色は匂えどさんの投稿一覧

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1 - 10件目/全88件
  1. 評価:5.000 5.0

    全てが丁寧。ファンタジーの良作

    マンガはそれなりに読んでいるつもりだったので、本作で三つ葉先生を知った時は「まだこんな作者様がいたのか」と驚きました。
    読後、何とも豊かな余韻が残る作品です。

    捨て子の少年と、彼を拾って育てた魔女の物語。
    命の有限、世代を継ぐこと、家族愛と恋愛、その他単なるラブストーリーには収まらないテーマを盛り込みながらも欲張った感がない。日々の営みと地続きで、自然にそこにあるのです。

    魔女の家(建築家さんが設計したそうです)、魔法についてなど、ファンタジーならではの設定の細やかさが素晴らしい。単に精緻なのではなく、理の狭間の、人の想いや願いの気配が伝わってくる。作者様の「魔法」の解釈に拠るのか、そういう絵だからなのか、今の私にはわかりません。
    登場人物たちも、善悪黒白で割り切れない人間味があります。皆が悩み経験し成長し、それぞれの人生を生きている。

    「ファンタジーが大好き、だからこそ綻びがあると気になって読み進められない」と悩む方に、読んでみてほしい作品です。

    • 0
  2. 評価:5.000 5.0

    「表紙詐欺」ってツッコミ狙いとしか笑

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    一見ラブコメとしか見えない美麗な表紙。読んでびっくり、ギャグ漫画です。
    …いや、ラブもあるっちゃあるし一応コメディとのことですが、…コメディってこんな振り切ったやつでしたっけ?

    「ナワバリがお隣同士のヤクザの跡取り二人が町の歯科でエンカウント」
    と聞けばハードボイルドでしかないはずが、すごい勢いで笑わせてくれます。
    登場人物全てが美男美女かつ変人なのも、何故か納得してしまう。書き分けがしっかりしてるせいか、「そういう世界なんだな」と押し通す力がある作者だからかはわからないまま、ページをめくる手が止まらないのです。

    最近笑ってない方はぜひご一読を。
    ただし、くれぐれも公共の場では読まないでください。あなたも変人になりかねません。

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  3. 評価:5.000 5.0

    個人的親になる人の課題図書#2

    (#1はコウノドリです)
    2025年度みんなが選ぶ電子コミック大賞男性部門受賞作品。この部門で育児マンガが選ばれる日が来たことに感動する反面、女性票が集まったのかな、とも思います。

    主人公は社会人男性。4才と0才の子供を残して専業主婦の妻が急逝、妻にほぼ丸投げしていた育児が突然降りかかってさあ大変というお話です。

    社会的信用が得られる「ほどほどにの家族」がいい、家での仕事中に子供が騒いだら(妊娠中の)妻と子供を外出させる、ひっくり返ったおもちゃ箱や前に遊んだ状態で放置されたプラレールの中で響くゼロ才児の泣き声。
    子供の病気の描写はもちろん、育児についての本音実像が満載です。
    念のため言わせてもらうと、保育園降園から翌朝の登園まで子供二人が家にいるので、ゼロ才児に夜泣きがあるとどっちも起きてまず眠れない。この主人公は会社で仕事できているようなので、眠れているのでしょうね。

    タイトルにあるブッキーは、小児科医の琴吹先生。読者と主人公に寄り添ってくれる、頼もしい人。メイクのせいで混雑が避けられるならむしろ理想です。こんなお医者さんが身近にいたら最高ですね。

    • 0
  4. 評価:3.000 3.0

    42話までの感想です。

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    彼氏を後輩に掠奪されて、上位互換のビジネス伴侶と相思相愛に。すごく人気あるパターンのお話です。

    人物はヒーローを除けばリアルでも一応見聞きしなくもない…です。掠奪趣味、育ちが良く立ち回りが下手な人、他人の仕事を自分の手柄にするのが上手い人。
    読者の想定内でキャラクターが動き、よくあるシナリオに収まるので、「ザマァ展開が見たい」「健気なヒロインに幸せになって欲しい」など、期待する展開が具体的にある読者には好かれる作品だと思います。

