rokaさんの投稿一覧

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221 - 230件目/全506件
  1. 評価:4.000 4.0

    あることないことアンダーグラウンド

    相当に粗削りではあるけれど、この作者の特性みたいなものはばっちり表れていると思った。
    それはつまり、虚実ないまぜのアンダーグラウンドの世界を作品内に構築し、そこに妙なリアリティーと説得力を生む、ということだと思う。

    「闇金ウシジマくん」にしてもそうなのだが、私たちの多くは、本物のアンダーグラウンドの事実など、知らない。
    それを上手に利用し、「ここまではさすがにないだろうけど、でも、ありそう」という微妙なラインを突いて、フィクションとしてのアンダーグラウンドを編み上げることについては、圧倒的な力量があると思う。

    画力も、キャラクターの造形も、世界観の整合性みたいなものも、この作品の段階ではまだまだ緩いのだけれど、既に作者の本質が見えるという意味では、貴重な作品。

    • 2
  2. 評価:3.000 3.0

    ライト版「犬神家の一族」

    昔懐かしいホラー漫画だと思って何となく読み始めたら、完全に「犬神家の一族」の少女版で驚いた。
    外部から連れ戻された村の名家の子、それとは別の三人の娘を巡る跡継ぎ問題と連続殺_人、血縁の秘密と因習。
    完全に横溝正史である。

    これをパクりと呼ぶかはまあ、微妙なところだが、ギリギリオマージュの範囲として、それなりに楽しめた。
    ただ、ここまでやるなら、もっと徹底して忌まわしい、おどろおどろしい雰囲気にしてほしかった気もする。

    • 5
  3. 評価:3.000 3.0

    ただ忘れ去るだけ

    短編集。
    表題作と「パンドラの遺言」を読んだ。

    表題作は、完全に拍子抜け。
    ホラーではないし、何やら非常に中途半端な印象で、がっかりした。

    「パンドラの遺言」は、心霊ホラーと火サス的なミステリーの合わせ技みたいな話で、私はこういうタイプの話は嫌いではなく、それなりに興味深くは読んだが、さしたる驚きも魅力も感じられなかった。

    派手な破綻なく普通に読めた、という以外に特筆すべき点はなく、私にとっては、ただただ忘れ去ってゆくだけの作品のように思われる。

    • 2
  4. 評価:3.000 3.0

    いたって普通

    短編集。
    尺の都合なのだろうが、ちょっと展開が性急で、しっかりホラーの雰囲気を作れていないように感じる。

    タイトルで謳うほど後味が悪いわけでもなく、いたって普通のホラー漫画だった。
    こちらとしても別に「それ以上」を期待して読んだわけではないので、まあいいのだが。

    • 2
  5. 評価:4.000 4.0

    ストーカーに揺られて

    交通事故で記憶を失った男。
    その男のストーカーである女性が、恋人になりすます、というストーリー。

    個人的には、「ストーキング」と「一途で情熱的な恋」の境界なんて、結構曖昧なんじゃないの、と思っている。
    そんなもの、相手側の都合でいかようにも変わり得る。

    男性の皆さん、想像して下さい。
    職場から家までの帰り道、あなたの後ろをそっとついてくる女性がいます。
    彼女は通勤電車であなたに一目惚れしたのですが、内気なせいで、なかなか声をかけられないのです。
    古風な一面もあって、女性の方から声をかけるなんて、と恥じらってもいるのです。
    しかし、彼女は感じています。
    あなたのこそが、運命の人なのだと。
    ちなみに彼女は全盛期のスカーレット・ヨハンソンのような美貌とプロポーションを持ち合わせています。
    どうですか?
    彼女の一途な秘めた想いが胸に響きませんか?
    ついでに美貌とプロポーションも響きませんか?

    ほら見ろ!
    簡単に騙されやがって!
    そいつはストーカーだ!

    まあ、それはいい。
    それはいいのだが、「ストーカーに愛なんてない」というのは、いささか極論に過ぎると思う。
    適切でない愛し方を全て「愛ではない」と決めつけるのが、私は好きではない。

    だから、本作の主人公のストーカー女性を、私は応援していた。
    やり方はフェアではないが、真っ直ぐだし、可愛らしいし、ひとつの愛情の形として認めてあげたかった。
    というふうに、この漫画に誘導された。
    が、そのあたりで、不意に狂気の描写が来る。
    ここが、本作の巧みなところである。
    怖い。
    やっぱさっきのなし、真っ直ぐどころか三回転半くらい捻ってる。
    ヤバい、この女はやめとけ。
    でもなあ…というふうに、ストーカーに対する非常に微妙な感情を煽られる漫画。
    それはつまり、何をどこまで愛として認めるか、という永遠の問いを、読者に投げかけることに他ならない。
    そういう意味では、なかなか奥行きのある作品だと思った。

    • 8
  6. 評価:5.000 5.0

    死者と踊るダンスポップ

    人の死が一日前に「見えて」しまう少女のストーリー。

    以前、この作者の「死にあるき」という漫画のレビューで、私は「主人公の朱鷺子は他のどの漫画のキャラクターとも明確に違う、そのキャラクターの完成度は突出しているが、漫画としての表現が追いついていないように思う」という意味のことを偉そうに書いた。
    本作で、作者は、飛んだ。
    それは、ほとんど驚愕を覚えるほどの飛翔だった。

    まず、画力の著しい向上。
    何と言っても、これに尽きる。
    最初、私は同じ作者の漫画だとわからなかった。
    読んでいくうちに、死を巡る表現に既視感を覚えて、もしや、と思って確認して、「死にあるき」の人だ、とやっとわかった。

