これが高位貴族のアルマンが膝を着き頭を下げてでもルウェリンには知らせたくなかった真実。ルウェリンは父親に捨てられただけじゃない。彼女が慕っていた母親にも、大切に思っていた弟にも捨てられていたと言う残酷な真実。辛い境遇に置かれたルウェリンの希望はいつか母の祖国に行くことと、弟のエルフィスに再会する事だった。その希望が裏切られると知っていたから、アルマンはどれだけ憎まれてもルウェリンに真実を知ってほしくなかったし、知られるのを避けられないならせめて絶望しないでくれと願ったんだろう。やたら否定する方もいるみたいですが、ルウェリンへの彼の愛は本物だし、やはりどこまでも献身的だと思う。
常にそばにいる事だけが、大切に守る事じゃない。彼が彼女の下を離れて聖剣を求めたのも、誰からも見捨てられたルウェリンを守る為だったんだろう。自分がいない間に先王が実子のルウェリンをあそこまで冷遇することも、騎士団の護衛がついているルウェリンが拐われて呪いをかけられる事も、アルマンには想定外だったんじゃないかな。
今は傷ついているルウェリンだけど、いつか気付いて欲しい。アルマンは彼女の事を案じて守ろうとしていたし、国内で王女としての彼女の居場所を作ろうとしていた。彼女は全てに捨てられた訳じゃなく、ずっと想ってくれている人がそこにいる。居場所も愛してくれる人もそこにあるんだと。
今回ルウェリンが思い浮かべた、蘇った幸せな過去には家族と共にアルマンの姿が、彼の手を握る自分の姿があった。やっぱり彼女の心の中にも、アルマンを求める気持ちがあるんだと思う。真相を隠されていた事を、傷付いたルウェリンはまた責めるかもしれないけど、そろそろお互いに自分の本心に素直になって欲しい。
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捨てられた王女の秘密の寝室【タテヨミ】
106話
捨てられた王女