rokaさんの投稿一覧

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評価1 5% 35
91 - 100件目/全509件
  1. 評価:4.000 4.0

    豊富なオマージュ

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    ざっくり言うと、ホラー映画の巨匠を志す主人公が、有名ホラー映画のキャラクターたちとバトルする漫画。

    私はまあまあのホラー映画ファンなのだが、ちょっとホラー映画に詳しい読者なら、元ネタはまず間違いなく知っているレベルのラインナップである。
    著作権の都合上、作中でタイトルなどは変えてあるが、取り上げられているホラー映画は、「IT」「キャンディマン」「エルム街の悪夢」「チャイルドプレイ」などなど。
    漫画の随所に元ネタへのオマージュがあり、ホラー映画ファンとしては、普通に読んでいるだけでも楽しい。

    当然、作者自身も相当なホラー映画マニアであることが推測されるが、作品の方向性としてはそこまでマニアックに走ることはなく、このあたりは、よくも悪くもある程度、一般読者にも通用し得る内容になっている。

    主人公は少年漫画の典型的なヒーローでは全くなく、いわゆる芸術家気質というか、「地獄変」的というか、善も悪もなく、あくまで映画を撮ることが最優先、というぶれない信念のもとに行動し続けるズレた男なのだが、「俺のカメラにガキの死ぬシーンはいらねえ」と子どもを命がけで守るなど、ちゃんとヒーローをやっていて、なかなか巧みに作られているとも思った。

    ただ、バトル漫画という側面で見ると、バトルそのものの工夫やインパクトはちょっと乏しいような気がして、そういう部分の物足りなさは感じた。

    • 3
  2. 評価:3.000 3.0

    寄生獣の影響

    母星を追われた異星人が、地球人に化けて「同化」を目論む、という話。

    良くも悪くも、思いっきり「寄生獣」の影響を受けている。
    ストーリー然り、絵柄も然り。

    ベースは完全に「寄生獣」なのだが、序盤から異星人が人間の子どもに愛着を感じるヒューマン系のアプローチと、ちょっとコメディー的な路線を含むのが、まあ一応、アイデンティティーではあるだろうか。
    実際、読んでいるときの感じとしては、「パクリ」という悪印象はそれほど受けなかった。

    ただし、どういったって「寄生獣」と比較するなというのは無理な話だし、そうすると、修行不足かな、という感は否めない。

    • 3
  3. 評価:4.000 4.0

    コーエン兄弟を彷彿とさせる

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    現状、読めるのが一巻分だけで、評価は保留のところもあるのだが、なかなか面白かった。

    「レンタル親友」というビジネスに従事している役者志望の主人公は、常連客が計画した誘_拐事件の片棒を担がされることになるのだが、そこからの主人公の立ち回りが結構よく練られていて、良質なサスペンス映画のような趣がある。

    何と言っても、主人公の人間らしさがいい。
    こういう普通の人間のリアリティーというのは、漫画ではなかなか出せない。
    強い信念も深い欲望も特にないけれど、何となく面倒臭いことに巻き込まれたくないとか、何となく人質が気の毒だとか、そういう主人公の内心というのは直接的に描かれているわけではないものの(そこがいい)、その「何となく」のリアリティー、人間は実際こんなもんだろう、というリアリティーに説得力があり、しかも、きちんとサスペンスの返し技も決まっている。

    主人公の立ち回りに、私は、大好きなコーエン兄弟の映画を思い出した。
    ちなみに誘_拐モノというのも、コーエン兄弟が好んで用いた題材である。
    作者、コーエン兄弟が好きなんじゃないかな。
    これ、当たっていたら嬉しい。

    • 6
  4. 評価:2.000 2.0

    見世物の域を出ない

    コンビニでよく売っているような、有象無象の「見世物」的な犯罪実録漫画のひとつ。
    こういう漫画は大体においてそうなのだが、圧倒的にリサーチが足りない。
    ネットで5分で拾えるレベルの情報しか得ようとしていない。
    私はそういう姿勢が嫌いであるし、申し訳ないが、わざわざ読むようなものでもなかった。