    主人公の造形も、全く違う。
    皐月は、朱鷺子ほど強くなれないし、冷たくもなれない。
    朱鷺子のように圧倒的にぶれない軸もないし、達観もしていない。
    私たちの多くと同じように、傷つき、迷い、それでも目の前の誰かを死なせまいと、死の影にまみれながら、懸命に生きようとしている、その健気さと、可愛らしさ。
    朱鷺子は、絶対的に孤独だった。
    しかし本作は、本来誰にも理解されないはずの皐月を、決して独りにはしなかった。
    その選択は、正解だったのではないかと私は思う。

    「死にあるき」が、ただ死を見つめ、死者の中を闊歩する少女の物語だったとすれば、本作は、死者のど真ん中で、ただ死を見つめることなんか出来ないと心に決めている少女の物語である。

    「死にあるき」は、絵としても、作品のトーンとしても、どちらかと言えば陰鬱で、そこはかとなくカルト作品の雰囲気を漂わせていた。
    だが、本作は、考えられないくらいポップな地平で展開される。
    徹底的に死を扱いながら、これほどまでにポップな作品なんて、他にコナン君くらいのものではなかろうか。
    それでいて、死を巡る切れ味鋭い作品の展開は、バリバリに健在である。

    そこには、賛否あるだろうと思う。
    よくも悪くも、「死にあるき」の朱鷺子、あの「寄らば斬る」とでもいうような尖った魅力があるかと言えば、ノーである。
    ゴリゴリのパンクロッカーが、ダンスポップをやり出したような違和感も、ちょっとある。
    だが、そのダンスポップの中には、パンクロックの精神が、確かに生きている。
    私はそう思うから、この素晴らしいポップソングを、心の底から称賛する。

    • 6
  7. 評価:3.000 3.0

    能力者の好感度

    人の写真を指で押すとよからぬ影響を与える、という特殊能力を持った、神社の息子の兄弟の漫画。

    「デスノート」の亜種みたいなものかと思って読み始めたが、全然違う。
    作品の手触りはサスペンスというより、むしろヒューマンである。
    そういう意味では、表紙が悪い。
    「気に入らない奴はどんどん消してやるぜ…この指でな!」みたいな表紙じゃないですか?

    主人公の能力者兄弟はいたって好青年で、「デスノート」の夜神のライちゃんみたいな野望もなく、ああいう道徳心の欠如したサイコ系でもなく、自らの能力を恐れ、葛藤しながら生きている。
    ストーリーは正直、もう一捻り欲しいし、無理があるところもあるけれど、人間らしい兄弟の好感度が助けとなって、なかなか気持ちよく読めた。

    ただまあ、登場人物たちの顔の描き分けは、ちょっと気になる。

    • 4
  8. 評価:2.000 2.0

    ノーサプライズ

    まず、絵がおかしい。
    素人目で見ても、不意に人体のパーツがあり得ないバランスになっているコマがある。
    ギャグ漫画でキャラが不意に二頭身になるような表現方法があるが、それに近い。
    だが本作は当然、ギャグ漫画ではない。
    じゃあ何なの?

    いわゆる「どんでん返し」系が売りの漫画だと思うのだが、残念ながら、タイトルから壮絶なネタバレである。
    最初のエピソード、オチを予測できなかった読者、いるのだろうか?
    そんなバレバレの展開を、「どうだ!」みたいに、しかもバランスの狂った人体でやられても、正直、反応に困る。

    • 11
  9. 評価:2.000 2.0

    宿命的なワンパターン

    不幸な人間が座敷童子に出会い、望みが叶って別の人生を得るが、代わりに誰かが不幸になる。
    要するにこの漫画の座敷童子は、他人に不幸を移してくれる「笑ゥせぇるすまん」みたいな位置づけである。

    世の中の不幸の量は一定であり、自分がそれを手放せば、誰かが背負うことになる、という世界観というか、物理学のエネルギーの保存みたいな法則の上に、この漫画は成り立っている。
    そこはまあ、面白いといえば面白かった。

    しかし、そのルールによる「縛り」があるゆえに、話としては毎回、「他人に不幸を押しつけて自分の幸福を叶えていいのか」という葛藤の問題になる。
    というか、それ以外の焦点がない。
    最初はちょっと目新しく感じたが、このワンパターンを毎回やられると、さすがに飽きる。
    もうちょっと何とかならなかったのか、と思うが、設定が設定である以上、このワンパターンは宿命だったような気もする。

    • 2
  10. 評価:2.000 2.0

    罰当たり

    大学の頃、ちょっと民俗学をやっていた。
    「犬神筋」が生まれた背景は、単純化して言うと、江戸時代、貨幣経済という新たな波に乗っかって一気に裕福になった人間を理解できない(貨幣経済そのものが理解できない)農民たちが、「あの家は何か人ならざるものの力で金を得たに違いない」と考えて、成り上がりの豪農の家を「犬神筋」と見なすようになったのだ、という説がある。
    つまり「犬神筋」とは、閉鎖的な共同体における新たな成功者に対する嫉妬や不信感から生まれた差別の言説である、というわけだ。
    これはひとつの仮説であるが、何にせよ、「犬神筋」は民俗学的にはとても面白いテーマである。

    それを、である。
    この漫画は「犬神筋」を、ガキっぽい少女漫画を盛り上げるための小道具くらいにしか扱っていない。
    私は自分の好きなものを汚されたような気がして、腹が立った。
    こういう物言いはあまり好きではないが、もう少し勉強してから描けや。
    私はデーモン小暮の口調で、「お前も犬神筋にしてやろうか!」と言いたい。

    • 2

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