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作品レビュー
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191 - 200件目/全501件

  1. 評価:5.000 5.0

    ホラーって楽しい

    マッド・メディカル・ホラー・ブラック・コメディ、とでも言うか、とても楽しい漫画である。

    「ブラック・ジャック」のホラー・コメディ版、というと少しは伝わるだろうか。
    あるいは、「ブラック・ジャック」と「笑ゥせぇるすまん」を足してグロテスクな味つけをした、というか。

    とにかく、主人公である人造人間・ふらんのキャラクターがいい。
    人間離れした(まあ人造人間だけど)圧倒的な医療技術、常識と倫理観の完全な欠如、それでいて、彼女は決してサイコ系のキャラクターではなく、基本的には「善意」で動いている。
    世のため人のため、である。
    そうして善を為そうとして、結果的に酷いことばかりやっている。
    が、考えてみれば、人間とはそもそもそういうものではなかろうか。
    ヒトラーだって、善と信じてやったのだ。
    その意味では、まことに人間らしい人造人間である。

    このあたりのバランス感というか、アンバランス感が絶妙で、出来事としては結構残酷な筋立てのエピソードが多いにもかかわらず、不快感も悲壮感もまるでない。
    これだけバッドエンドを積み重ねながら、後味はむしろ爽やか、というのは、凄いことだと思う。
    その奇異な読後感に私はすっかりやられてしまい、先を読むのが止まらなかった。

    嗚呼、ホラーって楽しいなあ、という感慨を抜群の疾走感で届けてくれる、悪意の皮を被った善意に満ちた、良質な作品。

    序盤でいうと、「CHRYSALIS」のエピソードは必見である。

    • 6
  2. 評価:4.000 4.0

    異常な表現力

    頭蓋骨に穴を開ける「トレパネーション」手術を受けた男の話。

    手術後、主人公は他人の深層心理みたいなものが視覚化して見えるようになるのだが、その表現が圧巻である。
    水木しげるによる妖怪の表現とか、ジョジョのスタンドの表現とか、「見えざるもの」を魅力的に描ける、というのは漫画の素晴らしい利点のひとつだと思うが、本作のホムンクルスのインパクトも凄まじい。

    ホムンクルスは一貫して不気味でグロテスクな存在として描かれるが、闇雲なグロテスクではなく、人間の本質的な弱さや醜さを具象化しているようで、なかなか巧妙に練られている。
    江戸時代の頃、日本で描かれた妖怪の絵というのは、そこから人情や世相を読み解く「絵解き」の側面があったが、私は本作のホムンクルスを見て、その妖怪画を想起した。

    トラウマとコンプレックス、主体と客体、内面と外面、といった人間存在の根幹に迫るようなアプローチをしている作品だが、そのあたりは難しすぎて、私の頭脳ではキャパを超えてしまった。
    ただ、そういう小難しい話を抜きにしても、普通ではあり得ない表現に成功した漫画として、一読の価値はあると思う。

    途中、ちょっと迷走する期間が長いのは気になったが、考えてみれば、主人公自身が終始迷走しているような漫画なので、それはそれで、作品に相応しいのかもしれない。

    • 7
  3. 評価:4.000 4.0

    絶品シチュエーションコメディ

    同じ作者の「てっぺんぐらりん」を先に読んで、それがあまりに素晴らしくて、こっちに飛んできた。

    江戸の花魁が現代にタイムスリップする、という非常にわかりやすいシチュエーションコメディなのだが、これがまあ、滅法面白い。

    設定としてはとりわけ新しいものではないが、時代のギャップをどう笑いに落としこむか、というセンスが光るのと、一方で、江戸時代の人々が妙に現代に馴染んでしまっている可笑しみもあって、とても楽しく読めた。

    また、主人公の花魁が現代の中で「浮いている」様子が、話の筋としてだけではなく、絵柄としても表現されている、という巧みさには、思わず唸った。
    背景となる周囲の人々と異なり、花魁の姿だけは、浮世絵風の絵柄で描かれる。
    これは非常に漫画的な表現で、映画にも、小説にも、真似が出来ない。

    星をひとつ引いたのは、「てっぺんぐらりん」が超越的に凄すぎたのと、もうひとつは、本作のすぐ後で「女の園の星」を読んでしまったせいである。
    こういう評価はあまりフェアではないと思いつつ、「女の園の星」を通じて、私は、シチュエーションを作りこむタイプのギャグ漫画より、日常の中から笑いを拾う、という種類のギャグ漫画の方が明確に好きなのだ、ということに気づいてしまったのだった。
    そのあたりは当然、本作に責任はない。
    全ての作品の評価には、タイミングという運が関わっており、何もかもを客観的に判断し続ける能力は、私にはない。

