、人間という存在の、薄汚くて生臭い、綺麗ごとでは済まない生命力みたいなものだと思う。
    作者がそれを肯定しているのか皮肉っているのか、私にはイマイチ、わからない。
    おそらくそのどちらでもなくて、人間というものを、ただ見つめる、というのに近いと思う。

    また、「花園メリーゴーランド」も本作も、一見すると現代社会とは縁遠く見える特殊な社会の人間模様を描くことによって、結果的に、現代社会の本質を照射する、というような、何だか社会学の論文みたいなことを漫画を通じてやっている気がするのだが、そのへんはもう、難しすぎて、私にはわからない。

    いずれにしても、この作者の表現方法というものが、個人的には決して、好きではない。
    それでも、この異常な想像力と筆力は、どういったって認めるしかない。

    • 3
  9. 評価:3.000 3.0

    緊迫感のなさ

    ちゃらんぽらんだが、人の感情を「読む」能力(超能力的なそれというよりは、表情を読み取る力があり得ないレベルで高い、みたいな感じ)を持つ刑事が主人公のサスペンス。

    それなりに楽しく読めたのだが、どうにも入り込めなかった。
    理由はもう、はっきりしていて、良くも悪くもこの作品の色であるところの緊迫感のなさが、私はどうしても駄目だった。
    「金田一少年」や「コナン君」よりも対象年齢は高い漫画のはずなのに、明らかに緊張感に欠ける。
    サスペンス漫画において、一定の緊張感というのは生命線であると私は思うから、この漫画は「合わなかった」という他にない。

    主人公のふざけたキャラクターやポップな絵柄に反して、事件は、目をくりぬかれるとか、バラバラだとか、小指を持ち去るとか、かなり猟奇的なものが多い。
    このあたりはバランスの問題で、あまりに陰惨に過ぎるトーンをコメディ色で緩和しよう、という狙いはあってもいいとは思う。
    だが、個人的には、その割合が大きすぎて、結果「もうちょっと真面目にやってくれ」という思いが拭えなかった。
    決して完成度の低い漫画ではないと思うが、残念。

    • 3
  10. 評価:3.000 3.0

    漫画と原作について

    私のレビューは結構いい加減で、評価の軸がぶれていたり、気分によってかなり左右されたり、という有様だから、後から読み返すと「これは甘すぎたな」と思うことはちょくちょくある。
    ただ、逆はほとんどない。
    つまり「これは酷く言い過ぎたな」ということは少ない。
    仮にも他人の作品の悪口を言うことについては、私はわりに慎重になっているのだろう。
    まあ、それはいい。
    それはいいとして、「原作の小説がある」という漫画に関しては、私はわりに明確な評価指針を持っている。

    星一つ…原作を冒涜している。または、そもそも原作自体が腐っている。
    星二つ…原作の魅力を損なっている。または、そもそも漫画化する意義を感じない。
    星三つ…漫画として破綻はないが、原作の魅力には大きく劣る。または、再現度は高いものの、大して魅力的な原作ではない。
    星四つ…原作には及ばずとも、原作の利を活かし、原作の魅力を十分に引き出している。
    星五つ…「原作を上手く漫画化した」以上の特別な何かがそこにあり、原作とは別の意味で、ひとつの作品として素晴らしい。

    多分、今まで原作の小説がある漫画で星を五つつけたのは、「鉄鼠の檻」と「パノラマ島奇譚」だけだと思う。
    星四つは、「光媒の花」や「ユリゴコロ」や「夜行観覧車」や「絡新婦の理」、他にもあったと思う。

    本作は、迷いなく、三である。
    話としてはそれなりに興味深かった。
    しかし、どう考えても叙述が鍵になるタイプの作品で、この魅力を漫画でもって再現しようとすること自体、ちょっと無理があったような気もする。

    • 3
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