栄さんが食べものの美味しさを思い出したこの回がわたしは一番好きです。
もちろん年齢の割に(失礼ながら)初心でいて鷹揚、時に肝の据わったところを見せるいち日さんとこれまた年齢の割には冷静で一見クールに見えるしかしけっこう男気のある周さんとのほのぼのとした夫婦模様もだいすきなのですが。
以前いち日さんの心尽くしのお持たせを悪びれるこ
となくあっさり放してしまった栄さんが衝撃でした。食べ物を美味しくいただけない人は気持ちも荒
んでいるのかなぁと頌子さんに対する態度から感じ
たものです。
それでも頌子さんという無垢で純真な伴侶を得たこ
とは栄さんにとって人生の宝を手にしたに等しいで
しょう。頌子さんの一途な愛情がパサパサに渇いて
いた栄さんの心を潤したのだと思います。
食べ物の美味しさを感じられるようになったのはそ
の象徴ではないでしょうか?
頌子さんの人柄がわたしはとても好きです。良い家
柄に生まれ両親からの愛情を一身に受けて育ちながらも決して我儘お嬢様ではなく、人の好意を素直に
感じられるところ。しかし好いた人の子どもを生み
たいと決意したら身体が弱くても自分の生命を懸け
ても生みたいという強い気持ちを持っているとこ
ろなど。
ちょっとこじらせ系だった栄さんの心を鷲づかみにした理由はその辺にあったのではないかしら?
こちらのカップルも今後どう成長して行くのかとても楽しみです。
なおお料理講座ですが大変勉強になります。レシピはもちろんですが、下拵えのやり方、例えばマドレーヌ型にはバターを二度塗りするとか太葱は鍋などに入れる前に熱湯を掛けておく、などこれまで気がつきそうでつかなかった事々を教えていただいた思いです。
いち日さんと周さんの赤ちゃん、道哉くんの(できれば)妹を早く見たいなと思いながらこれからも楽しみに拝見させていただきます。
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ながたんと青と-いちかの料理帖-
126話
第126話