タコピーの原罪

あらすじ

【デジタル版限定!「少年ジャンプ+」掲載時のカラーページを完全収録!!】地球にハッピーを広めるため降り立ったハッピー星人・タコピー。助けてくれた少女・しずかの笑顔を取り戻すため奔走するが、少女を取り巻く環境は壮絶。無垢なタコピーには想像がつかないものだった。ただ笑って欲しかったタコピーが犯す罪とは…!?

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みんなのレビュー

  1. 評価:5.000 5.0

    パンドラの箱の底

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    (※レビュー訂正)

    大絶賛する気にはなれなかった。
    人に薦める気も起きなかった。
    ただ、心には、残った。

    私は本作を、基本的には「ドラえもん」へのアンチテーゼとして読んだ。
    タコピーのハッピー道具は主人公を何ひとつハッピーにせず、あろうことか「仲直りリボン」は首_吊りに使われ、「ハッピーカメラ」は撲殺の凶器になる。
    主人公の生活や、いじめっ子の家庭環境の描写も陰惨極まりなく、アンチテーゼを超えて「悪意あるパロディ」と言った方がしっくりくるほどだ。
    主人公の名前「しずか」だぞ、おいおい。

    ひとつは、時代かな、と思う。
    いささかネガティブな物言いになるが、「こんなこといいな、できたらいいな」の時代は、終わったのかもしれない。
    よくも悪くも、私たちは知ってしまった。
    人間が便利な道具でハッピーになれるわけではないことを。

    21世紀になってしばらく経って、人間は結構な「こんなこと」が出来るようになったのに、別に対して幸せになれてないじゃん、と。
    残酷ないじめも児童虐待も、戦争と疫病すら、なくなってないじゃん、と。

    主人公は、ハッピー道具に見向きもしない。
    単に「魔法」の存在を信じていないのではない。
    彼女がその身を浸しているのは、仮に魔法があるにせよ、それが自分を幸せにしてくれることはない、という諦観だ。
    彼女の姿は、テクノロジーがもたらすキラキラの未来からはとっくに拒絶された私たちの姿、そのものなのだと思う。

    そしていつの時代も、一番傷ついて生きるのは子どもたちだ。
    子どもには傷つく権利があり、その能力もあるからだ。

    それはそうなんだけど。

    わざわざ作品にする必要、あるのか?
    ずっとそう思いながら、読み続けた。

    でも、最後まで読んで、印象が変わった。
    これはもしかすると、現代を生きる子どもたちへの応援歌なんじゃないか、と。

    現実はこんなに上手くはいかない。
    その批判はわかる。
    「対話」なんてものに大した力はない。
    それもわかる。
    私もそう思う。

    しかし、かつてドラえもんが提示した希望を完全に否定しながらも、本作はきっと、希望を持つこと自体は、捨てられなかったのだろう。
    ドラえもんの否定というパンドラの箱の底に残っていたのが、「伝え合う以外にない」ということだったのだろう。
    その希望の是非はともかく、その希望の見出し方は、私は嫌いではなかった。

    by roka
    • 28
  2. 評価:5.000 5.0

    ネタバレ レビューを表示する

    今まで読んだことがないタイプの作品で新感覚だった。
    タコピー、空気読めないんだけど健気でにくめない。
    生まれてはじめてハッピー以外の気持ちを味わうタコピーのショックさが伝わってきた。

    感動的ないい話になるかと思ったら一筋縄ではいかない。
    タコピー的にはいい方向にいってるはずなのに、何だかそれは病んで歪んだ方向に向かってく。
    なのになぜかピュアさもある。
    愛とか叶えたい願いとか、感動要素も入ってる。

    不思議な作品で目が離せなくなってしまった。

    • 8
  3. 評価:5.000 5.0

    ネタバレ レビューを表示する

    しずかを見たらすぐに壮絶ないじめをされてるって分かるのに、1番近い存在の大人、親、教師は見向きもしない。何もしない。
    せめて文房具屋さんや、近所の大人は気付いて通報だけでもしてくれないのかな?
    今現在の子供もこんないじめに合ってるのかな?
    大人は何もしてくれない?
    まりなもまりなで凄い辛い思いしてるし、かと言ってしずか自身には全く関係ない事だからいじめて言い訳でもない。でも子供だから分かんないよなーって思うけど、分かんないからって人をぐちゃぐちゃに傷つけて言い訳じゃない。
    話がまとまらないし、心がぐちゃぐちゃだわ。鬱。

    • 4
  4. 評価:5.000 5.0

    面白かった

    タコピーは終始何も分かってくれないけど
    ずっとついて来て何かしてる。
    "君を笑わせてみせるっぴ"
    ハッピー星より地球に舞い降りた宇宙人
    『タコピー』食べる物も記憶も無く、空き地の隅っこでお腹を空かせてた自分にパンをくれた少女『しずかちゃん』
    タコピーは食べ物を恵んでくれたお礼にしずかちゃんを笑顔にしてあげたい!とハッピー星の道具を使って色々試みるがしずかちゃんを取り巻く環境は………

    子供達にはどうしようもない事情や悩みがあり
    家庭崩壊で人生が狂いそうな生活の中で
    自分勝手な大人達に翻弄されながらも
    必死に足掻いている。
    文化も価値観も何もかも違う星からやって来た
    タコピーには凄く難しい問題で到底理解も解決も出来ないが純粋無垢なタコピーから出てくる言葉や発想に時折ハッとさせられ目が離せなくなる。
    最後の最後まで主人公の心を開くのを絶対に諦めない一生懸命なタコピーの言葉に
    全てを失った主人公は何を思うのか。
    そして記憶を取り戻し、
    地球に来た目的を思い出したタコピーの行動と主人公の衝撃のラストは必見。

    by Y.Sank
    • 2
  5. 評価:5.000 5.0

    作者は凄い

    ネタバレ レビューを表示する

    この話をまとめられてる作者さんは、相当凄いと思います。

    今、読み終わった直後ですけど胸の中すごい言いようのないモヤモヤと言うか気持ち悪さとでもなるほどと言う納得感などが渦巻いています。

    イジメものは本当に胸が張り裂けそうになるので漫画だろうがドラマだろうが映画だろうがあまりすきではないのですが、、

    なおかつタコピーはすごく話題になっていたのは知っていたけれど、と同時になんか重そうで手を出せずにいました。

    実際第1話読んだだけでも壮絶過ぎて、この先読み進めるか正直迷う内容です。

    しかも出てくる子供達それぞれ次から次と劣悪な成育環境でノックアウト。
    勿論主人公しずかが通う小学校なんてイジメ野放しで問題外だし。

    唯一東くんのお兄ちゃんだけが本っ当にイイ人だった。

    かと思えば、中盤からのしずかの豹変っぷり。

    え???何が起きたの???
    何がどうしてそうなるの?って感じで、頭がついていけないまま、この物語は一体何を言いたくてどう終わらせるつもりなのかと。

    本当に成育環境、人間関係、健全な人格形成。。
    大事だなと思いました。

    色々と終始考えさせられる内容でした…

    • 1

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