rokaさんの投稿一覧

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101 - 110件目/全512件
  1. 評価:2.000 2.0

    対象年齢

    私の勝手な先入観で失敗しているので申し訳ないのだが、思っていたよりも作品の対象年齢がだいぶ低かった。
    小学校のときに読んだらまあまあ入り込めたかもしれないが、これ、大人が読むにはちょっときつい。

    絵柄はそれほど子ども向けという感じではないが、それ以外の全てが、圧倒的に幼い。
    大人が読んで子ども時代のノスタルジーを感じる、という種類の作品ではなく、嫌な言い方をすると、大人になってこんなもの、恥ずかしくて読んでいられない。

    本当に素晴らしい作品は、仮に子ども向けであっても、大人にも何かを感じさせるものだ。
    子ども向けの作品と、子ども騙しの作品は、違う。
    私はそう思うから、どうしてもこういう作品を評価できない。

    • 2
  2. 評価:4.000 4.0

    設定を積み上げる

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    一生に一度だけ殺_人を許可される権利を保障するという、「一生一殺法」が定められた、という設定の話。

    こういう突飛な設定の作品は往々にして「設定倒れ」に終わることが多いが、なかなか面白かった。

    まず、設定を「一発ネタ」として放り出すのではなく、きちんと整えようとしている、穴をなくそうと腐心しているのがわかり、好感を持った。
    例えば、殺_人の認可は「その殺_人によって救われる人生・人命があること」が前提であり(そのため「殺益」と呼ばれる)、役所に申請して行政の判断で受理される必要があるとか、
    申請者本人が身体的または心理的理由により自ら執行が困難な場合は、執行委員会が代行するとか、
    執行の事実は累計執行数が公表されるのみで、申請者と対象者の個人情報は保護されるとか、
    インターネット上で法の濫用を促すと厳罰に処されるとか、
    申請者と対象者が親族の場合は申請者は遺産を相続できないとか、
    申請者も対象者も12歳未満は除外されるとか、
    かなり丹念に設定を積み上げている。

    まあどんなに繕っても「あり得ない」設定であることに変わりはなく、どういったって無理があるのだが、作品としてそれをカバーするための努力、破綻させない努力は立派である。

    また、この手の作品は、設定をどう利用するか、どれだけ広げられるか、その設定から読者が想定し得る展開をどれだけ超えられるかがキーポイントになるが、その点も、話の転がし方はなかなか芸が細かく、バリエーションに富んでいて、退屈せずに読めたのは嬉しかった。

    • 4
  3. 評価:5.000 5.0

    パンドラの箱の底

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    (※レビュー訂正)

    大絶賛する気にはなれなかった。
    人に薦める気も起きなかった。
    ただ、心には、残った。

    私は本作を、基本的には「ドラえもん」へのアンチテーゼとして読んだ。
    タコピーのハッピー道具は主人公を何ひとつハッピーにせず、あろうことか「仲直りリボン」は首_吊りに使われ、「ハッピーカメラ」は撲殺の凶器になる。
    主人公の生活や、いじめっ子の家庭環境の描写も陰惨極まりなく、アンチテーゼを超えて「悪意あるパロディ」と言った方がしっくりくるほどだ。
    主人公の名前「しずか」だぞ、おいおい。

    ひとつは、時代かな、と思う。
    いささかネガティブな物言いになるが、「こんなこといいな、できたらいいな」の時代は、終わったのかもしれない。
    よくも悪くも、私たちは知ってしまった。
    人間が便利な道具でハッピーになれるわけではないことを。

    21世紀になってしばらく経って、人間は結構な「こんなこと」が出来るようになったのに、別に対して幸せになれてないじゃん、と。
    残酷ないじめも児童虐待も、戦争と疫病すら、なくなってないじゃん、と。

    主人公は、ハッピー道具に見向きもしない。
    単に「魔法」の存在を信じていないのではない。
    彼女がその身を浸しているのは、仮に魔法があるにせよ、それが自分を幸せにしてくれることはない、という諦観だ。
    彼女の姿は、テクノロジーがもたらすキラキラの未来からはとっくに拒絶された私たちの姿、そのものなのだと思う。

