5.0
これはやばい
出会えて良かった作品です。
難聴の航平が出会ったのは、単純だけど明るくて、人の気持ちに自然に寄り添える太一。周囲の無理解に疲れ、いつしか「自分は難聴だから」と、他人に壁を作っていたのを、太一がいとも容易く乗り越えてきたことで、太一に対して特別な想いを抱くように。
太一も航平の本来の優しさ、笑顔に触れ、航平を大切にしたいと思うように。
この「特別な」、「大切な」気持ちが、「抱きしめたい」、「触れたい」、「キスをしたい」という気持ちに。なんか、「恋愛」というよりも「慈愛」というか、温かい、それこそ「陽だまり」の感情。
でも、そこにちょっとしたすれ違いが起きた時、難聴という障がいによって、航平は仄暗い思考に囚われてしまったり、太一は航平を通して社会の沢山の不条理に気づき、もがく。
全編読破する中で何度も涙しました。
BLという要素を、こういう風に作品に盛り込むことで、主人公二人の感情の深いところまで巧みに表現していると思います。
BL要素はあっても、ジャンルはBLではないと思う。
幅広い層に読んで貰いたい名作だと思います。
- 3