    • 3
  4. 評価:3.000 3.0

    余命○○アレルギー

    最初に謝罪しておく。
    以下に述べる内容は全て、私の性格が捻じ曲がっていることに由来するものであり、漫画に責任はない。
    申し訳ない。

    私は、「余命○○」という設定が、根本的に好きではない。
    だったら読むなよ、という意見はごもっともなのだが、死神、というトリッキーな主人公に惹かれて、思わず読んでしまった。
    結論としては、まずまず楽しめたのだけれど、「余命○○アレルギー」の私はやはり、イマイチ入り込めなかった。

    やはり、「余命○○」という設定だけでもう、私は駄目だ。
    繰り返し、素直な心をどこかに置き忘れて大人になってしまった私は、「そんなの感動するに決まってんじゃん」と思ってしまうからだ。
    他の作品名を明示するのは避けるが、例えば「○日後に死ぬワニ」とか、タイトルを聞いただけで、「ハイ反則ー」と思う。

    いや、感動はするよ。
    私とて人の子であるから、余命○○の人やワニが死に向かいながら生きているのを見て、感動はする。

    ただ、そういう感動が、私は嫌いだ。

    ひとつは、感動の押し売りをされているような気分になるからだ。

    二つ目は、そんな、どういったって感動するしかないような設定に頼って、恥ずかしくねえのかよ、と天邪鬼なことを思うからだ。

    三つ目は、余命を知って日々を慈しむ、という構図自体が、そもそも嫌いだからだ。
    これは、図式としては、恋人を失ってから「失って初めて気づいたよ」系のことを言う男に似ている。
    私はそれが、大嫌いである。
    そんなもん、先に気づいとけや、とほとんど憤怒すら感じる。
    そういう人間にだけは絶対にならないと決めて長い間生きてきたから、これは、変えられない。

    別に余命を宣告されようとされまいと、私たちは皆、緩やかに死に向かっている。
    それを、いついつがリミットですよ、なんてわかりやすく示してもらえないとクリアに生きられないなんて、ちょっと残念すぎないか。
    大切なのは、残り少ない命を知ってどう生きるか、ではなくて、どれだけ残りがあるかわからない命をどう生きるか、ということなんじゃないの、と、私なんかは思うのだけれど。

    • 9
  5. 評価:3.000 3.0

    短すぎるけれど

    サイコメトリーの使える私立探偵の話。

    五話完結、というのを完全に見逃して読み始めたので、あまりに早い終幕にびっくりした。
    長ければいい、というものでもないが、五話で終わっていい、という種類の漫画でもないと思う。
    設定上の問題として、こういうのは、様々なサイコメトリーのバリエーションを描いてこそ、面白味が出てくるタイプの作品なのではなかろうか。

    ただまあ、正直、「もっと読みたい」というほどでもなかった。
    私は、妙にひねった助手のキャラ設定が受け入れ難かったのと、「嘘と本当」をめぐるテーマ性みたいなものもどうにも薄っぺらく感じられて、好きになれなかった。

    • 2
  6. 評価:2.000 2.0

    何だそのピュアさは

    ネタバレ レビューを表示する

    家族に取り入り、家族を乗っ取ろうとする男の話。
    とだけ書くと、現実にありそうだが、実際には猛烈な嘘臭さが漂う。

    例えば悪名高い北九州の事件なんかは、ある種の家族乗っ取り事件だが、当然、本来の目的は、金だ。
    そこに、サディズムとか過剰なコントロールへの欲求とか、異常な要素は絡むとしても、極めて現実的な目的がある。
    また、仮にだが、家族を崩壊させることが目的だ、というのも、現実にそんな事件があるかは別として、まだギリギリ理解できる。

    しかし、本作の主人公(?)は、全く違う。
    自身は恵まれない家庭に育ち、幸せな家庭を築くために、他の家族を乗っ取ろう、というのである。

    そんなタコな。

    何だ、そのピュアさは。
    それだけの目的なら、普通に自分の家族を一から作った方が早いだろ。
    他の家族を乗っ取るために、まずターゲットを探し、その隣人になり(そのために家族向けのアパートの一室を借り)、身分を偽り、家族の問題や秘密を把握し、周辺でトラブルを起こし(あるいは助長し)、次にそれを解決し信頼を得て…とかもう、気が遠くなる。
    そのコストとバイタリティーを、婚活に使えよ婚活に。

    まあ、色々書いたが、仮に非現実的な人物像であっても、漫画においては、強引に面白くすることは可能である。
    それがフィクションの強みだ。
    だが本作は、悲しいほどに盛り上がらない。
    それはやはり、漫画としての表現の拙さが最大の理由という他にない。

