rokaさんの投稿一覧

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81 - 90件目/全509件
  1. 評価:1.000 1.0

    もううんざりだ

    もうこういうのを「サイコパス」と呼ぶのをいい加減にやめよう。
    「サイコパス」という言葉を安直な売り文句に使う作品に、私はマジでうんざりしている。
    リアリティーもクソもない、漫画チックな異常性をホイホイ適当に放り出して、何でもかんでも「サイコパス」の大安売りだ。
    空がいつも赤く見える?
    何だその設定は。
    そんなもん、ただの色覚以上だろ。
    冗談抜きで、私は頭にきている。
    断っておくが、私は別に言葉狩りをしたいわけではない。
    曲がりなりにも、ものを作って発信する側の人間が、何の知識もなく、誤った情報を垂れ流す怠惰さと傲慢さに、強烈にムカついているだけだ。
    例えば、肺ガンは同じ空間にいると伝染する病気だ、と描いた作品があったなら、どうですか。
    ふざけるな、と思いませんか。
    言わせてもらえば、この漫画のような「サイコパス」の描き方というのは、それと何も変わらない。
    情報として、決定的に、致命的に、間違っているからだ。
    私は漫画であれ何であれ、書物という情報発信には、一定の敬意を払いたいと思っている。
    だからこそ、自らが情報を発信していることにまるで無自覚な恥知らずを、心の底から軽蔑する。

    • 13
  2. 評価:3.000 3.0

    障壁

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    ざっくり言うと、社会の闇に少年たちが立ち向かう、という図式の話。

    薬物だとか人身売買だとか、結構ヘビーな問題が出てきたり、仲間が死んだり、わりと悲劇的な描写もあったりするのだが、なぜだろう、信じられないくらい私は何も感じなかった。

    描き方はわりに丁寧だし、派手な破綻があるわけでもない。
    しかし、申し訳ないがこういう「社会の闇」みたいなものを扱った作品を読むと、常に私の頭には「ウシジマくん」がよぎる。
    それと比べると、これっぽっちのリアリティーもない。
    別に「ウシジマくん」が真実だと思い込んでいるわけでもない。
    しかし、過剰なほどに「きれいごと」を排除したあの強烈な漫画というのは、多くの漫画作品にとって一種の障壁になっており、「あれと比べるとね」という残酷な思いを連れてくる。

    • 4
  3. 評価:3.000 3.0

    「ちょっとだけ」の集積

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    継母との関係が上手くいかない大金持ちの家の一人娘が、家出をして狂言誘_拐を企てる、という話。

    正直、真面目なサスペンスとして見ると、「そんなに上手くいくわけないやん」という話で、あまりに粗が多すぎる。
    ジャンルで言えば「サスペンスコメディー」みたいな位置づけだと思うのだが、それにしては笑えない、というのも痛い。

    ただまあ、ちょっとだけハラハラして、ちょっとだけ心温まって、ラストのどんでん返しでちょっとだけ「おー」となる、という意味で、それほど悪い作品でもないのかな、とは思った。
    全てが「ちょっとだけ」だが、その集積によって、ある程度の見どころを保っているような作品。

    • 3
  4. 評価:3.000 3.0

    突然雑になる

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    前半、というか序盤は、まずまず興味深く読んだ。
    美大に落ちた主人公が自らのアイデンティティーを喪失し、母親の価値観に従うだけの人間になり果ててゆく様や、そこから抜け出そうとする姿は、なかなか丁寧で、表現として力があった。

    しかし、何が起こったのか知らないが、そのような心理描写は突然、雑になる(としか私には思えなかった)。
    街中で不意なきっかけから絵を描き、そこから降って湧いたようなシンデレラストーリーみたいな展開、私は何かげんなりしてしまった。
    こんなの、トーストをくわえて曲がり角でイケメンとぶつかるのと同じレベルの話だと思うのだが、何がどうしてこうなったのだろう。

