rokaさんの投稿一覧

投稿
756
いいね獲得
24,764
評価5 20% 151
評価4 28% 214
評価3 30% 230
評価2 17% 126
評価1 5% 35
221 - 230件目/全506件
  1. 評価:4.000 4.0

    禁忌と勇気

    世の中の恋愛には色々な種類のタブーがあるけれども、娘の友達、というのは、読者の生理的嫌悪感を煽る設定としては、最大限に近いそれではないかと思う。

    この漫画に関しては、多くの批判、というか非難を読んだ。
    「いい大人が娘の友達と恋に落ちるのが生理的に気持ち悪い」
    「友達の親を誘っているようにしか見えない女も気持ち悪い」
    「不登校の娘よりも娘の友達との恋愛をとるなんてあり得ない」
    「社会人としても家庭人としても失格である」
    そういう全て、理解できるし、正直、私もそう思う。

    ただ、声を大にして言いたいのは、作中の登場人物が気に入らない、ということと、漫画という作品に対する評価というのは、難しいけれど、ある程度切り離して考えるべきではないか、ということだ。
    これは自戒を込めてだが、私はそう思う。
    人間の愚かさを描いているからといって、その愚かさが気に入らないからといって、作品までもが愚かである、ということにはならない。

    客観的には、理性的には、どう考えても守らなくてはいけないものが他にたくさんあるのに、一時の熱情に流されて全てを失う道を選んでしまうのも、また、人間なんじゃないの、と。
    そして、その熱情から不意に退屈な日常に帰れるのも、また、人間なんじゃないの、と。
    主人公の選択の是非はさておいて、この作品が描こうとしたものは、私は、肯定できる。

    私自身はこの漫画の主人公のような選択をおそらくしないし(あるいは出来ないし)、多くの良識ある読者にとっても、そうなのだろう。
    しかし、そのような人間を頭ごなしに否定することも、また出来ない。
    程度が違うだけで、あるいは種類が違うだけで、この主人公が持つような愚かさと全く無縁で生きている、と言える自信が、私にはないからだ。

    おそらく、この漫画の設定や展開が読者に喚起する反感、嫌悪、軽蔑、そういった全てをとっくにわかっていて、それでも作者は、描いたのだろうと思う。
    それは、いくぶん甘い見方かもしれないが、ひとつの勇気であったのではないかと思う。
    だから、作品として極めてリスキーなタブーに踏み込んだこの冒険の是非を、私は問わない。

    • 9
  2. 評価:4.000 4.0

    認めるしかない

    以前、この作者の「花園メリーゴーランド」という作品に星五つをつけたのだが、はっきり言って私は「花園メリーゴーランド」が全く好きではない。
    好きではないのに星を五つつけた漫画、というのは、そんなにないと思う。

    本作を読んではっきりしたことは、ミもフタもない言い方で申し訳ないが、私はこの作者の漫画が全然好きではない、ということだ。
    しかしながら、この人の漫画の技量は、認めざるを得ない。

    「花園メリーゴーランド」は、前近代的で閉鎖的な村社会における人間たちの姿を描いた。
    本作はさらに舞台が退行(差別的な言い方だが)して、文明ほぼ皆無の島社会である。
    何がすごいって、作者がどんな人生を送ろうが閉鎖的な村社会と島社会の双方を「経験」したはずはさすがにないと思うのだが、どちらも異様なリアリティーと迫力をもって描かれている点である。
    いったいどういう種類の想像力を持ち合わせているのか、マジでわからない。
    何でこんなものが描けてしまうのか。

    「花園メリーゴーランド」も、本作も、表現されていることは、基本的には同じだ。
    それはつまり、人間という存在の、薄汚くて生臭い、綺麗ごとでは済まない生命力みたいなものだと思う。
    作者がそれを肯定しているのか皮肉っているのか、私にはイマイチ、わからない。
    おそらくそのどちらでもなくて、人間というものを、ただ見つめる、というのに近いと思う。

    また、「花園メリーゴーランド」も本作も、一見すると現代社会とは縁遠く見える特殊な社会の人間模様を描くことによって、結果的に、現代社会の本質を照射する、というような、何だか社会学の論文みたいなことを漫画を通じてやっている気がするのだが、そのへんはもう、難しすぎて、私にはわからない。

    いずれにしても、この作者の表現方法というものが、個人的には決して、好きではない。
    それでも、この異常な想像力と筆力は、どういったって認めるしかない。

    • 3
  3. 評価:3.000 3.0

    緊迫感のなさ

    ちゃらんぽらんだが、人の感情を「読む」能力(超能力的なそれというよりは、表情を読み取る力があり得ないレベルで高い、みたいな感じ)を持つ刑事が主人公のサスペンス。

    それなりに楽しく読めたのだが、どうにも入り込めなかった。
    理由はもう、はっきりしていて、良くも悪くもこの作品の色であるところの緊迫感のなさが、私はどうしても駄目だった。
    「金田一少年」や「コナン君」よりも対象年齢は高い漫画のはずなのに、明らかに緊張感に欠ける。
    サスペンス漫画において、一定の緊張感というのは生命線であると私は思うから、この漫画は「合わなかった」という他にない。

