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(本物の)ぬらりひょんに謝れ
「ぬらりひょん」こと沼尻という男に弱みを握られた家族が、沼尻(とその妻)を家に住まわせることになり、精神的に支配されてゆく、という話。
信じがたいことだが、類似の事件は現実にいくつかあり、そのへんを下敷きにしているのだろう。
まず、こういう漫画に対して「沼尻が不快すぎる」という趣旨の非難をするのは、お門違いも甚だしい、ということを言っておく。
そういうのを読みたくて読んでるんと違うんかい、と。
家にやって来たぬらりひょんと仲睦まじく暮らす話だとでも思っていたのか?
お化け屋敷に入って「ビビらせんなや!」ってクレーム言ってんのと同じだぞそれ。
まあ、それはいい。
それはいいのだが、作品としては、私は決定的に受け入れがたい点が二つあり、どうしても駄目だった。
ひとつは、台詞、あるいは独白の致命的な稚拙さ。
「いや、そんなこと言わんやろ」というのがあまりに多すぎる。
私は中途半端に芝居がかった登場人物の台詞というのが本当に苦手で、そういうのが多いと苛々して作品に入れない。
もうひとつは、中盤のサプライズ(とも呼びたくないけど)。
これがもう、本当に酷い。
作品としての整合性や必然性を度外視した、「とりあえずひっくり返したらええんやろ」というサプライズのためのサプライズ、みたいなのが私は形容しがたいほど嫌いで、生理的なレベルの嫌悪感を抱く。
私は重度の妖怪オタクで妖怪のぬらりひょんが好きなのだが、マジでもうね、本物のぬらりひょんに謝ってほしいよね。
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