3.0
突然雑になる
前半、というか序盤は、まずまず興味深く読んだ。
美大に落ちた主人公が自らのアイデンティティーを喪失し、母親の価値観に従うだけの人間になり果ててゆく様や、そこから抜け出そうとする姿は、なかなか丁寧で、表現として力があった。
しかし、何が起こったのか知らないが、そのような心理描写は突然、雑になる(としか私には思えなかった)。
街中で不意なきっかけから絵を描き、そこから降って湧いたようなシンデレラストーリーみたいな展開、私は何かげんなりしてしまった。
こんなの、トーストをくわえて曲がり角でイケメンとぶつかるのと同じレベルの話だと思うのだが、何がどうしてこうなったのだろう。
- 4
ミューズの真髄