4.0
日々淡々と過ぎゆく中に
本当に、この作家さんのストーリーテリングの多彩さには驚かされます。
作家さんが若い頃勤務した、産科での経験をもとに書かれていますが、
ドクターでも、正看護師でもなく、ましてや助産師でもない准看護師の見習いさんとしての視点で、つまり、案件にがっぷり四つに取り組んだ、というよりは、やや通り掛りの人的な不思議な立場で書かれているのがこの作品の特徴だと思います。
時にはドクターやナースがやりたがらないような、末端という後始末的な、でもそこにこそ命の尊さがあるような、そんな先輩や上司からの指示やルーティンを淡々とこなしていく中で感じ取ったことが綴られていく。
心を動かす大きな出来事も、誰かの日時の中から突然発するもの。
それが淡々としたこの作風から、強烈に感じられました。
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