rokaさんの投稿一覧

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181 - 190件目/全509件
  1. 評価:4.000 4.0

    言葉にならないその何かを

    「先生の白い嘘」から飛んできた。

    「これはちょっと言葉にならないよな」という、感情だったり、あるいは感情未満の感覚みたいなものだったり、自分でもそれが何なのかわからないような、ときにはそれが自分の中に存在していることにも気づけないような、あるいは認めたくないような、ぐちゃぐちゃの有象無象を抱えて、私たちは日々、生きている。

    それは別に、言葉にならなくていいものなのかもしれない。
    形にならなくていいものなのかもしれない。
    それは、そうなのだけれど。

    そんな、何とも表現されないままに、自分の中にたまっていったり、通り過ぎていったりする「何か」に、漫画という手段でもって形を与えたのがこの作品なのではないかと思ったし、私たちの言葉にならない言葉を翻訳するような感性と技術には、もう、感心するしかなかった。

    • 3
  2. 評価:4.000 4.0

    理想的なタッグ

    話としてはそこまで凝ったミステリ的な深みはないが、それでかえって、漫画としての勢いで読ませる、コンパクトでスリリングな作品に仕上がっている。
    ストーリーはシンプルな反面、道中で様々な小道具を駆使して盛り上げるのも、まさに匠の技である。

    心理描写の雰囲気なんかは完全に「カイジ」のそれで、「絵」なしで作者のカラーを感じさせるというだけでも、福本伸行の色の濃さは大したものだと思う。
    ただ、これで「絵」が福本伸行だったら…と考えると、正直、これほど緊張感のあるサスペンスになったかは疑問符がつく。
    そういう意味でも、本作のタッグは理想的だった気がする。

    話の尺も、絶妙なところ。
    これはもう、一気読みするしかないだろう。

    • 2
  3. 評価:4.000 4.0

    抜群の展開力

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    壮絶ないじめを受け、挙句の果てには屋上から落とされた主人公が、落下地点で教師と激突し、その教師と精神が入れ替わる、というところから始まる復讐の物語。
    うんざりするほど量産されてきた典型的な「いじめ→復讐」系の漫画ではあるのだが、烏合の衆とはレベルが違い、これがもう、滅法面白い。
    完全にハマってしまい、最新話まで一気読みした。

    細かい点を見れば、教師の肉体で女子生徒と関係を持ってしまう主人公の行動原理だとか、無能すぎる警察だとか、特に後半では「精神の入れ替わり」を周りの人間があっさり信じてしまうとか、突っ込みどころは豊富にあるのだが、そんなものは些事に過ぎないと断言したくなるほど、本筋がマジで面白すぎる。

    本作の突出した魅力は、その「展開力」だと思う。
    緻密な構成力、というのではなく、どちらかと言うと荒っぽいのだが、とにかく話を勢いよく転がしていくのが、上手い。
    その展開力、ストーリーの推進力を支えているのは、キャラクターのドラスティックな変貌ぶりで、メインの登場人物の多くが、作品開始時とはまるで違う印象になる。
    半端な変化ではなく、熱血漢の教師が極悪人のサイコ野郎になり、いじめに加担していたクズ女がヒロインになり、役立たずの端役が女神になる、という具合である。
    しかも、それらに決定的な違和感がない。

    いやー、久しぶりに漫画で少年時代のワクワクを思い出した。
    これほどまでに手垢にまみれたジャンルで、今更これほど胸が高鳴ろうとは、驚きであると言う他にない。
    ありがとうございました。

    • 7
  4. 評価:5.000 5.0

    騙された私の負け

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    第一話の冒頭は、ある男子生徒が女子生徒に、読者が目を背けたくなるほど悪質ないじめを行っている描写に始まる。
    よくあるいじめ→復讐系の漫画かと思いきや、これがまるっきりのミスリードで、途中から(というか序盤から)完全なギャグ漫画に変貌する。

