rokaさんの投稿一覧

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111 - 120件目/全506件
  1. 評価:2.000 2.0

    お前は私のキャパを超えている

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    マッチングアプリで出会った女の子に即日実家に誘われ、ホイホイ着いていく。
    その実家の村への道すがら、「この先命の保証なし」という立て札があるのに「あんな注意書き本当に存在するんだな」で流す。
    村の入り口がまるで刑務所だと感じながらもスイスイ入ってゆく。
    「景観保存地区」だからと、バッグにスマホに鍵に時計、全て取り上げられて平然としている。
    マッチング彼女に胸を押しつけられただけで「まあいっか」とリセットされる。
    この全てが、冒頭の第一話で提示される主人公の姿である。

    駄目だ。
    お前はいくら何でも私のキャパを超えている。

    まあ、一話でレビューを書くのも失礼だから、それなりに読み進めてはみたけれど、共感できるとかできないとかそういうレベルではない主人公の馬鹿さ加減をリカバリーできる要素は、特になかった。

    • 34
  2. 評価:2.000 2.0

    復讐される側の主人公

    昔、「ラストサマー」というホラー映画があったが、それに近い。
    主人公たちが過去に犯した罪によって、復讐される、という話。

    本作のように、「復讐される側」が主人公の作品は、「過去にやったことは悪いが、同情の余地があり、何とか助かってほしいと願ってしまう」という読者の微妙な感情を引っ張り出せないと、成功しない。
    これは結構難しくて、過去の罪を上手く設定するとか、キャラクターの丁寧な作り込みとか、きちんとしたバックグラウンドがないと成立しない。
    本作はそのいずれも物足りなく、入り込めなかった。

    復讐が奇妙な漫画アプリによって予告される、という点は新しいには新しかったが、だからどうということもなく、「何でそんな回りくどいことを」という感想以外は湧かなかった。

    • 2
  3. 評価:3.000 3.0

    少年時代の終わりに

    週刊少年ジャンプで本作の連載が始まったのは、私の大好きだったジャンプのギャグ漫画「王様はロバ」と「すごいよ!!マサルさん」の連載が相次いで終わり、「幕張」もピストルズのように消え失せて、少し経った頃だったように記憶している。
    私は十代の終盤で、そろそろ「少年」ではなくなりかけていた。

    週刊少年ジャンプの歴史的に見れば、上記の作品たちに続く「ギャグ枠」における重要作品が、「ボボボーボ・ボーボボ」になるのではないかと思う。

    残念ながら、私は全く笑えなかった。

    この頃から私がジャンプを離れたのも、おそらく本作に全く入ってゆけなかったことと無縁ではないように思われる。
    申し訳ないが、若い心で思った。
    天下のジャンプのギャグ枠が、これなのか、と。

    「つまらねえから笑えねえんだよ」と本作を切り捨てたわけではない。
    私が感じたのは、何か決定的なズレだった。

    笑えなかったのは、理解できなかったからだ。
    こういうことを書くと、誰かが言うのだろう、「わけがわからないけど面白いのがボーボボなんだよ」と。

    違う。

    そんなこと言ったら、「マサル」だって相当わけがわからなかった。
    だから、ややこしい言い方になるけれど、「わけのわからなさが面白い、という作品であることは理解できるけれど、ボーボボのわけのわからなさの面白みが、私には理解できなかった」ということになる。
    シュールだとかナンセンスだとか、言葉はどうでもいいのだが、「マサル」のそれは笑えたのに、「ボーボボ」のそれは笑えなかった。
    その差がどこにあるのか、私にはわからない。
    それは多分、言語化不可能な感覚的なものであり、つまり、致命的なものだったのだと思う。

    私の好きな小説の中に、「若い世代の音楽を理解できないと感じたら、それは自分たちの世代が次の世代に時代の松明を譲り渡した最初の合図だ」みたいな言葉がある。
    多分、そういうことなのだろう。

    「ボボボーボ・ボーボボ」は、私の少年時代の終わりとして、ひとつのサインだったような気がする。

    少年はいつか、少年ではいられなくなる。
    別に悲しくはない。
    ただ、終わってしまった少年時代について考えるとき、私はときどき、「ボボボーボ・ボーボボ」のことを思い出す。

    • 3
  4. 評価:5.000 5.0

    突出した奇異なバランス

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    とても素晴らしい作品集だと思ったのだが、上手く言葉を探せなかった。
    ここまで言葉が出てこないことは珍しい。
    私は自らの言葉の乏しさに久しぶりに失望した。
    何なんだろう、これは。

