身勝手な親の都合に振り回されて、ルウェリンとアルマンが可哀想過ぎる………。父王と義母に虐げられて来たルウェリンにとって、母に大切にされていた思い出だけが、自分の存在を支えてくれるよすがだっただろうに。
彼女がすがろうとした肉親の絆。けれどあの場にルウェリンを心から大切に思う人間はいなかった。あの空間から彼女を救い出しに来たアルマンだけが、ルウェリンを大切に思ってくれる存在だった。
とうとうアルマンが隠そうとして来た真実を知って、教えてほしかったと泣くルウェリン。ルウェリンに全てを知られてしまって、一生をかけて償うと謝罪するアルマン。罪深い親たちの行動は、互いに想い合っていただろう幼馴染みの関係まで拗らせてしまった。けれど、やっぱりルウェリンはアルマンをずっと好きだったんだろうと思う。アルマンもルウェリンが好きだからこそ真実を知って悲しむ姿を見たくなかったんだと思う。
この作品は他ヒーローはみんな魅力的で、それぞれルウェリンには必要な存在だろう。けれど、その中でも………私はやっぱり、アルマンとルウェリンの周囲に巻き込まれて捻れた関係が、もとに戻って欲しいと思う。アルマンがまだルウェリンの呪いに気付かなかった頃。初めて結ばれた後の、結婚の約束をする二人は本当に幸せそうだったから。あの姿が、二人の本心なんだと感じるから。
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捨てられた王女の秘密の寝室【タテヨミ】
108話
帰る場所