4.0
メタファーとしての怪病
マヨネーズの涙が出たり爪が唐辛子になったり、という「怪病」を主人公が解決する、というストーリー。
基本は一話が短く、サクサクとテンポよく読んでいける。
私はこういう形式の漫画がわりに好きである。
「怪病」の設定自体は前述したように荒唐無稽だが、病の原因は、作品の文脈の中ではきっちり筋が通っていて、それが妙な納得感を与えてくれる。
「病は気から」などと言うが、そのファンタジー版みたいな作品の着想は、なかなか面白かった。
また、「設定だけは新しいけれど…」という作品が山のようにある中で、本作は、「設定以外」もパリッとしている。
それを支えているのは、作品としての温かさだと思う。
怪病に苦しむ人々の描き方に、とても愛情を感じる。
考えてみれば、この漫画で描かれる怪病を患う原因なんて、私たちの多くが抱えているのではなかろうか。
それでも、「そんなこと」で病気だなんて言っていられない、というような日々を、私たちの多くは送っているのではなかろうか。
本作の怪病というのは多分に、我々が持ち得る様々な悩みや迷いや苦しみのメタファーなのだろうし、その患者たちへの優しさというのは、何とか日々を生きている人間そのものへの優しさのように感じられて、私は好感を持った。
- 3
怪病医ラムネ