みいちゃんと山田さん

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あらすじ
2012年、新宿。夜の街でキャバクラ嬢として働く山田さんは、何をやっても“ちょっと足りない”新人・みいちゃんと出会う。ヤル気と元気はあるものの、漢字も空気も読めないみいちゃんは、周りから馬鹿にされ「可哀想」のレッテルを貼られてしまう。それでも、健気に働くみいちゃんの姿に、山田さんは徐々に心を惹かれていき―――。不器用で愛くるしい女の子たちを巡る、夜の世界の12か月。
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みんなのレビュー
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5.0
差しのべられたその手を
本作は、軽度の知的障害を抱える21歳のキャバ嬢「みいちゃん」を中心に動いてゆく。
彼女の作中における位置づけが、まず素晴らしい。
本作は、知的障害というモチーフを、漫画として収まりのいい、無難な位置に落ち着けない。
みいちゃんは「ちょっとズレていて周りを振り回すけど天真爛漫ないい子」でもなければ、「ハンデを抱えながらも懸命に生き抜こうとするヒロイン」でもない。
作者の視線は恐ろしく正確で、冷徹だ。
可愛らしく描かれてはいるが、みいちゃんの生き方の深刻な「救えなさ」は絶望的である。
知的障害というだけで、ここまで搾取され、人生を損ないながら生きなければならないのか、と。
その「答え」が、簡潔に、また明確に提示されている点にも、好感を持った。
「出会う人間と、本人の決断次第」。
実のところその本質は、障害を持たない人間のそれと変わらない。
みいちゃんはどこで間違えたのか。
どこで機会を見逃したのか。
差しのべられた手をいかにして振り払ったのか。
確かに不運はあった。
周囲に酷い大人もいた。
酷い子どももいた。
彼らは確かにみいちゃんを追いつめ、あるいは無視し、あるいは考え得る限り最も薄汚い方法で利用した。
それは残酷で卑劣で致命的な間違いだった。
だが、みいちゃんもまた、間違えたのだ。
そして、作品の構成として極めて重要なのは、みいちゃんは冒頭で既に死んでいる、という点だ。
これによって、本作はいささかのサスペンス的な色合いを帯びつつ、作中のあらゆる場面が凄みを増している。
作中で綴られる、みいちゃんの小・中学校時代は、「もしもこのとき…」という読者の感情を幾重にも喚起するように作られているが、冒頭の構成によって、それらが単なる「胸の痛む回想シーン」ではなく、「もしも…」がよぎる度にみいちゃんの死が脳裏にオーバーラップする、というギミックになっている。
これはちょっと、凄すぎる。
先に私は、作者の視線を「冷徹」だと書いた。
しかし同時に、障害があるとかないとかを超えて、「個」としての人間に対する愛情というものがなければ、こういう作品は描けない。
その意味で、山田さんという主人公は作者の視線の完璧な反映だと思うし、語弊があるかもしれないが、「救ってはあげられない、出来るのは、無責任に愛することくらい」というような切ないその立ち位置が、私は好きであった。by roka-
48
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5.0
すごいリアル
過去に出会った、あの時のあの子みたいだなって部分があったりする。
細かい部分が本当にリアル。
福祉にうまく繋がれればここまで酷くはならなかったのか、
生まれた場所や時代が違えば良かったのか、
本人や親の性格で違う道があったのかは分からないし、
福祉に繋がったとしても福祉も万能ではないもんなぁ。
絵柄が可愛いからとても読みやすい。
女の子だからこうなっちゃったのは、、本当に残酷。by ミみ美-
12
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5.0
NEW社会の闇を感じる
絵が可愛らしいので、知的障害を抱える女の子のほっこりした感動ストーリーかと思って読み始めたらとんでもない方向へ話が進んでいき衝撃の連続でした。
実際に自分の周りでこのような話は聞いた事はないし、みいちゃんみたいな子に会った事もないけれど、今日も日本のどこかで同じように苦しんでいる人が居るんだ思うと、自分だったらどうするだろうといろいろ考えさせられる作品でした。
優しい両親がいて、仲の良い友人がいて、好きな仕事が出来て、衣食住に困らない生活が続けられる事へ心から感謝です。by フェメリア-
1
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5.0
NEW読んでて辛くなる部分もあるけど、気になって読んでしまう。
騙されてるのに、騙されてる事に気付かない。
自分のお母さんも障害を持っていたし、おばあちゃんも時代的にか障害を隠したいと思っていたから、福祉も受けれず女を武器に行きてきたみいちゃん。
まだ途中までしか読んでいないけど、12ヶ月後には亡くなってしまう事が分かっているから、気になって課金してしまうと思います。by アーノルド・パーマー-
0
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4.0
NEWこれが現実
これが現実、としか言いようが無い。
この作品を読んで「漫画だから。実際にはこんな人いない」ではなく、「これが現実で、こういう人実際にはいっぱいいる」んだと思う。
私の周りに実際にいるわけじゃなくても、わかる。
それからみいちゃんの口が終始猫のような形に描かれているのが、どうにもそこが最後まで気に入らなかったけれども。
私はみいちゃんが小学校で特別(支援)学級をすすめてくれた先生がいてくれたのは良かったと思う。
そして世間の目を気にし過ぎの祖母によってその道を妨げられたのが運命の分かれ道だったかなと。
これを読んで私の中学時代にもこういう系の子居たな〜と思い出した。
だけどその頃は特別支援学級なんて無かったので、おかしな子として扱われていた。
福祉支援が完璧じゃないとしても、頼る手立てはあったのだから、まずはそこに辿り着いて欲しかったな。
そう出来なかったみいちゃんの人生は、搾取される一方で、そいつらにただただ腹が立ったけれども。
人を見下したり利用したり物のように扱ったり暴力振るったりではなく、人と人として尊厳を重んじて接する世の中であって欲しいと願わざるを得ない。by kanoka666-
2
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