    主人公のふざけたキャラクターやポップな絵柄に反して、事件は、目をくりぬかれるとか、バラバラだとか、小指を持ち去るとか、かなり猟奇的なものが多い。
    このあたりはバランスの問題で、あまりに陰惨に過ぎるトーンをコメディ色で緩和しよう、という狙いはあってもいいとは思う。
    だが、個人的には、その割合が大きすぎて、結果「もうちょっと真面目にやってくれ」という思いが拭えなかった。
    決して完成度の低い漫画ではないと思うが、残念。

    • 3
  4. 評価:3.000 3.0

    漫画と原作について

    私のレビューは結構いい加減で、評価の軸がぶれていたり、気分によってかなり左右されたり、という有様だから、後から読み返すと「これは甘すぎたな」と思うことはちょくちょくある。
    ただ、逆はほとんどない。
    つまり「これは酷く言い過ぎたな」ということは少ない。
    仮にも他人の作品の悪口を言うことについては、私はわりに慎重になっているのだろう。
    まあ、それはいい。
    それはいいとして、「原作の小説がある」という漫画に関しては、私はわりに明確な評価指針を持っている。

    星一つ…原作を冒涜している。または、そもそも原作自体が腐っている。
    星二つ…原作の魅力を損なっている。または、そもそも漫画化する意義を感じない。
    星三つ…漫画として破綻はないが、原作の魅力には大きく劣る。または、再現度は高いものの、大して魅力的な原作ではない。
    星四つ…原作には及ばずとも、原作の利を活かし、原作の魅力を十分に引き出している。
    星五つ…「原作を上手く漫画化した」以上の特別な何かがそこにあり、原作とは別の意味で、ひとつの作品として素晴らしい。

    多分、今まで原作の小説がある漫画で星を五つつけたのは、「鉄鼠の檻」と「パノラマ島奇譚」だけだと思う。
    星四つは、「光媒の花」や「ユリゴコロ」や「夜行観覧車」や「絡新婦の理」、他にもあったと思う。

    本作は、迷いなく、三である。
    話としてはそれなりに興味深かった。
    しかし、どう考えても叙述が鍵になるタイプの作品で、この魅力を漫画でもって再現しようとすること自体、ちょっと無理があったような気もする。

    • 3
  5. 評価:4.000 4.0

    あることないことアンダーグラウンド

    相当に粗削りではあるけれど、この作者の特性みたいなものはばっちり表れていると思った。
    それはつまり、虚実ないまぜのアンダーグラウンドの世界を作品内に構築し、そこに妙なリアリティーと説得力を生む、ということだと思う。

    「闇金ウシジマくん」にしてもそうなのだが、私たちの多くは、本物のアンダーグラウンドの事実など、知らない。
    それを上手に利用し、「ここまではさすがにないだろうけど、でも、ありそう」という微妙なラインを突いて、フィクションとしてのアンダーグラウンドを編み上げることについては、圧倒的な力量があると思う。

    画力も、キャラクターの造形も、世界観の整合性みたいなものも、この作品の段階ではまだまだ緩いのだけれど、既に作者の本質が見えるという意味では、貴重な作品。

    • 2
  6. 評価:3.000 3.0

    ライト版「犬神家の一族」

    昔懐かしいホラー漫画だと思って何となく読み始めたら、完全に「犬神家の一族」の少女版で驚いた。
    外部から連れ戻された村の名家の子、それとは別の三人の娘を巡る跡継ぎ問題と連続殺_人、血縁の秘密と因習。
    完全に横溝正史である。

    これをパクりと呼ぶかはまあ、微妙なところだが、ギリギリオマージュの範囲として、それなりに楽しめた。
    ただ、ここまでやるなら、もっと徹底して忌まわしい、おどろおどろしい雰囲気にしてほしかった気もする。

    • 5
  7. 評価:3.000 3.0

    ただ忘れ去るだけ

    短編集。
    表題作と「パンドラの遺言」を読んだ。

    表題作は、完全に拍子抜け。
    ホラーではないし、何やら非常に中途半端な印象で、がっかりした。

    「パンドラの遺言」は、心霊ホラーと火サス的なミステリーの合わせ技みたいな話で、私はこういうタイプの話は嫌いではなく、それなりに興味深くは読んだが、さしたる驚きも魅力も感じられなかった。

    派手な破綻なく普通に読めた、という以外に特筆すべき点はなく、私にとっては、ただただ忘れ去ってゆくだけの作品のように思われる。

    • 3
  8. 評価:3.000 3.0

    いたって普通

    短編集。
    尺の都合なのだろうが、ちょっと展開が性急で、しっかりホラーの雰囲気を作れていないように感じる。

    タイトルで謳うほど後味が悪いわけでもなく、いたって普通のホラー漫画だった。
    こちらとしても別に「それ以上」を期待して読んだわけではないので、まあいいのだが。

