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偽りが真実になるまで
伯爵令嬢のリリアーナは義母と義妹、二人のいいなりの実父に虐待されて育ってきた。そんな彼女の元に来た公爵家からの婚姻の申し出。今の状況から逃れられるかもしれない、と淡い期待を抱くリリアーナ。そんな彼女に、夫ウィリアムが告げたのは、この結婚が彼に都合がいい政略結婚で愛はないこと。「泣くな。泣く女は見たくない」と突き放した彼は、それからリリアーナに会おうともしなかった。
そんな状況から一年。記憶を失ったウィリアムはリリアーナに優しく微笑みかける。「貴方のような麗しい方が私の妻だとは本当ですか?」記憶喪失から始まる溺愛夫婦生活。けれどリリアーナは、ウィリアムの記憶が戻った時に、この偽りの幸せは終わると不安になるのだった。
………この好感度マイナススタートからの旦那様ウィリアムの名誉挽回具合がすごい(笑)美しく清楚で純真で優しく健気なリリアーナは、本来ならウィリアムの好みど真ん中の女性だったんですよね。ただ、ウィリアム側にも女性を嫌悪する理由があって、リリアーナを突き放すような態度を取ってしまった。そんな自分を責めつつ謝罪する事も出来ず、彼女を避けて過ごしているうちに記憶喪失になってしまった。
と言う訳で、記憶喪失から目覚めたら理想を形にしたような妻が目の前に!!性格も鬱屈する前の真っ直ぐな本来のウィリアムに戻っているので、周囲の使用人たちに妻を放置した一年を責められながら必死に挽回しようとする姿が微笑ましい。頻繁に「わたしの つま かわいい」と悶える姿も笑ってしまう。そのくらい、リリアーナは可愛らしい女性なんですよね。ただ、彼女は心の奥にたくさんの傷を抱えている。そしてウィリアムにも、女性に心を閉ざすようになった過去がある。この二人は、本来は良く似た、高潔で優しくまっすぐな魂の持ち主。そのリリアーナとウィリアムが互いを支え、周囲にも助けられながら前を向いていく姿はとても尊く感じました。
今なら終盤まで毎日無料があります。お話は面白いし絵も綺麗だし、是非読んでみて欲しいです。
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記憶喪失の侯爵様に溺愛されています これは偽りの幸福ですか?