4.0
不良の可愛さ
高校のときは夢中で読んだ。
今読むとそこまで入り込めないが、少年のための少年漫画としては、いいと思う。
画力の高さもさすがだが、この人の描く不良は、いつも可愛い。
そこには、若者たちに対する作者の優しい視線が反映されているような気がする。
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4
15位 ?
高校のときは夢中で読んだ。
今読むとそこまで入り込めないが、少年のための少年漫画としては、いいと思う。
画力の高さもさすがだが、この人の描く不良は、いつも可愛い。
そこには、若者たちに対する作者の優しい視線が反映されているような気がする。
今回は「ゴッドファーザー」を下敷きにしたマフィアもの。
「いつものジョジョ」の楽しさももちろんあるが、舞台であるイタリアに対する荒木飛呂彦の徹底したリサーチぶりが素晴らしい。
その姿勢、やはり、荒木飛呂彦は岸辺露伴だよな、と思った。
「ジョジョ」初の女性主人公ということで、最初は「どうなんだ」と思ったが、どうもこうもなかった。
主人公は男性であることも女性であることも超越して、「ジョジョ」なのであった。
また、「善悪」を一応は設定しておきながら、本作の着地点はその遥か向こう側であり、「ジョジョもここまで来たか」という深みを感じさせる。
まるでイーストウッドの映画みたいじゃないか。
「スタンド」というアイテムにしても、漫画としてのある種異様な表現方法にしても、「ジョジョ」というのがもう、ひとつの発明であって、これがなければ生まれてこなかった、という作品はたくさんあるのではなかろうか。
そういう意味では、優れたパイオニアであり、同時に決して追いつけない完成品でもあるという、稀有な傑作だと思う。
ホラーには色々と「お約束」がある。
なぜか逃げ場がないところに逃げ込む、
車で逃げようとするとなぜかエンジンがかからない、
「すぐ戻る」と言ってなぜか怪しい物音を確かめに行く、エトセトラ。
そういう全てにいちいち突っ込んでいたらきりがないから、観る側も暗黙の了解として許すのが「お約束」なのだ。
しかし、観客・読者が許せる「お約束」にも限度があるのだということが、この漫画を読むとよくわかる。
少年漫画として、ほとんど完璧だと思う。
異様な休載の多さを考慮しなければ、私には非の打ち所が見つけられない。
それを「玉に傷だよね」と笑って許せるかどうか。
私は、余裕で許してしまう。
作者がどんなに不誠実でも怠惰でも傲慢でも(本当にそうかは別だけどね)、生まれてくる漫画が、あまりにも素晴らしいから。
毎回、安定的にきちんと怪談話になっている。
ただ、味は、薄い。
小綺麗でよくまとまっているけれど、ホラーとして、過剰な何かがない。
それが長所でもあるのだけれど、個人的には、ホラーにはもっと偏執的な、過剰な何かが欲しい。
漫画なので、やはり、「絵」と無関係には評価できない。
絵の上手い・下手を語れる立場に私はいないが、どう考えても作品に「合う絵・合わない絵」は、ある。
そういう意味で、申し訳ないが、致命的だと思う。
この絵柄のおかげでホラー味がちょうどいい具合に緩和されて…なんてフォローはする気にならない。
例えば、青山剛昌の絵で「スラムダンク」は成立しない。
鳥山明の絵で「闇金ウシジマ君」は成立しない。
荒木飛呂彦の絵で「名探偵コナン」は…嗚呼…ちょっと読みたい。
「人生が記録されたDVDがある」という、「世にも奇妙な物語」的なアイデア一発から、よくここまで広げたな、と感心する。
下手をすれば、一発屋的な打ち上げ花火で終わるか、同じようなパターンの焼き直しに終始する可能性もあったはず。
たったひとつの食材を、ねじ曲げず、腐らせず、ゾッとするほど後味の悪いスリラーから、心暖まるヒューマン・ストーリーまで、多彩に料理してみせた、その手腕に拍手を送りたい。
「こういうふうにしか生きられない」ということの絶望が、古谷実という作家のテーマなのではないかと思っている。
育った環境も幼少期のトラウマも関係なくて、「決まってしまっている」ことは、あるのだ、と。
じゃあどうすればいい?
どうしようもない。
だから、絶望なのであって。
そのテーマを「こちら側」から描いたのが「ヒミズ」で、「あちら側」から描いたのが「ヒメアノ~ル」なのだと思う。
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