    私は何というか、、手続きや仕事に関する諸々が気になって入り込めませんでした。突っ込みどころがありすぎ。原作に忠実なのか省きすぎなのか不明ですが、だからといって原作と付き合わせる気にもなれない。

    絵は綺麗で見やすい反面、表情がソフトで作ったかテンプレを予め用意して使い回してる印象。もしや、このシナリオに繊細な表情をつけると不釣り合いだから画力を抑えているのかな?とも思います。
    一度作画担当さんのオリジナル作品を見てみたいところですが、どうなんでしょうね…

    • 0
  5. 評価:5.000 5.0

    直球勝負のホラー漫画

    ホラーがなぜ怖いか?
    わからないから、我が身に起こるかもしれないから、に尽きるでしょう。この作者さんとは話が合いそう、と思ってしまいました。

    話し手の男の子だけが共通する、オムニバス作品。
    登場人物たちはみんな別人で、状況も色々ですが「よくある日常の延長」で怖い目に遭う事は共通しているよう。
    途中までしか読んでないからかもですが、何故録画?配信?してるのか、話し手の創作の話なのか聞いた話なのか、それすらわからないのも不気味です。

    冒頭で男の子が切羽詰まっている描写があり、話し手の男の子自身が最恐の怪談の主人公、という位置付けで進んでいるように見えます。
    現在90話で、単行本もきっちり10話ずつ収録で9巻まで出ました。そう、今まさにクライマックスです。
    一人の人間がたくさん話を作るとどうしてもパターンが見えてしまう(もちろん例外もいます)という経験則がなければ大人買いしたい作品。

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  6. 評価:5.000 5.0

    QOL重視型救世主

    もしかしたら女性の人生で一番楽しいのは30代かも知れません。10代20代では持って生まれたものや環境で幸不幸がほぼ決まり、30才を超えてようやく「若い女の子」というレッテルから解放され、努力の成果が返ってくる。身の丈もわかって知恵がつき、自分に合った環境を選べる感性が身についてくると思うのです。
    自分なりに努力を積み上げて公私の居場所を得、稼いだお金を使う楽しみを満喫できる頃に、
    神「さぁ、今までの生活全てを捨てて今から異世界を救ってくれ!」
    …ブチ切れますね、私なら。神さまなんだから自分でやれば?って返して何もしないかも。

    このお話の主人公は、大人で冷静で賢明です。信用と盲信の違いを、情報の大切さを、自分を知っている。最初に状況を把握して、救世主となる条件を出し、最善を整えてから異世界に到着するので、読者視点でも安定感がすごいです。
    主人公が経営するブックカフェが主な舞台なので、本がたくさんある空間にワクワクする向きには目にも楽しい。キャラクターデザインもクセがないです。軍人のヒーローがロン毛なのは、、読者サービスですかね。

    一読した限りでは、最後まで目立つ齟齬はなく読みやすい異世界ものだと思います。異世界転生というよりファンタジーが好き!な自分には良かったです。

    • 2
  7. 評価:5.000 5.0

    絵面だけでも大優勝。

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    単行本2巻までの感想です。
    男装の麗人って、なんでこう夢があるんでしょうね。ビジュアルはWヒーロー、実は男性顔負けのイケメン女子とポンコツセレブというギャップも良いです。

    家庭の事情でお金に困っていたところを街頭スカウトされ、男装して社長秘書をする羽目になった高身長の女性、玲。社長の湊は少し女性とぶつかっても吐いてしまうほどの女性恐怖症で、「女慣れしてもらう」プラス「女性たちと接触を持たないようボディガードをする」という二重のミッションをこなすことになります。

    設定の無理矢理感が比較少なく、するすると話が進むのでストレスなく楽しめます。ヒーロー?の湊も、彼なりに成長する上以外な美点もあるので、「玲が男女どちらの姿でも、見ていてお似合いの二人」になっていくのも良い。
    リアルに◯◯フォビアの方の症例や治療を知っていたら色々引っかかりそうですが、素人が漫画として読む分には面白い。
    ドジっ子の女性がハイスペック男性に助けられる、王道展開に飽きたら読みたい作品です。

