4.0
認めるしかない
以前、この作者の「花園メリーゴーランド」という作品に星五つをつけたのだが、はっきり言って私は「花園メリーゴーランド」が全く好きではない。
好きではないのに星を五つつけた漫画、というのは、そんなにないと思う。
本作を読んではっきりしたことは、ミもフタもない言い方で申し訳ないが、私はこの作者の漫画が全然好きではない、ということだ。
しかしながら、この人の漫画の技量は、認めざるを得ない。
「花園メリーゴーランド」は、前近代的で閉鎖的な村社会における人間たちの姿を描いた。
本作はさらに舞台が退行(差別的な言い方だが)して、文明ほぼ皆無の島社会である。
何がすごいって、作者がどんな人生を送ろうが閉鎖的な村社会と島社会の双方を「経験」したはずはさすがにないと思うのだが、どちらも異様なリアリティーと迫力をもって描かれている点である。
いったいどういう種類の想像力を持ち合わせているのか、マジでわからない。
何でこんなものが描けてしまうのか。
「花園メリーゴーランド」も、本作も、表現されていることは、基本的には同じだ。
それはつまり、人間という存在の、薄汚くて生臭い、綺麗ごとでは済まない生命力みたいなものだと思う。
作者がそれを肯定しているのか皮肉っているのか、私にはイマイチ、わからない。
おそらくそのどちらでもなくて、人間というものを、ただ見つめる、というのに近いと思う。
また、「花園メリーゴーランド」も本作も、一見すると現代社会とは縁遠く見える特殊な社会の人間模様を描くことによって、結果的に、現代社会の本質を照射する、というような、何だか社会学の論文みたいなことを漫画を通じてやっている気がするのだが、そのへんはもう、難しすぎて、私にはわからない。
いずれにしても、この作者の表現方法というものが、個人的には決して、好きではない。
それでも、この異常な想像力と筆力は、どういったって認めるしかない。
-
3
鬼虫