4.0
不憫系ヒロインの嫁入り譚
愛のない結婚をしたはずが夫に溺愛される。最近流行りのご多分に漏れずこちらも同様の流れです。ざまぁ展開がやや丁寧で、キャラクター達が割と癖強。話は名家ならではの一難去ってまた一難が続き、ラブシーンは少なめな印象。
絵については、美男美女だけでなく普通の人がいるのが好感持てます。全員キレイ過ぎだと、美人設定が誰なのかわからなくなるんで…
安心して読みたいけどずっとラブは退屈、という人にいいかもです。
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12239位 ?
愛のない結婚をしたはずが夫に溺愛される。最近流行りのご多分に漏れずこちらも同様の流れです。ざまぁ展開がやや丁寧で、キャラクター達が割と癖強。話は名家ならではの一難去ってまた一難が続き、ラブシーンは少なめな印象。
絵については、美男美女だけでなく普通の人がいるのが好感持てます。全員キレイ過ぎだと、美人設定が誰なのかわからなくなるんで…
安心して読みたいけどずっとラブは退屈、という人にいいかもです。
「ヒマチの嬢王」でキャバクラを描いたクレセ先生による、ホストのあれこれについてのマンガです。
自己肯定感や甘い夢は、買おうとすると高くつく、という事を赤裸々な筆致で教えてくれる作品です。
ウシジマくんなどと同じく、大人の社会勉強になります。深刻な場面も出てきますが、概ねコメディ寄り。
まともに生きるのが辛くなった時読むと、「ああ…こいつらと一緒は嫌だな、ちゃんと考えなきゃ…」
とか踏み止まる事ができるかも知れません。
単に作品としての完成度や部数だけで測れないマンガが、日本には数多あります。
はだしのゲン、デビルマンなどを筆頭に、
「描けて読める環境があること(確実に物議を醸すとしても、国や出版社が出版を認めるだけの表現の自由がある事を示している)」
「描く事で受けるデメリットを甘受するほど、問題意識を持った作家が存在すること」
を証明する作品たちです。例として挙げた2作は完成度も高く、社会的評価を確立しているので、「こんな子どもでも書けそうな絵にそんなご大層な」と苦笑する方も多いでしょう。
でもこの「ヘブンの天秤」がどんな話か、読んだら納得します。るる先生にしか描けない、この絵でなければ到底完読できない、神と信仰の不条理の核心へ切り込んだ作品です。
そしてこの作品を公開できている、「めちゃコミック」の、現時点での素晴らしさを改めて実感しました。買収元の投資会社の、悪影響がないことを切に願います。
この表紙何とかならなかったんですかね。おかげで今までスルーしちゃったじゃないですか!
という私怨はさておき、おもしろいです。
サブタイトルの通り、ほぼ「シャングリラ・フロンティア」なるオンラインゲーム内でのお話。プロゲーマーとパーティ組めるくらいのつよつよゲーマーが主人公です。
表紙の鳥頭はゲーム内のスキン?アバター?です。
(正直本当に主人公が鳥なのかと思ってました)
作中作のようなものなのでどうなんだろう、と恐る恐る読みましたが、まず主戦場となるゲームの設定がしっかりめです。あまりゲームを知らなくても、転生ものとか読んだ方なら問題ないかと。
リアルでの人間関係のドラマはかなり控えめで、ゲーム攻略が話のメインです。分類するなら冒険譚でしょうか。絵もキレイだと思います。ゲーム好きはもとより、少年マンガ好きな方にもおすすめです。
これを今読んでいるあなた、中高生時代ってどうでしたか。上手くいってましたか、それとも何一つままならない感じでしたか。…まさか、現役の中学生高校生だったりします?だったらこんなレビュー読んでいる場合じゃありません!今すぐ作品ページに飛んでください!!テスト前じゃなければ!