    • 8
  7. 評価:3.000 3.0

    幼い問いと、茶番劇

    「ジンメン」の妙な迫力は買う。

    ただ、人間による他の動物の搾取とか、愛玩という名の自己愛とか、描きたいことはわからないでもないけれど、正直、浅い、薄い、という印象は拭えなかった。

    人間と他の生命との関わりというのをテーマにした漫画、というと、私はどうしても「寄生獣」が浮かぶ。
    比較してもしょうがないとはいえ、どう考えても、本作は「寄生獣」の遥か手前で止まっている。
    私が小学生なら「ふうむ」と思ったかもしれないが、今更そんなに無知にも無垢にもなれない。
    本作が投げかけている問いがあるとして、私は「そんなのわかってるっつーの」と性格の悪い感想しか出てこなかった。
    あまりに幼稚な問いに過ぎて、「寄生獣」の広川市長に会いたくなった。

    百歩譲ってその点を看過しても、主人公たちのやり取りや独白や行動は、どうにも茶番にしか見えなくて、全く入り込めなかった。

    とにかく全てが幼稚だ。
    かといって、子どもが読むにはグロ過ぎる。
    どうすりゃいいんだよ。

    私は動物が好きで、もう少し何かを見出だせる漫画ではないかと思っていたのだが、残念だ。

    • 5
  8. 評価:5.000 5.0

    本当に素敵

    この十年で読んだギャグ漫画(という分類でいいと思う)の中では、個人的には「セトウツミ」が一番のフェイバリットだが、それに迫るくらい本作も面白かった。

    両作の楽しさの共通点は、「日常」、「会話」、そして「間」であると思う。

    昔、好きな小説の中に、「面白い話を書く人というのは、面白い体験をする人ではなく、普通の体験を、人とは違った捉え方が出来る人なのだ」という意味のくだりがあったが、こういう漫画を読むと、それを痛感する。

    何気ない日々の中から、何を拾い上げ、それをどう受け止めて生きるのか。
    「センス」とか言ってしまえばそれまでなのだけれど、あまりに卓越した感覚神経に舌を巻いた。

    私たちが普通に生きる普通の毎日と、そこですれ違う普通の人々に対して、ユーモアだけではなく、優しさと愛しさを持たなければ、こういう漫画は描けない気がする。
    読んだ後で、何気ない日常を少しだけ慈しんで生きてみたくなるような、本当に素敵なギャグ漫画である。

    万人にすすめられる作品なんて、原理的にあり得ないけれど、ギャグ漫画で何かひとつ推せと言われたら、私は男性には「セトウツミ」を、女性には本作を推す。

    • 18
  9. 評価:1.000 1.0

    もういい

    申し訳ないけれど、「こういうの」は、もういい。
    今日もこの世のどこかで起きているっぽい、現実的っぽい、酷く不幸っぽい話を、「これが現実だよね、現実って残酷だよね、リアルだよね」と言わんばかりに丸投げする作品には、本当に飽き飽きしているし、心底うんざりしているのだ、私は。

    言っておくが、私は「嫌な話」は全く嫌いではない。
    「ブラッドハーレーの馬車」も「ミスミソウ」も「闇金ウシジマくん」も素晴らしい漫画だと思う。

    何でこんなにムカつくのか、正直、自分でもよくわからない。
    多分私は、人の傷や痛みにろくに向き合ってもいないくせに、それをわかった顔で描こうとする大人が、許せないのだろう。
    描かれる対象が子どもである場合は、特に。

    • 29
  10. 評価:4.000 4.0

    ポップなグロテスク

    よくもまあ、ここまで色々と気持ちの悪いものを描けるな、と感心する。
    グロテスクでありながら、実は表現としては結構ポップであって、上手くツボを押さえている。
    細かい描き込みの丁寧さと画力の高さが、それを支えている。

    食糧にされる人間の描写も、悪趣味でグロテスクではあるが、例えばフォアグラをとられるガチョウとか、繁殖を強いられるペットとかのわかりやすいメタファーになっていて、そういう意味では、ちょっと社会派の側面もある。
    相手が人間ではない、というだけで、我々は結構エグいことをやっている。
    それも、生きるために、ではなく、快楽のために。
    そして、その事実を知っても、私は今夜も美味しくフォアグラを食べる。
    そういうのが、人間の残酷なところなのだろう。
    まあ、今日の夕食はラーメンだけど。

    ただ、決してメッセージ性の強い、悪く言えば説教臭い作品ではなく、本線はあくまでスリリングな脱出劇である。

    矢継ぎ早に繰り出される恐怖演出は、「話が見えない」というストレスと相まって、読者をきっちり登場人物たちと同じ地平まで引っ張り込む。

    インパクトのあり過ぎるグロテスク描写が目立つけれど、適度に薫らせた社会派といい、ストーリー展開の妙といい、なかなかバランスに優れた、楽しい漫画だと思う。

    • 1
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