    話のラストで不意な注意喚起、「あなたのすぐ傍に犯罪者が…」みたいな空気を出しているが、とってつけたもいいところで、何の迫力もない。

    ただまあ、これより少し前に読んだ別の犯罪実録漫画があまりに酷かったせいで、読んでいてある種の安心感すら覚えた。
    全ては相対性の中に存在しており、ときどきアワやヒエを食べることで白米のありがたさを思い出すようにして、私は生きている。

    • 4
  5. 評価:3.000 3.0

    実話に基づくはずなのに

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    永山則夫の事件がモデルなのだろう、というか絶対にそうなのだが、なぜそれを明言しないのだろう。
    犯人の出自から家庭環境から事件に至る経緯からその後の執筆活動まで、明白に事実に基づいて描いているのに、なぜ永山則夫の名前を変えるのだろう。
    本質的なことではないのかもしれないが、どうにもそこは引っかかった。
    ここまで描くなら、実名でやるべきだと私は思った。

    多くの犯罪実録漫画に見られるような、安っぽい「見世物」的な方向性ではなく、犯行に至るまでの道筋を丁寧に追いかけようとしている点は好感が持てる。
    ただ、始めから着地点は「母親の愛情不足」というところに定められてしまっている感があり、確かにまあ、それが事実なのかもしれないけれど、特にラストは、描き方としてちょっと安直すぎる気はした。

    • 3
  6. 評価:1.000 1.0

    知りたくなかった!貴様の存在をな!!

    誤解を恐れずに言えば、私は猟奇事件が大好きである。
    とにかく異常なほどに興味を惹かれる。
    (これは多分、生まれて初めて本当に好きになった映画が「セブン」だったことが影響していると思う。)
    私のような読者ほど、本作を読んで、怒りが込み上げてくると思う。
    インターネットで適当に拾った事件の概要にふざけた絵をくっつけて、それが作品であるかのような顔をする、ふざけるなと言いたい。
    やるなら、真面目にやれ。

    信じられないのは、この低レベルな事件紹介を、終始「茶化して」やっていることだ。
    今まで色んな実録事件モノの漫画を読んできて、安っぽい野次馬根性や興味本位を煽るような作品に何度も苛立ちを覚えてきたが、そのような作品群ですら、本作に比べれば数段マシである。

    私は道徳心とか倫理観といったものが、通常の人間に比べて大幅に欠落している自覚があるが、その私ですら、この漫画のあまりの無神経さには吐き気を催した。

    「知りたくなかった」とタイトルにある。
    が、私には知りたくない事件などない。
    そのくらいの覚悟は持って生きている。
    しかし、この漫画の存在自体は、心の底から知りたくなかった。

    • 14
  7. 評価:2.000 2.0

    普通にやってんじゃねえよ

    10万円で3分間だけ死者を生き返らせる、という設定のオムニバス。

    設定自体は悪くないと思うが、特別な感動はなかった。
    何か薄っぺらいな、とか、もっとドラマチックに出来たんじゃないかな、とかいう引っかかりは、往々にして残った。

    あとは、個人的な好みの問題かもしれないが、作品のテーマからすると、メインキャラクター2人の「健全さ」がどうにも引っかかった。
    片方が女子高生という設定もわけがわからないし、彼女が明るく、うるさく、鬱陶しい。
    仮に死者を3分だけ生き返らせるなんて職業があるとしたら、それに携わる人間はどういったってある種の影や業を引き受けざるを得ないだろうが、そんなもの、欠片も感じさせない。
    禁忌、邪教の類だろ。
    もうちょっと何か背負えよ、普通にやってんじゃねえよ、と思った。

    • 4
  8. 評価:5.000 5.0

    全霊で追う二兎

    評価の低さに半ば怒りを感じて力説したい。
    この漫画はもっと評価されなきゃおかしい。

    カルト宗教みたいなことをやっている殺_人一家に生まれた、漫画家志望のオタク少女。
    頭空っぽのハンサムな少年に恋をして、彼を事故から救ったことで、好意を持たれるのだが…という話。

    何が凄いって、ホラーとラブコメの両方に全霊で振り切っているところだ。

    別の漫画のレビューで、私は「オカルトをラブコメの道具にすんなや」という意味のことを書いた。
    ラブコメの「味つけ」にホラーを用いるなんて、邪道だ、破廉恥だ、と硬派なホラーファンの私は思ったのだ。

    また、基本線をホラーにする場合、原則、ラブコメの文脈は邪魔になる。
    ホラー映画だって、いちゃつく男女は真っ先に消されるでしょう?

