2.0
画がいま一歩
婚約者の座を奪われて他の場所へ逃れそこで幸せをつかむというストーリーは時代や設定を変えて他にもあります。私を含めて読者はそのバリエーションを楽しんでいると思います。ですからストーリーには満足しています。
しかし、画に物足りなさを感じてしまいます。
例えば、ヒロインから婚約者の座を奪ったナタリア。一般庶民から王妃にまで上り詰めた彼女には、したたかさや狡猾さ、国王の心を捉えた美貌があるはずですが、それが感じられません。もしや物語の後半に出てくるのかもしれませんが、彼女の設定的にはヒロインを追い落とす物語前半にあるのではないでしょうか。
そして、ヒロインのエルヴィラ。聖女として人々のために神に祈りを捧げ乙女の白百合を育てる彼女には美貌も華やかさは必ずしも必要ではありません。むしろ、聖なるものから与えられる品格や威厳があるのではないかと思います。しかし画からはそのようなオーラは感じられず、誤解を恐れずに言えばヒロインではなく脇役の1人に見えてしまうのです。
これが作者氏の画力の問題なのか、アシスタント陣の質の問題なのかは素人の私にはわかりかねますが、画でもったいない作品になっているのではないかと残念に思います。
辛口のレビューになってしまい、失礼いたしました。
- 7