    実は、いじめていた男の子(主人公)の方が、女の子(ヒロイン)に、いじめることを強要されており、いじめが生ぬるいと、後でヒロインから苛烈を極める暴力でもってお仕置きされる、という設定である。
    なぜ少女がそのような奇行に走るのか、明らかにならないままストーリーは進むのだが(一応、過去にいじめで友達を亡くしていて、それを救えなかった自分を罰しているのでは、と感じさせるような伏線は出てくるが、読んだところまででは何とも言えない。私は「文化祭編」まで読んだ)、その本筋はいったん置くにしても、実にいい拾い物をした、と思える漫画であった。

    いじめというセンシティブな題材を扱っているだけに、これをギャグにもっていくのは不謹慎と言えばまあそうなのだが、はっきり言って私は楽しくてしょうがなかった。
    肝心のギャグ部分が、単純にとても面白かったからだ。

    本作は様々な少年バトル漫画、スポーツ漫画、推理漫画、ホラー漫画、などのパロディに満ちていて、私が元ネタをわかったのはごく一部だと思うが、「少年漫画あるある」を逆手にとったその懐の深さと造形の深さ、センスの良さ、そして、少年漫画への愛情みたいなものには、ほとんど感動すら覚えた。

    何とかいじめをやめて平穏な学園生活に戻りたい主人公、主人公が自分以外をいじめることも主人公以外が自分をいじめることも許さない奇怪なヒロインを始め、新選組に憧れるまるで頼りにならない正義漢、黒板を片手で振り回す本物のいじめっ子、主人公を溺愛する万能サイコ美少女、タフな肉体を持つミュンヒハウゼン症候群少女、と脇を固めるキャラクターたちも可愛くて楽しい。

    そんなわけで、第一話だけ読んでやめない方がいい、と声を大にして言いたい漫画なのだが、最初だけ読んで離脱する読者がないよう、第一話からきっちりネタばらしをしてくる点は実に巧妙で、その大胆さには舌を巻く。
    第一話のサプライズの大きさ、という点では、私が読んだ漫画の中で歴代一位かもしれない。

    星五つはあげすぎな気もするが、これだけ見事に騙されると、もう、私の負けである。

    • 9
  5. 評価:4.000 4.0

    ホラーの二重奏

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    土着系、民族系のホラーで、小説が原作(未読)。
    個人的には好きなジャンルで、軽度な(よく言えばポップな)民俗学のバックグラウンドで味をつけた「ぼぎわん」の存在感はなかなか面白かった。

    題材は目新しいものではないが、本作の見せ場は構成の妙で、原作がホラー大賞を受賞したのも、おそらくこの構成力が評価されたのが一因かと思われる。
    三部構成で、第一部が夫、第二部が妻、第三部が事件を追う記者の視点から、それぞれ綴られる。

    私は、第一部から第二部への切り替えの見事さに感心した。
    第一部を読むと、語り手の夫は普通のサラリーマンで、妻と子どもを守るために怪異に立ち向かうオーソドックスな主人公として映るのだが、まずこの夫が、第一部のラストで死ぬ。
    そして第二部では、その夫が、妻から見れば、実は半ば死んでほしいくらいに疎ましい男だったことが明らかになる。
    この描写が、凄い。
    何が凄いって、夫が実は不倫をしていたとか、とんでもない過去の秘密があったとか、そういうことは一切なく、ただ単に、夫が見ている世界と妻が見ている世界が全く違った、という描き方をしている点である。
    現実とは多くの場合、こうなのだろう。
    主観と客観のズレ、というか、誰かの主観と誰かの主観のズレ。
    「寄生獣」の中で、ミギーが「仮に魂を入れ替えることが出来たなら、全く違う世界が見えるはずだ」という意味のことを言っていたが、私たちはそういうズレの中に生きており、そのズレが許容量を超えて乖離したとき、例えば夫婦関係が破綻したりする。
    それに気づかないのはだいたい男の方で、本作も然りである。
    本作はいわゆる「人怖」のホラーではないが、「ぼぎわん」という怪異の恐怖と、人間関係にまつわる人の愚かさという一種の恐怖が二重奏となって、とても興味深かった。