    • 7
  5. 評価:1.000 1.0

    カモン貞ちゃん

    卒業式の日に憧れの同級生に告白した主人公が、その同級生から井戸に突き落とされ、「ここから這い上がれたら全てをあげる」みたいなことを言われる話。

    何がしたいのか知らないが、私はこういう「とってつけたような何となくの異常性」みたいなものが大嫌いで、申し訳ないが、全てがどうでもよかった。

    だいたいなあ、おそらく大多数の読者の意見を代弁して言うけど、「憧れの同級生」、不細工すぎるだろ。
    そりゃ人には好みというものがあることは否定しないが、そういう心理的なレベルの話ではなく、あくまで作中では客観的な美人として描かれている人間が明確に不細工だというのは、漫画としては致命的である。

    主人公が突き落とされたのが井戸だけに、私はいつか貞子が出てきてこの作品の全てを混沌に落とし込んでくれることを期待したが、当然そんなことは起こるわけもなく、ただただ退屈な時間だけが過ぎていった。

    • 8
  6. 評価:3.000 3.0

    得るものは金、失うものは何?

    父親の会社が倒産し、学費を稼ぐ必要に迫られた主人公は、飲み会に参加して報酬を得る、というバイトを始めるのだが…という話。

    こういう「転落系」の漫画は、「闇金ウシジマくん」を水で薄めたみたいな作品ばかりで、リアリティーも迫力も何もない、ということが多いのだが、「転落」の過程における心理に関しては、なかなかリアルに描かれていたのではないかと思う。

    「若さと美しさを効率よく金に換えて何が悪いの?」
    それが彼女の陥った「理屈」だが、実際問題、この理屈を看破することは難しい。
    ただ、私が思うのは、その「交換」は、物々交換のような単純な一対一の交換ではない、ということだ。
    自分では「交換」と思い込んでいるその過程で、目に見えにくい諸々を失っていることに、彼女は気づいていない。
    自尊心だとか、金銭感覚だとか、価値観だとか、何を幸福と感じ得るかという感受性だとか、そういったものを磨り減らし、損ない得るのだ、という覚悟や危機感がない。

    そういえば、ウシジマくんが言っていた。
    「簡単に得た金は、簡単に使う」ってね。

    • 21
  7. 評価:4.000 4.0

    ひっくり返すテンプレート

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    いわゆる「モラハラ夫」を扱った漫画が昨今、ちょっと辟易するほど多い。
    そういう作品を読んでいて、往々にして感じるのは、何か薄っぺらいなあ、ということだ。
    「またこのテンプレだよ」としょっちゅう思う。
    夫なり妻なりを漫画の悪役にしてつるし上げるのは好きにしたらいいけど、夫婦ってそんなに単純なものなのだろうか、と。

    本作はそういうテンプレートを綺麗にひっくり返した良作である。

    展開として、サプライズはあり得るけれど、それは「モラハラ夫と見せかけて、実は…」というサスペンス的な文脈での「どんでん返し」ではない。
    この漫画の描いたひとつの本質というのは多分、「家族の本当の姿なんて、そんなに単純じゃないのよ」ということなのではなかろうか。
    少なくとも、はたから傍観しているだけの他人が、その是非や幸・不幸を判断できるようなものじゃないのよ、と。
    その家族観みたいなものは、実に好感を持てるものだった。

    もうひとつは、「毒親」問題である。
    これも最近、本当に漫画で描かれることが多い。
    で、主人公が親をやり込める(ないしもっと苛烈な復讐をする)までがテンプレである。
    この点も、本作は、違う。
    主人公は、「何となく」母親を許す。
    このあたり、賛否あるのはわかる。
    特に、個人的な経験として親との軋轢がある読者は、「そんなに簡単にいくか」と感じるのも理解できる。
    何を何となく許してんねん、と。
    でも、私はこの「何となく」が好きだった。
    人が人を許すのに、ましてや子が親を許すのに、それほど確固たる根拠が必要なのだろうか。
    親を許せない人がいてもよい。
    親を切り捨てる人がいてもよい。
    親に縛られて人生を送る必要などない。
    私は心の底からそう思う。
    しかし、許せなかったつもりでも、何となく、どさくさのうちに許し合ってしまうようなことが出来るも、また、人間の美徳ではなかろうか。