    多分、突出しているのは、バランスなのだと思う。
    登場人物(特に女性)の切実な感情や、繊細な揺れといったものを、決して重くならない中で、かといって軽々しくでもなく、あくまでゆるく、ふわっと、スライムのような質感で描く、という絶妙なバランス。

    本当はもっと「笑えない」類のシリアスな物事が、SFだったり、巨大ヒーローだったり、UMAだったりによってある種のパロディ的な方向に緩和されているが、ポップな中で、核となる生傷の痛みのようなものは鮮やかに息づいたままである、という奇異なバランス。

    天秤の両方に同じものを載せてつり合っている、という種類のバランスではなく、小さな金塊と巨大な綿あめでもってつり合わせているような、その独特のバランスが凄い。

    そういったバランスが多分に、論理的にでも計算づくでもなく、感覚的に積み上げられていて、いささか差別的な言い方になるが、実に女性的な漫画だと思った。
    「枕草子」が当時、女性にしか書けなかったように、こういう漫画というのはおそらく、男性にはなかなか描けない。
    その感覚的な部分というのは、本質的には言語化と相容れないものであって、私なんかの言葉が追いつかないのも、それと無関係ではないと思われる。

    私はとにかく「ツチノコ捕獲大作戦!」が大好きで、何度も何度も読み返した。
    それは多分、これが「したたかな女の子と情けない男の子」、両方の本質を鋭敏に貫いた話だったからだろう。
    幻想を見るのも夢に破れるのもいつも男の方よね、というひとつの本質を、あり得ないくらい的確に、これ以上ないくらいミニマルに、悲劇と喜劇の完璧なバランスの上で成立させた、離れ業的な傑作である。
    これ以上に素晴らしい短編漫画のラストシーンを、他にほとんど知らない。

    • 3
  5. 評価:3.000 3.0

    毒気と中毒性

    同じ作者の「怨み屋」シリーズはかなり読んでいるが、基本的な作品の構成は似ていて、形容するなら、「毒気のない怨み屋」、「ライト版怨み屋」、といった感じになるかと思う。

    「怨み屋」が基本的には陰惨な話ばかりであるのに対して、本作は爽やかで、「そんなに上手くいくんかいな」と思うところもあるけれど、まあ、平和でいいんじゃないか、と。

    ただ、「怨み屋」シリーズのレビューの中で、私は奇妙な中毒性がある、という意味のことを書いたが、本作からはその中毒性を全く感じなかった。
    してみると、「怨み屋」の中毒性のひとつの要因は、本作から抜かれた毒気の部分でもあったのかな、と思うし、そういう意味では、いかにも物足りない漫画ではあった。

    • 2
  6. 評価:4.000 4.0

    貞ちゃんの心象風景

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    例えば「番町皿屋敷」というクラシックな怪談がある。
    井戸からお菊ちゃんが出てきて「いちま~い、にま~い」と皿を数えるアレである。
    これは当然、怪談の古典、悪く言えば時代遅れだ。
    「いや、井戸とかねえし」というのが現代だからだ。
    「皿割っちゃった?メルカリで買えばよくね?」というのが現代だからだ。

    「リング」はもう、このあたりから凄くて、「井戸」という古典の怖いモチーフを踏襲しつつ、貞ちゃんは井戸から出てきてしかもテレビから出てくる、という二段構えであって、「いや、井戸とかねえし」という現代人の安全圏を取り払った。

    しかし、そこからまた、時代は進んだ。
    「呪いのビデオ」なんて言われても、もはやVHSなんか誰も見ない。
    かといって「呪いのBlue-ray」とかだと、イマイチ怖くない。
    実のところ、貞ちゃんもいつの間にか「時代遅れ」になったのだ。

    本作は、終末世界を行く二人の少女と貞子のロードムービー的な漫画なのだれけれど、人類がほとんど滅びてもう呪う相手がいない、という世界は、何だか現代における貞ちゃんの心象風景みたいに感じられた。

    無邪気な二人と、どこまでいっても悪霊でしかない貞子の、決して大団円を迎えるはずのない、可愛らしくもどこかもの悲しい道行き。
    結末はわかっていたはずなのに、それでも少しだけ、胸が軋んだ。

