4.0
個性豊かなホテルがいっぱい。
無料分のみ読みました。
「いつかティファニーで朝食を」でも有名なマキヒロチ先生によるオムニバス作品。いろんなホテルにいろんな人が泊まります。地方の伝統あるホテルらが次々と輝きを失っている昨今、ホテル業界への最大限のエールとして読みました。
素敵なホテルがたくさん出てきて、でも単なる紹介になってしまわず、読者が自分で良さを見つけられるよう、意図的に情報の余白を作っている。マンガを買って終わりではなく、読者が自発的に気になったホテルを調べ、宿泊して体験するところまで想定して描いているように思います。
掲載誌が普通のコミック誌?なのは意外でした。
大人の隠れ家、東京カレンダー他、情報誌の方が世界観が合う気がするので。
テンプレ通りのキャラクターが出てこないのも作者ならでは。こだわりの為なら他は切り捨て、独善を承知していたりいなかったりしながら自分を貫く人物たちはかなり生々しい。みんな程度の差はあれ庶民で、晴れ模様ばかりではない人生の中、費用と時間を捻出しています。
ホテルステイ=好きを堪能する時間を最優先させた人々の将来に、「シェアメイトとケンカ別れしてホームレスに」「怪我や病気をしたら入院費が払えなかった」「パートナーとの時間が取れず自然消滅」などなど、非日常を日常使いしたツケを払う展開があれば人間ドラマと言えるでしょうが…この作品の場合ノイズになるでしょうね。
読者をただただ夢心地にしてくれるのではなく、現実のひと匙を入れてあるのが低評価の一因だとしたら少し残念。誠実なマンガだと思います。
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おひとりさまホテル