なるほどねえ…
エティエンの言い分はわかった
けどそしたら同じようにレグベルのお嬢様だってもういないのに、自分は過去を殺しておいてなぜシオアナにだけ変化を許さない?
…と疑問が浮かんで思い出したんだけど、以前、奴/隷のとき、なぜ今なんだ、何もない僕の前になぜ(シオアナは)現れたんだって、境遇を呪ってのたうってたことがあったよね。エティエンは本来の身分と地位を回復した今、あるべきだった過去をやり直しているのかも… 現在のシオアナと関係を修復して過去の幸福も過ちも認めてそこから新たにやり直すのではなくて、寝室に掲げたあの肖像画の、時が止まったシオアナを相手に、公爵の姿で独り、存在しない過去の恋愛劇を演じてるというか…
目の前の生身の彼女はよすがに過ぎず、その点は私の奴/隷を返せと望むシオアナも一緒だよね。
…あらためてこのお話の向かうところってどこなんだろ。継母がらみの過去の精算ができたとき、それにまつわるエティエンの痛みと贖罪がシオアナに共有された暁には何か新たな光が見えると思いたいんだけどな…
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奴隷公爵の愛は、優しくて執拗的だった
071話
第 69 話