    そしていつの時代も、一番傷ついて生きるのは子どもたちだ。
    子どもには傷つく権利があり、その能力もあるからだ。

    それはそうなんだけど。

    わざわざ作品にする必要、あるのか?
    ずっとそう思いながら、読み続けた。

    でも、最後まで読んで、印象が変わった。
    これはもしかすると、現代を生きる子どもたちへの応援歌なんじゃないか、と。

    現実はこんなに上手くはいかない。
    その批判はわかる。
    「対話」なんてものに大した力はない。
    それもわかる。
    私もそう思う。

    しかし、かつてドラえもんが提示した希望を完全に否定しながらも、本作はきっと、希望を持つこと自体は、捨てられなかったのだろう。
    ドラえもんの否定というパンドラの箱の底に残っていたのが、「伝え合う以外にない」ということだったのだろう。
    その希望の是非はともかく、その希望の見出し方は、私は嫌いではなかった。

    • 36
  4. 評価:2.000 2.0

    血の通わない家族たち

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    家庭で妻と娘から虐げられている夫の話。
    夫はその理由がわからず、悩みながら生きている。

    まあ、好きに悩んでくれたらいいけど、いくら何でも都合がよすぎる展開に、正直うんざりした。

    駅のホームから落ちかけた主人公をナイスバディーの美女が助けてくれて、待ち合い室で話を聞いてくれて、「それってDVじゃないですか」などと差し出がましいことを言い、翌日にはSNSの投稿から主人公の居場所を突き止めて、自分を傷つけるような家族は捨てちゃったらどうですか、などとほざく。
    何なんだお前は。

    主人公の娘は不登校だが、久しぶりに登校したら転校生のイケメン(ちなみにこいつは主人公を助けたナイスバディーの息子)が突然、友達になろう、と手を差しのべる。
    その日の夜には、深夜のファミレスで話し合っている両親の会話を盗み聞きしたい娘のために、繰り返し、深夜のファミレスまでノコノコ来てくれる。
    何なんだお前ら親子の即効性の高いバイタリティーは。

    登場人物たちの苦しみも悲しみも怒りも、全てがご都合主義の作り物で、まるで血が通っていない。
    何の共感も同情も感情移入も出来ない。
    なぜならここに描かれているのは、人間の感情ではないからだ。

    • 60
  5. 評価:5.000 5.0

    全ての先達を過去にする

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    凄すぎる。
    どんな賛辞も追いつかないくらい、凄すぎる。

    まず、冒頭のシーンから思った。
    「これ、映画だ」と。
    カット(漫画で言えばコマ、ということになるが)のひとつひとつが端正で美しく、それにいたく感心した。
    物語の内容以前にこのカットの飛び抜けた技術が、作品を根本で支えている。

    ストーリーの骨子は、タイムリープと「寄生獣」的な入れ替わり、いずれも決して目新しいものではないのだが、圧倒的な完成度が、全ての類似作品を単なる過去にしている。
    「ループものは腐るほどあったかもしれないけど、これより面白いループもの、あった?」とでも言わんばかりの勢いである。
    こちらとしては、「いいえ、ありませんでした、すみませんでした!」と言うしかない。

    とにかく巧妙に計算され尽くした作品で、ループの設定ひとつとっても、抜群に上手い。
    「ループもの」の弱点のひとつは、主人公(たち)が死んでも「どうせループしたら生き返りますんやろ」という緊張感の欠如なのだが、「ループして戻る地点の時間が徐々に遅くなる」というシンプルな仕掛けで、ループものの宿命を完璧に回避しつつ、見事な緊迫感を生んでいる。
    こんなのは一例に過ぎず、全編に渡って、魅力的なギミックが満ち溢れている。

    ストーリーの作り込みの緻密さも尋常ではなく、マジで作者の頭の中どうなってんだ、というレベルである。
    ただ、謎があまりに重層的であるが故に、読者としては「わからない」という状態がかなり長く続く。
    作品に隠された真意やメッセージがわからない、ということではなく、真相や黒幕がわからない、ということですらなく、ただただ、今何が起きているのかが、圧倒的にわからない。
    何が凄いって、「わからないのに滅法面白い」ということだ。
    張り巡らされた膨大な伏線を綺麗に回収し、ちゃんと「わかる」ところに着地させるのも大したものだが、むしろ「わからない」道中において圧倒的に楽しませてしまう技量、力量に舌を巻いた。

