5.0
ままならないから恋なのです
「少女マンガって綿菓子みたいな恋愛ものばっかでしょ」
という偏見は未だ多いのではないでしょうか。そして作品ごとではなく実際売れた部数で見たら、7、8割方は展開が読みやすくて読者にカタルシスと陶酔をくれるマンガが支持されているのでは。
この作品は、少女マンガの王道を行く画風で、シリアスともトゥルーとも思えるストーリーを描く水城せとな先生によるもの。キラキラ甘々した他作品と一線を画しています。
どこか頼りなく見えても、恋の甘さも苦さもちゃんと知っているヒロインのいちこ。マンガらしくかわいいルックスの中身は、時にズルくて時に衝動的な、等身大の女性です。男性陣も、誰一人読者の期待通りには動かないし、読者が憧れるような夢物語から遠いところが辛めの評価の要因でしょうね。
個人的には、短い巻数で恋愛の全てを描いている、と言っても過言ではない良作だと思います。
読書歴にも珈琲やウィスキーが欲しくなった方にはおすすめ。
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脳内ポイズンベリー