3.0
得るものは金、失うものは何?
父親の会社が倒産し、学費を稼ぐ必要に迫られた主人公は、飲み会に参加して報酬を得る、というバイトを始めるのだが…という話。
こういう「転落系」の漫画は、「闇金ウシジマくん」を水で薄めたみたいな作品ばかりで、リアリティーも迫力も何もない、ということが多いのだが、「転落」の過程における心理に関しては、なかなかリアルに描かれていたのではないかと思う。
「若さと美しさを効率よく金に換えて何が悪いの?」
それが彼女の陥った「理屈」だが、実際問題、この理屈を看破することは難しい。
ただ、私が思うのは、その「交換」は、物々交換のような単純な一対一の交換ではない、ということだ。
自分では「交換」と思い込んでいるその過程で、目に見えにくい諸々を失っていることに、彼女は気づいていない。
自尊心だとか、金銭感覚だとか、価値観だとか、何を幸福と感じ得るかという感受性だとか、そういったものを磨り減らし、損ない得るのだ、という覚悟や危機感がない。
そういえば、ウシジマくんが言っていた。
「簡単に得た金は、簡単に使う」ってね。
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