    ところが、問題は第三部である。
    「ぼぎわん」という正体不明の怪異を描く第一部。
    オカルトの恐怖に人間関係の恐怖を重ねつつ、謎解きが進む第二部。
    そして第三部は、雑に言うと、霊能バトル漫画に近い、イメージ的には。
    どうしてこうなったんだろう、と私は首を捻ったが、もしかしたら作者が本当にやりたかったのはこれなのかもしれない。
    だとしたらしょうがない。
    しかし、私はこのジャンル変更みたいな展開にどうにも乗っかれず、第二部までが楽しかっただけに、ちょっと残念だった。

    • 5
  6. 評価:2.000 2.0

    古田の必然性

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    この漫画というか企画に、古田本人がOKを出したことに驚く(さすがに無許可じゃないだろうから)し、その企画力はまあ、買おう。

    ただ、尺の都合上しょうがないのかもしれないが、内容は非常に薄い。
    キャッチャーのスローイングやキャッチング、リード面などについて、多少の「古田的な」言及はあるものの、はっきり言って、ネットでちょっと調べただけでも書けるレベルの情報しかないし、古田である必要性も「高校までは無名だった」「メガネのキャッチャー」くらいしか感じない。
    私はヤクルトファンでも古田ファンでもないが、仮にファンだったならムカついたと思う。
    結局、安っぽい精神論みたいなところに帰着していく後半も本当に寒い。

    あと、古田が似ていない。

    • 2
  7. 評価:2.000 2.0

    誰も彼もがどうかしている

    ネタバレ レビューを表示する

    まあ不倫ものだけど、何かもう、登場人物たちがあまりにぶっ飛んでいて、ついていけなかった。
    性格が悪いとか、変わり者とか、そういうレベルではなく、ほとんど異常者である。

    【異常者①主人公の夫の不倫相手】
    シングルマザー、職業は弁護士。
    夫が妻(主人公)を裏切る瞬間がたまらないわ、というようなトチ狂った恋愛観を持つ悪徳女。
    客がたくさんいるレストランで「早く奥さんと別れてよ!」と怒鳴り散らすなど、情緒不安定な側面も持つ。
    だいたい、こんな、すぐに我を失うようなヒステリックな人間に、弁護士が務まるのか?

    【異常者②主人公の夫】
    異常者①と不倫中の銀行マン。
    結婚した当初は優しかったが、仕事のストレスから豹変していく。
    けなげに夫を慕う主人公に対して、結婚記念日には床に現金をばらまき、「好きなものでも買うといい」と言い放つ。
    お前はおぼっちゃまくんか。
    どうしてそうなるんだというレベルで人格を破綻させている。

    【異常者③主人公】
    夫が上記のようなサイコぶりを発揮しているにも関わらず、あくまで夫を迷いなく愛している、と書くとまともそうだが、いくら何でも度が過ぎている。
    夫が食卓で妻の方を見ようともせず、ずっとスマホをいじっているのに、「今日は久しぶりに夫と夕食だえへへへ」と喜ぶなど、常人よりIQが大幅に欠落しているのではないかというレベルで幸福のハードルが低すぎる。

    【異常者④主人公の幼馴染】
    本来であれば白馬の王子様的な位置づけのはずのこいつがとにかく一番ヤバい。
    主人公が苦しんでいると見るや、ソッコーで夫の不倫現場の写真を撮って主人公に見せるというバイタリティーの持ち主だが、主人公の弱みにつけこんであわよくば、というような狙いがなく、「花ちゃんをいじめるやつは許さない」というティーンエイジャー未満の正義感で動いている。
    主人公を救うというより、もはや夫とその不倫相手を陥れることが目的化している感があり、とにかく不気味すぎる。

    あれ?
    何かちょっと面白そうな感じになってしまった。
    まあいいか、それはそれで。

    • 25
  8. 評価:3.000 3.0

    決まらない豹変芸

    以前、この作者の「灰色の乙女」という漫画を読んだとき、登場人物の豹変によって恐怖を演出することに成功している、という印象を持った。
    本作でもその「豹変」は健在で、人間のいわゆる「裏の顔」みたいなものは、この作者が入れ込んでいるモチーフなのかもしれない。