    ストーリー的にも、画としても、毎回毎回見せ場がある、というか後半なんてもう、見せ場しかない。

    これ、連載で読まなくてよかったー。
    一週間待ちきれなくて、多大なストレスになっていたと思う。

    いやー参った。
    本当に参った。
    こんなに凄い漫画、そうあるものではない。

    • 26
  6. 評価:3.000 3.0

    幻想としての家族

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    舞台は大正時代。
    家族を病で失った主人公の男が、疑似家族の一員になる、という奇妙な求人を受けるのだが…という話。

    着想は面白かった。
    それなりに不穏な雰囲気も楽しめた。
    が、設定とタイトルからほとんど誰しもが容易に予想し得る展開をひとつも裏切ることなく流れていってしまった、という印象が強い。

    「疑似家族」は当然、本当の家族ではない。
    しかし、ならば「本当の家族」とは何だろう。
    考えてみれば、家族という概念そのものが、本来、不確かで危ういものだ。
    それは、人類が歴史の中で獲得したひとつの幻想なのだと思う。
    疑似家族の描写を通じて、家族とは、ということにもっと斬り込んでくれれば面白かった気がするが、踏み込みが浅い感は否めない。

    • 2
  7. 評価:3.000 3.0

    支離滅裂の魅力

    オリジナリティーという部分では突出している。
    似た漫画がない。

    しかし、「どういう漫画なのか」と聞かれても説明できない。
    「読んでもらうしかない」という種類の漫画なのだが、かといって人に薦めるかというと、私は薦めない。
    面白かったかと言われると首肯しがたい。
    話としては支離滅裂に近い。
    だが、何となく読まされてしまう妙な魅力はあった。
    何の参考にもならないレビューで申し訳ないのだが、そういう作品である。

    ひとつ言えることは、本作に「ホラー」「ダーク」「怖い」などのタグがついているのは百歩譲るが、「ギャグ」のタグがついていないのは絶対に間違っている、ということだ。

    • 2
  8. 評価:3.000 3.0

    ホラーの論法

    怪談において、というか、本当は映画でも漫画でもホラーは全部そうなのだが、「わからない」という部分をどこにどう残すか、というのは、大事な焦点である。

    「訳がわからない」ということは、とても恐ろしいからだ。
    全ての伏線がきちんと回収され、話として綺麗にまとまる、という面白さもあるが、その魅力はミステリのそれであって、ホラーの本質とは別だ。

    本作の語り手は明らかに、その論法を意識して話を作り込んでいる。
    「おー、わかってんじゃん」とは思った。

    ただ、幽霊(的な何か)の描写に、恐怖感がない。
    このあたり、難しいけれど、結局「語り」でやった方が怖いと思う。

    「語られる」ことが前提の怪談の漫画化は、簡単にはいかない。
    これは、本シリーズ全てに共通して言えることだった。

    • 2
  9. 評価:2.000 2.0

    複数の語り手

    単発バラ売り怪談漫画その2。

    いわゆる「ダブル語り手」タイプの怪談。
    (いわゆる、とか私が勝手に言っているだけだが。)

    語り手その1がお遍路の途中である男で、彼が休憩所で出会った女性が語り手その2。
    実際の恐怖体験は語り手その2の女性から語られる。

    こういうタイプの怪談話は、実際に話すときは、話者が複数の語り手を上手く「語り分ける」ことで、一定の効果を生むわけであって、漫画でそれを再現するなら「描き分ける」ことが必要になるのだが、成功しているとは言いがたい。
    そもそも、それを狙ってやっていない。

    • 2
  10. 評価:3.000 3.0

    怪談と漫画と

    怪談の漫画化。
    オムニバスにするでもなく、単発の話で売られているのがよくわからないが、まあ、こういうのもあっていいかとは思う。

    正直、漫画として読む分には、特にどうということもない怪談話だった。
    ただ、これを然るべき語り手が怪談として「語った」ならば、その印象は大きく変わる可能性はあるだろうな、とも思った。

    当たり前と言えば当たり前なのかもしれないが、「語られる怪談」と、「その漫画化」は、全く別のことなのだな、と。
    こういうのを読むと、「原作」の漫画化の難しさを痛感する。

    • 3

設定により、一部のジャンルや作品が非表示になっています