    そういうわけで、現代漫画の二つのテンプレートを極めて自然にひっくり返した、なかなか見事な作品だと思う。

    • 333
  8. 評価:4.000 4.0

    良質な「大人のための」ホラーアンソロジー

    「極上」とまで言えるかは微妙だが、良質な「大人のための」ホラーアンソロジーである。

    いい意味で、子どもにはわからない、人生の酸いも甘いもというか、ある程度の経験を重ねてきた大人にこそ刺さるタイプの話ばかりである。
    ゾッとする、というよりは、切なさが身に染みる、という話が多いのも、大人向けかな、と思う。

    各話、粒揃いだが、私は田村由美による話が一番気に入った。

    余談になるけれど、「大人のための」とは書いたものの、こういう作品を子どもが読むことを「子どもにはわからないよね」と切って捨てるのも、違うな、と思う。
    昔、確かウルトラマンの制作者サイドの誰かが言っていたと思うのだが、子ども向けだといって、「子どもにもわかる」ことだけで作るのは、違うのだ、と。
    確かに子どものときには「わからない」のだけれど、それが一種の「引っかかり」として心に残り、大人になったときに、「あれはこういうことだったのか」と花開く、子ども向けの作品には、そういう側面があるべきだ、と。
    私はそれに全面的に賛同するし、子どもの頃に読んだホラー漫画の中に、そんな作品が確かにあったよな、とも思う。
    そういう意味で、子どもにも読む価値はあるんじゃないかな、と思う次第である。

    • 29
  9. 評価:3.000 3.0

    いるわけねえ彼ら

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    殺_人者として育て上げられた主人公が、死後の世界で、自分を殺した殺_人の師匠みたいな人間と親子関係になり、新たな「人生」を歩み始めるのだが、という話。

    この死後の世界、という設定が独特で、簡単に言うと、生前に「こうありたい」と望んでいた人生が叶えられているパラレルワールド、みたいな感じで、かつ、生前の記憶を保持している人間もいる、というもの。
    この設定自体は、なかなか面白いと思った。

    ただ、どうにも引っかかるのは、「殺_人者として育てられた少年少女」も、「少年少女を殺_人者として育て上げる男」も、とにかく「普通すぎる」ということだ。
    そんな人間たちが「普通」のはずはないだろう。
    じゃあどんなふうに描けばいいのか、私にはわからない。
    なぜなら、そんな奴らいるわけねえからである。
    ただ、この「いるわけねえ」人間にリアリティーを感じさせるのが、フィクションの本分というものではなかろうか。

    • 4
  10. 評価:2.000 2.0

    浅はかな生と死

    自殺を禁止する法律、通称「抑死法」が成立した社会で、自殺志願者(死願者)を止める「抑死者」の活躍を描く話。

    申し訳ないが、全てが薄っぺらい。
    軽々に論じられるはずのないテーマを、あまりに軽率に描いてしまっている、というのが率直な感想である。

    だいたい、「自殺を禁止する法律」という設定からして緩すぎる。
    「禁止」って、それを破ったときにどういう罰則があるのか、例えば死んだ人間の財産が没収されるとか、遺族にペナルティーが科せられるとか、そういう描写は一切ない。
    単に「自殺はいけませんよ」というだけなら、それは単なるスローガン(まあスローガンですらないが)であって、法律ではない。
    そういうことを含めて、何かと浅はかさが露呈されており、まるで入り込めなかった。

    • 4

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