    • 1
  8. 評価:5.000 5.0

    高校生マンガ家とその仲間たち

    意中のコワモテ男子に「好きです」が言えず、「ファンです」と婉曲表現したらサイン色紙をもらった。そう、彼は人気漫画家だったのです!しかも少女マンガ家!
    ……なかなか見ない導入で始まるラブコメです。

    締切前後の体調、全く経験がない分野をマンガにする(ヒーローは少女マンガ家でありながら恋愛未経験)、手先の器用な人(≒アシスタント候補)へのアンテナの張り方など、マンガ家さんあるあるなんだろうなーと思われるネタがてんこ盛りで楽しい作品。ちょっとしたネタの膨らませ方がすごくて、終始笑えます。

    クセのない絵柄が万人受けするでしょうし、
    ラブ<<<コメディの内容にそぐわしい。
    キャラクター達も、それぞれとっても個性的でちゃんと人間くさいです。4コマなので空き時間のリフレッシュにも向きそう。
    煮詰まった時に読みたい作品です。

    • 1
  9. 評価:5.000 5.0

    ファン→性転換して新人アイドルに!

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    こちらでいう7話までの感想です。
    普通の女の子が、他人ではなく自分のまま性転換。ちょっと類似の設定が思い出せないです。

    男性アイドルのファンであるヒロインが、自分もアイドルになろうとオーディションへ。その会場で担当とは違うメンバーと事故キスしてしまい性転換、という導入。
    たまたま同日開催だった、推しのグループの新メンバーオーディションを受けられて見事合格、男性アイドルとしての生活が始まります。

    突拍子もないようですが、ヒロインが推し活+オーディションに向けた準備をした布石があるので案外入り込めます。男性化したヒロインのビジュアルも良く、既存のメンツと被らないキャラなので無理がないです。声変わりもちゃんとフォローがあり、少女マンガにありがちな雑さがないのが読みやすい。
    (さすがにトイレシャワー問題は流し気味です笑)
    そして何より、男性キャラの書き分けがしっかりしているのが素晴らしい。目元コピペの作家さんも珍しくないジャンルで、各メンバーしっかり印象が違います。

    あとは家族や、性転換の謎をどこまで追うかなんですが、こればかりは終盤でないと見えませんね。
    最後どう締めるか、見てみたい作品です。

    • 1
  10. 評価:4.000 4.0

    料亭を巡る人間ドラマ

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    主人公補正、不釣り合いなスパダリ、予定調和のハピエン、「そのためだけにいる」当て馬。時代劇のジャンル違いみたいなラブストーリーに、食傷してる方には目先が変わる作品です。

    時は戦後。料亭の長女いち日は、料理人だった夫を戦争で亡くします。家を守るため再婚しますが、来た婿はかなり若いクセ者というお話です。

    見どころはシナリオと周くんの設定の秀逸さ、これに尽きます。
    主人公を甘やかさず、その時代ならではの苦難がきちんと物語に組み込まれている。個人の幸せの総和より家の存続が優先される時代を擬人化したような伯母、女が厨房に立っただけで目くじらを立てる社会や板長。あるべきトラブルをちゃんと描くのは、物語と真摯に向き合う作者だからこそでしょう。
    19才の婿、周くんは、料亭にとってはスポンサーからの回し者でもある若者。先を読む力はあるけど分相応に世間知らず、しかもいざとなれば帰る家がある三男坊。自然、(悪気はないものの)料亭「桑の木」を経営の実験台にします。文句を言われても自分が強い駒である自覚があるので聞き流す、可愛げ皆無のおぼっちゃま。
    彼の存在が、何がどう転ぶかわからないハラハラ感を作品に出していて、先が読みにくくなっています。

    お仕事マンガ、お料理マンガの側面もある作品なので、
    物資がやや充実しすぎな気がする(新巻鮭ならまだしも初物の鮭を京都で食べられたの?)のは少し気になりました。
    そして絵のバリエーションが物足りないです。顔の輪郭が老若男女日本人アメリカ人で大差ないのは、本来編集者が物言いすべきところでしょう。メディア化は実写化で正解だったと思います。

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