「オレなんかどうなったかてええんじゃ!あのひとになにかあったらオレはオレは、生きていかれへん」
ここまで真っ直ぐに、強く愛してくれる人に巡り会える女性がどれだけいることでしょう!
正直かろりさんに釣り合うのは浅村教授のような大人の男性なのではないかと思っていました。教授からの告白を受けてもびくともしないで青井くんに一途なかろりさんが見事だと感じながらも、青井くんの未熟さ不安に思っていたのです。
それは青井くんのおばあちゃまがいみじくも仰っていた「柊はいまんとこ人間的にかろりちゃんにおっついてないやろ。これからいっぱいしんどいおもいをしてよそさまに成長させていただかな。その道の途中であの娘を手放してしまうことになったかてそこはそれ、あとはご縁の問題や。」という言葉に尽きると思います。
でもかろりさんがおばあちゃまに話した「生きていたら迷惑もかけたりかけられたり、嫌われもするでしょう。その時はふたりでいろいろ考えて乗りこえていこうと、いえ乗りこえていけそうな気がします。」という確かな気持ちがあれば大丈夫だと思わせてくれます。
確かに今現在の総合力で言ったら浅村教授の方が一歩も二歩もリードしているかも知れませんが、あの情熱あのひと言は最早大人には言えない若者の特権だと思います。
そしてその「ひと言」で青井くんは浅村教授から決定的にかろりさんを勝ち取ったのだとわたしは感じました。
むしろかろりさんがこれから青井くんを大人の男の人に育てて行ってもいいじゃないかと思います。(かろりさんの)
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かろりのつやごと
157話
第63話(2)