目つきの悪さと内向的な性格で誤解を受けることが多い主人公、小雪。
ややガサツながら裏表がなく、高校でキャラを偽っている人気者、美姫。
おっとりした存在感で包容力がある陽太。
一見陽キャ代表のモテ男、湊。
メインキャラ4人の、放っておけば日常の行間に埋もれてしまいそうな心の揺れや出来事を、考古学の発掘調査のような丁寧さで拾っている作品です。
読むと昔の事を思い出して、「あああああ!」ってなる事もあるでしょうが後悔はしません。多分。
画業50年を潮に、ご体調もあって漫画を描く事をやめた一条先生。その集大成に相応しい、豪奢な人間ドラマです。なんせ舞台はオペラ界、主人公は資産家のお嬢様ときています。
主人公、史緒は輸入代理店経営者の令嬢。早逝した母と同じ、オペラ歌手を目指していますが父の会社が倒産。途方にくれるも出会いに恵まれ、チャンスを掴んでいきます。
他方、彼女のライバル萌は、毒親がいる庶民の苦労人。根性や対人スキル、強かさを武器にステップアップします。他のマンガなら、充分主役を張れる存在感を持つキャラクターです。
オペラを好きな方なら曲名を見るだけで胸が踊るでしょうし、恋愛マンガとしても人間ドラマとしてもドラマチックで特濃の内容。すらすら読めるより、何度も読み返して楽しめるマンガをお探しの方におすすめします。
小田ゆうあ先生の作品は、まず問題定義があって、そこから相応しいキャラクターを作っているのかと思うくらいに考えさせられるマンガだと思います。
「斉藤さん」では保育園周りの大人たち、最新作「かろりのつやごと」ではルッキズム。この「ふれなばおちん」では不倫のボーダー、純愛と不倫の境界といったところでしょうか。
「いいお母さん」でいる事に全てをかけているヒロインが、夫の策略で元俳優の男と出会い、物語が始まります。夫は妻に女らしさを取り戻して欲しくて「妻を誘惑してほしい(妻のまわりにいて、妻が意識するように動いてほしい)」と男に持ちかけ、見返りに社宅入居の便宜を図ります。側から見れば「自分たち夫婦の仲が深まるように当て馬になれ」と言っているも同然の傲慢な申し出。男(若くはないけど色気があり、モテるタイプとして描かれています)は夫への反感もあって、妻の籠絡に乗り出すのですが…という話。
まず、そもそも夫の浅はかな行動がなければ二人は出会わず、恋に落ちることもありませんでした。妻に意識させたければ、自分を磨いていい男になる事もできたはずなのに、妻にだけ求める。仕事は妻もかなりのレベルでこなしている、というか妻は同性から見て相当なデキる女です。
一応、形だけは夫の目論見は当たります。限られた予算で時間で、妻は自分の外見に手を入れ、夫目線でも美しくなるのですが、それはもちろん男の為。
夫は女としての妻を失います。
キスはしたものの男女の仲にはならず、互いに思い合うだけの恋。しかも発端は夫という、なかなかに珍しい不倫劇です。
あなたから見て、この恋は罪ですか?という作者様の問いかけが聞こえるような作品です。
40歳の女性マンガ家が主人公。見た瞬間「え、まさかモデルはご自身か…?」ってなりました。多分違いますね…。
コメディ寄りな自分のキャラクターに飽きてしまい、キラキラの少女マンガを書こうとするも、筆が全く進まない。気分転換に行ったカフェでだいぶ年下のイケメンに出会ったり賞をもらったりイケメンのお父さんと出会っていい感じになったり。するんですが…しかも結構美女なんですが…!
そう、もう色恋で世界が回る年じゃない。諦観とも大人の落ち着きともつかない空気が心地よい作品です。
理不尽な扱いを受ける主人公が、置かれた環境を出て新天地で評価と地位を得る。悪役令嬢と同様最近よく見るパターンで、やや強引な導入も散見されるのですが、この作品の場合は読者の慣れを逆手に取ってミスリードしているかもしれません。
ここから具体的なネタバレします。
調剤工房で働いていた主人公ルジェナは、
①祖母や母が作れた万能薬を作れない
②同僚リリアの手柄を横取りしている
という理由で解雇されます。①については事実ですが、主人公の解雇で改善するものではなく、②については事実無根。にもかかわらず、同じ工房で働く薬師フランツは訂正するどころか、ルジェナの薬を手直ししたと証言します。
ルジェナは働き口を追い出され、タイトル通り再就職して、元いた工房は人手不足に陥るのですが、結論として雇用主もルジェナの有能さを知っていました。解雇の理由はルジェナへの嫉妬で、フランツの証言も彼がお金を渡してまで偽装したものだった、
というところまで読みました。
こうなるとフランツの思惑が気になります。現場で働く人なら、ルジェナの仕事の皺寄せは予見できたはず。どうして自分の首を締めるようなことをしたのか、更にリリアは何を狙っていたのか。まだまだ色々出てきそうです。
いくえみ先生の作品は読者を甘やかさないと思います。基本的に王子や騎士、姫は出てこないので甘い夢は見られない。みなさんトイレに行くし失敗するし、傷つくし傷つける。
息を呑むようなタイトルの、こちらも血肉が通う人間ドラマです。兄ばかり可愛がる母、母が鬱陶しい兄、漫画家の友人、友人の恋人、誰も彼も自分なりに手一杯でリアルです。もし実写化するなら曇天の下、実力派で端役まで埋めるのが合いそう。
ありきたりのハピエンに飽きた方におすすめです。
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灰被り姫は結婚した、なお王子は