    • 3
  9. 評価:4.000 4.0

    ストーカーに揺られて

    交通事故で記憶を失った男。
    その男のストーカーである女性が、恋人になりすます、というストーリー。

    個人的には、「ストーキング」と「一途で情熱的な恋」の境界なんて、結構曖昧なんじゃないの、と思っている。
    そんなもの、相手側の都合でいかようにも変わり得る。

    男性の皆さん、想像して下さい。
    職場から家までの帰り道、あなたの後ろをそっとついてくる女性がいます。
    彼女は通勤電車であなたに一目惚れしたのですが、内気なせいで、なかなか声をかけられないのです。
    古風な一面もあって、女性の方から声をかけるなんて、と恥じらってもいるのです。
    しかし、彼女は感じています。
    あなたのこそが、運命の人なのだと。
    ちなみに彼女は全盛期のスカーレット・ヨハンソンのような美貌とプロポーションを持ち合わせています。
    どうですか?
    彼女の一途な秘めた想いが胸に響きませんか?
    ついでに美貌とプロポーションも響きませんか?

    ほら見ろ!
    簡単に騙されやがって!
    そいつはストーカーだ!

    まあ、それはいい。
    それはいいのだが、「ストーカーに愛なんてない」というのは、いささか極論に過ぎると思う。
    適切でない愛し方を全て「愛ではない」と決めつけるのが、私は好きではない。

    だから、本作の主人公のストーカー女性を、私は応援していた。
    やり方はフェアではないが、真っ直ぐだし、可愛らしいし、ひとつの愛情の形として認めてあげたかった。
    というふうに、この漫画に誘導された。
    が、そのあたりで、不意に狂気の描写が来る。
    ここが、本作の巧みなところである。
    怖い。
    やっぱさっきのなし、真っ直ぐどころか三回転半くらい捻ってる。
    ヤバい、この女はやめとけ。
    でもなあ…というふうに、ストーカーに対する非常に微妙な感情を煽られる漫画。
    それはつまり、何をどこまで愛として認めるか、という永遠の問いを、読者に投げかけることに他ならない。
    そういう意味では、なかなか奥行きのある作品だと思った。

    • 9
  10. 評価:5.000 5.0

    死者と踊るダンスポップ

    人の死が一日前に「見えて」しまう少女のストーリー。

    以前、この作者の「死にあるき」という漫画のレビューで、私は「主人公の朱鷺子は他のどの漫画のキャラクターとも明確に違う、そのキャラクターの完成度は突出しているが、漫画としての表現が追いついていないように思う」という意味のことを偉そうに書いた。
    本作で、作者は、飛んだ。
    それは、ほとんど驚愕を覚えるほどの飛翔だった。

    まず、画力の著しい向上。
    何と言っても、これに尽きる。
    最初、私は同じ作者の漫画だとわからなかった。
    読んでいくうちに、死を巡る表現に既視感を覚えて、もしや、と思って確認して、「死にあるき」の人だ、とやっとわかった。

    主人公の造形も、全く違う。
    皐月は、朱鷺子ほど強くなれないし、冷たくもなれない。
    朱鷺子のように圧倒的にぶれない軸もないし、達観もしていない。
    私たちの多くと同じように、傷つき、迷い、それでも目の前の誰かを死なせまいと、死の影にまみれながら、懸命に生きようとしている、その健気さと、可愛らしさ。
    朱鷺子は、絶対的に孤独だった。
    しかし本作は、本来誰にも理解されないはずの皐月を、決して独りにはしなかった。
    その選択は、正解だったのではないかと私は思う。

    「死にあるき」が、ただ死を見つめ、死者の中を闊歩する少女の物語だったとすれば、本作は、死者のど真ん中で、ただ死を見つめることなんか出来ないと心に決めている少女の物語である。

    「死にあるき」は、絵としても、作品のトーンとしても、どちらかと言えば陰鬱で、そこはかとなくカルト作品の雰囲気を漂わせていた。
    だが、本作は、考えられないくらいポップな地平で展開される。
    徹底的に死を扱いながら、これほどまでにポップな作品なんて、他にコナン君くらいのものではなかろうか。
    それでいて、死を巡る切れ味鋭い作品の展開は、バリバリに健在である。

    そこには、賛否あるだろうと思う。
    よくも悪くも、「死にあるき」の朱鷺子、あの「寄らば斬る」とでもいうような尖った魅力があるかと言えば、ノーである。
    ゴリゴリのパンクロッカーが、ダンスポップをやり出したような違和感も、ちょっとある。
    だが、そのダンスポップの中には、パンクロックの精神が、確かに生きている。
    私はそう思うから、この素晴らしいポップソングを、心の底から称賛する。

    • 7

設定により、一部のジャンルや作品が非表示になっています