    ところが本作は、そのどちらでもない。
    ホラー要素のあるラブコメでも、ラブコメ要素のあるホラーでもない。
    ホラーがラブコメを引き立て、ラブコメがホラーのインパクトを強化する。
    ガチガチのホラーであり、ベタベタのラブコメである。
    こんな作品、ないぞ。

    ラブコメ、ホラー、どちらの文脈に乗っかって読んでいても、不意に裏切られる。
    ディズニーランドの「イッツ・ア・スモール・ワールド」と富士急のお化け屋敷を行き来しているような異様な感覚、その独特のトリップ感は、他の作品では味わえない。

    まあ、評価されにくいのは、何となくわかる。
    要するに、ラブコメ、ホラー、どちらの読者層からもそっぽを向かれたのだろう。
    ラブコメファンがこんなものを支持するわけがないし、ホラーファンはホラーファンで「何か違う」と感じてしまうのだろう。

    二兎を追う者は、という。
    だが、そんなことは百も承知で、覚悟と愛情を持って二兎を全力で追う、私は本作をそういう作品だと思った。

    「死人の声をきくがよい」という漫画のレビューの中で、私はこの作者を、現代における犬木加奈子の後継者ではないか、と書いた。
    けど、はっきり言って、犬木加奈子ですら、こんな漫画は描けなかったと思う。

    • 13
  9. 評価:2.000 2.0

    対象年齢

    私の勝手な先入観で失敗しているので申し訳ないのだが、思っていたよりも作品の対象年齢がだいぶ低かった。
    小学校のときに読んだらまあまあ入り込めたかもしれないが、これ、大人が読むにはちょっときつい。

    絵柄はそれほど子ども向けという感じではないが、それ以外の全てが、圧倒的に幼い。
    大人が読んで子ども時代のノスタルジーを感じる、という種類の作品ではなく、嫌な言い方をすると、大人になってこんなもの、恥ずかしくて読んでいられない。

    本当に素晴らしい作品は、仮に子ども向けであっても、大人にも何かを感じさせるものだ。
    子ども向けの作品と、子ども騙しの作品は、違う。
    私はそう思うから、どうしてもこういう作品を評価できない。

    • 2
  10. 評価:4.000 4.0

    設定を積み上げる

    ネタバレ レビューを表示する

    一生に一度だけ殺_人を許可される権利を保障するという、「一生一殺法」が定められた、という設定の話。

    こういう突飛な設定の作品は往々にして「設定倒れ」に終わることが多いが、なかなか面白かった。

    まず、設定を「一発ネタ」として放り出すのではなく、きちんと整えようとしている、穴をなくそうと腐心しているのがわかり、好感を持った。
    例えば、殺_人の認可は「その殺_人によって救われる人生・人命があること」が前提であり(そのため「殺益」と呼ばれる)、役所に申請して行政の判断で受理される必要があるとか、
    申請者本人が身体的または心理的理由により自ら執行が困難な場合は、執行委員会が代行するとか、
    執行の事実は累計執行数が公表されるのみで、申請者と対象者の個人情報は保護されるとか、
    インターネット上で法の濫用を促すと厳罰に処されるとか、
    申請者と対象者が親族の場合は申請者は遺産を相続できないとか、
    申請者も対象者も12歳未満は除外されるとか、
    かなり丹念に設定を積み上げている。

    まあどんなに繕っても「あり得ない」設定であることに変わりはなく、どういったって無理があるのだが、作品としてそれをカバーするための努力、破綻させない努力は立派である。

    また、この手の作品は、設定をどう利用するか、どれだけ広げられるか、その設定から読者が想定し得る展開をどれだけ超えられるかがキーポイントになるが、その点も、話の転がし方はなかなか芸が細かく、バリエーションに富んでいて、退屈せずに読めたのは嬉しかった。

    • 4

設定により、一部のジャンルや作品が非表示になっています