    そんなふうに作品を閉じかけておいて、ラストのラスト、貞子をもって「いや、私ってホラーの人なのよ」と唐突に主張させるような幕切れが、実に素晴らしい。

    現代において改変され増殖され消費され続ける貞ちゃんの物語の中で、唯一、本作はちょっと、腑に落ちた。

    • 6
  7. 評価:3.000 3.0

    普通中の普通

    家に来た家政婦が何かおかしい、という話。

    いやもう、びっくりするくらい普通。
    昨今のサスペンスは、やたら凝った設定や展開ゆえに破綻する例も多いが、そういう中で、ここまで普通なのも珍しい。

    このへんはまあ、良くも悪しくも、というところだ。
    家政婦の狂気のあり方には何の説得力もないが、下手に論理をこねるより、いたいけな少年少女がイカれた家政婦に追い回される、頑張れ少年少女。
    という具合に、「ホーム・アローン」的なシンプルな読み方が出来る漫画、という点では、いいのかもしれない。

    ただ、筋としてここまでシンプルならば、展開としてもう少し工夫は欲しかったところで、あまりに平坦な印象は拭えない。

    罵詈雑言を吐いてけなされるような漫画ではないものの、賞賛すべき点も特にない。
    まさに普通、としか表現のしようがなく、星の数も三つ以外にはあり得ない。
    「五段階で三の評価を狙って漫画を描け」というお題のもとに作られたならば、大したものだけれど。

    • 9
  8. 評価:3.000 3.0

    消費される貞ちゃん

    私は中学生のときに小説「リング」に衝撃を受け、劇場に映画を観に行った貞子世代である。

    ギャグ漫画として、それなりの出来だとは思った。
    貞子の特徴や、「もはやVHSの時代ではない」という時代背景を踏まえて、まずまず上手く作ってあるとも思った。
    貞子を単なるネタとして雑に扱うのではなく、そこに一定のリスペクトや愛着も感じることは出来た。

    しかし、あの清く正しく恐ろしかった貞ちゃんが、こういう形で「消費」されてゆくことに関しては、一抹の寂しさも感じた。
    貞子世代としてはね。

    まあ、これを「消費される」と捉えるのか、姿かたちを変えて現代に生き残っていると捉えるのかは、難しいところなのだけれど。

    • 2
  9. 評価:2.000 2.0

    許されない改変

    ネタバレ レビューを表示する

    「タイトルがネタバレじゃん」と思ったのだが、原作のルポがあると知り、それならまあ、その点は仕方ないか、と思った。

    冒頭は「保護者サイド」の視点から描かれ、その後、同じエピソードが「教師サイド」の視点から描かれる。
    両者は全く別の内容であって、このあたりは、漫画ならではの演出で、なかなか面白いと感じた。

    実際の事件について、ちょっと気になって調べてみたが、とんでもない話で、親の異常性、学校および教育委員会のことなかれ主義とその脆弱性、浅薄なマスコミの無責任など、様々な問題を孕んだ事件であった。
    この事件を教師サイドに立って取材したルポの存在自体は貴重であるし、その漫画化を否定するつもりもない。

    しかし、原作がフィクションではなくルポルタージュである以上、原作の改変は絶対にまずい。

    まず、主人公の教師の年齢が全く違う。
    現実では46歳とのことだが、漫画ではかなり若く描写されている。
    おそらく漫画の主人公としての見栄えを考慮してなのだろうが、それはやっちゃいけない。
    フィクションなら何でもありとは言わないが、どういったってノンフィクションは、事実に対して一定の責任を負わざるを得ない。

    この改変があった時点で、私はこの漫画の全てを信用できなくなった。
    仮に原作のルポが真摯な取材に基づいて書かれているのだとしても、この漫画がそれを忠実に再現しているのかどうかは、甚だ疑わしい。

    • 4
  10. 評価:3.000 3.0

    漫画として、絵本として

    おそらく、絵本作家エドワード・ゴーリーの影響を受けているのではなかろうか。

    牧歌的な世界にダークファンタジーを落とし込んだような雰囲気は魅力的で、その雰囲気を楽しむ漫画、もっと言えば、「絵本」として見るならば、なかなか完成度は高いと思った。

    しかし、「漫画」として、となると、どうだろう。
    私が非常に気になったのは情報量の圧倒的な少なさで、読めども読めども話は進まない。
    それは単に、本作が、作品の尺に比して語るべき情報を持っていないからである。
    その全てを非難する気もないのだが、情報量が少ないなら少ないで、もう少しコンパクトに収めてほしかったとは思う。

    • 2

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