5.0
ザ・ヤンデレ
巷にはヤンデレを冠したお話が溢れかえっているにもかかわらず、ヤンデレの定義自体、どうも曖昧模糊としてよくわからないと常々思っているのですが、個人的な基準として真っ先に思い浮かべるのが本作のヤンデレ魔法使い、アリステアです。
彼はひとまわり歳上の魔法使いララに出会ったときから思いを懸け続けていますが、彼が12歳のときララはアリステアを守り石像と化してしまいます。気が触れてしまいそうになりながらもララの目覚めを待ちつつなんとか踏み止まってはいるものの、思いを拗らせアリステアはヤンデレ化してしまい… といったストーリーです。
ララがいつ目覚めるか知らないアリステアが、たとえ自らの死後であってもいつか目覚めた彼女が自分の痕跡を見つけてくれるよう、領主となり、治める街の学校や病院などにアリステアの名を冠する姿に胸を打たれます。
最後はハッピーエンドですが、個人的にこのお話の核心というか魅力の最たるものは、アリステアの孤独な奮闘の20年間に思いを馳せることにあるのではないか、と思っています。
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ヤンデレ魔法使いは石像の乙女しか愛せない 魔女は愛弟子の熱い口づけでとける 【短編】