2.0
悪女の違和感
従妹にたちの悪い女を持ってしまった主人公の話。
たちの悪い、というのは、主人公の恋人を奪い、悪びれることもなくその男といる場に主人公を呼ぶような女である。
そして、主人公についてきた男友達に露骨に色目を使うような女である。
おいおい。
いわゆる「悪女」モノだが、何やらしっくりこなかった。
悪女の定義みたいなものは人それぞれあるにせよ、その条件というのは、可愛くて、強かで、賢くて、怖い、そして、「可愛い」以外の要素を外には見せない、ということではなかろうか。
その点、この漫画の従妹は、まずもって頭が悪すぎる。
馬鹿な女のフリが出来るのが悪女なのであって、本当の馬鹿では悪女の魅力にも迫力にも欠ける。
怖さはまあ、ないこともないが、それはチャーミングな笑みを浮かべて平気で背後から刺すような怖さではなく、デーモン閣下みたいなのが「グハハハハハ」と笑うような類の怖さなのである。
読んだ人には、何となく伝わるんじゃないかと思う。
このあたりはまあ、正直、漫画としての表現の稚拙さもある。
また、主人公のキャラクター設定も甚だ疑問で、お人好しにも限度があるだろう。
ここまで間抜けだと、はっきり言って同情の余地がない。
ときどき、詐欺被害に遭った人に対して「騙される方も悪い」という残酷な攻撃がなされるが、私は主人公に対して、それと似たような感情しか抱けなかった。
主人公を応援できない、かといって悪女の側にも魅力はない。
それだともう、作品についてゆくことは難しい。
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9
悪魔はそこに居る