5.0
逃れられない苦しみと対峙して生きてく事
11歳の妹を隣家に越してきたルオトに殺され、その事件から親も樹も逃れられない苦しみを背負って生きてきた。
一方ルオトは少年法に守られ、理不尽な思いと戦いながら、樹は警官になった。
出所後、樹を巧みに追い詰めて罪を重ねていくルオト。
ルオトの罠にはめられて、世間から激しいバッシングを受け、もはや警官の職を辞する覚悟を決めた樹だったが、いつも共にしていた上司から諭され再びやる気を取り戻す。
この話で唯一ホッコリするスイーツデート場面でした。ココ、良かったです。クールな今井さんがスィーツ男子だったのも意外でした。
今から最後のネタバレに触れますので知りたくない方は読まないでください。
唯一の味方である上司が襲われた時は万事休すかと思ってゾッとしましたが、最後の戦いのシーンでまさかの登場で泣きそうでした。
そう、その言葉、その役目は上司の今井さんであって欲しい。あるべき。今井さん、生きててくれて、間に合ってくれてありがとう。作者様ありがとう。
最後まで美しい顔をしたモンスターだったルオトでしたが、安心したような顔でホロリと涙するシーン、良かったです。それは樹の思わぬ言葉によるものでした。
最初で最後の面会で樹はルオトに、わたしは極刑を望む、せめて命をもって償え、と警官として冷静に告げます。
でも振り返って、貴志ルオト、もし生まれ変わることがあったなら 必ずわたしのところへ来い。
人の心を持つまで叩き直してやる。と言って、ルオトは驚いた顔をします。
たぶんルオト自身コントロール不能な自分を諦めていて、そんな自分と本気で向き合ってくれる人がいたことにすごく満たされて浄化された顔をしたんじゃないかな。
そしてラスト3ページはセリフも説明の言葉もありません。
いいラストでした。言葉なくてもわかる納得のエンディング。良かったです。
大切なものを奪われて逃れられない苦しみがあっても未来に進んでいく、そんなお話しでした。
- 5