    ただ、本作の場合、「灰色の乙女」で見られたほど、その「豹変芸」は上手く機能していないように思えた。
    それはおそらく、登場人物を支えるバックボーン的なものに、イマイチ説得力を感じなかったからではないかと思う。

    「灰色の乙女」の場合、それは端的に言えば「愛」だった。
    歪んだ愛かもしれないし、あれを愛とは呼ばない人が多くいることも受け入れるが、少なくとも主人公にとっては、愛だった。
    が、本作、それが何なのかイマイチ伝わらない。

    ナチュラルな豹変は狂気だが、作り物の豹変は途端に「演技」に成り下がる。
    私は「灰色の乙女」の狂気的な部分に惹かれただけに、本作の演技的な豹変には、いささか残念な気持ちになった。

    • 2
  9. 評価:5.000 5.0

    ノスタルジア、そして、戦う子ども

    この原作者の漫画化作品は「死者恋」「フクロウ男」と読んできて、これが三つ目。
    「フクロウ男」も結構凄かったけれど、本作には完全にやられた。

    話としては、いわゆる「ループもの」で、主人公の少年は、友達を救うために、同じ一日を何度も繰り返す。

    私はそもそも短編小説という表現形態が好きで、短編小説の良質な漫画化も好きである。
    その点から言えばもう、本作は満点という他にない。

    何がいいって、作品の空気感がいい。
    ピンポイントの世代で言えば、私より少し上の年代により刺さるのだろうが、描かれているのはほとんど普遍的と言って差し支えない、あなたや私の「あの頃」であり、そのノスタルジックな手触りは、絵柄と相まって、とても魅力的に映った。
    そのノスタルジアと、反復される友人の死、というもの悲しいファンタジーが、一種特異な世界観を創出している。

    思うのだが、子ども、という存在は、大人ではあり得ない種類の戦いみたいなものを、日夜続けている気がする。
    その大半は、大人になってしまった我々の目からは些細な問題に映るので、私たちはいつしか、その壮絶さを忘れる。
    「下らないことで悩んでたよね」と。
    しかし、大人がどれほど子どもを笑っても、あるいは自らの幼さを自嘲的に振り返っても、やはりそこには過酷な戦いがあったのだと思うし、その欠片くらいは忘れたくないと私は思う。
    子どもと関わる人間であるなら、なおさらだ。

    本作が描いたのは、「昨日」が繰り返されるファンタジーであるのと同時に、大人には決して理解されることのない孤独な戦いを続ける少年の、つまりは、かつてのあなたや私の、普遍的な物語でもあったと思う。
    そういう意味で、本作は、戦い続ける子どもたちへのアンセムであり、その戦いを終えた大人たちへのレクイエムでもある。

    作品において「子ども」を描く、ということについて、これ以上に誠実な視線というものを、私はあまり知らない。

    • 37
  10. 評価:4.000 4.0

    虚実の振れ幅

    自らが「都市伝説」になる、という妄念に憑りつかれた男の話。
    私がどうかしているのかもしれないが、主人公の気持ちは、何となくわかる。
    私も都市伝説になりたーい。

    ただまあ、主人公の狂気のリアリティーにはそれほど説得力がなく、はっきり言って、客観的に見れば嘘臭いことこの上ない話なのだが、何となく勢いで押しきられてしまった感がある。
    そういう意味では、力のある表現だったのだろう。

    これは原作がそうなのだろうが、現実と妄想が虚実ないまぜになった作品世界を、とても上手に構築していると感じた。
    読み終えて、いったいどこまでが現実だったのだろう、と考え出すと、その振れ幅は0から100まであるような気さえしてきて、それがちょっと、怖かった。
    「現実か妄想か」みたいな作品はそれほど珍しくはないけれど、ここまで異様な振れ幅を持った作品というのは、あまりない気がする。

    ラストの返し技もなかなか上手く決まっていて、短くて良質なものを読んだな、という気分に浸れた。

    • 14

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