5.0
名作
凶悪犯が犯罪に至った背景、そして主人公がそこに寄り添うことで、凶悪犯罪者が子どものように心を開くシーンに涙しました。誠実に向き合って、凶悪犯が反省するというのは実際はこんなに一筋縄ではいかないとは思います。ただそれぞれの凶悪犯を犯罪に走らせた環境要因、壮絶な悲しみ、そして罪を贖う気持ちの芽生え考慮すると、少なからずどの凶悪犯にも最期は同情してしまいました。
主人公が魂の通いあった親友である渡瀬を自分の手で殺めるシーンは涙なしには読めなかったです。しかし一つだけ腑に落ちないのが、渡瀬は妹への敵討ちを恐れて死を受け入れたのに、その敵討ちを予告した相手が死んだ後は、元々死に値しない罪なのだから、主人公も死んで償うことを勧める必要もなかったし、渡瀬も再審請求してもよかったのでは。。❓と思わざるをえなかったです。生きてほしかった。しかし全体として非常に重たいメッセージ性があるのに、スイスイ読めるすばらしい作品でした。
- 1