4.0
カルマの法則
恋愛ものでありながら重くしんどい内容も含まれる作品ですが、ストーリー構成がきちんと出来上がっているので比較的サクサク読めます。絵も綺麗めで見やすいです。私は人物の目の描き方が特に好きです。
職場でのいじめなど重めのエピソードが連続する展開について、また主人公の笑えない過去の所業については、『自分がしたことは自分に返ってくる』という物語のテーマに必要なものなので、それらを受け入れがたいと感じる読者にはこの作品はおすすめできません。
『過去に愚かな行いをした主人公』という人物設定なしではこの因果応報ストーリーが成り立たないので、この作品の主人公の性格には多少の難があります。それを理解した上で読み進めるといいと思います。
若気の至りとはよく言ったもので、誰しも学生時代に大小の過ちをおかしているもの。言ってしまえばお互い様かも知れない、大人になれば互いに水に流せそうなもの……と、やった側にとってはそんな認識のいたずらや悪ふざけが、やられた側にとっては決して水になど流せない事例だったりする場合があります。このお話は、やった側の主人公とやられた側の夏目巡の物語です。
高校時代の主人公は夏目巡以外の人物にもいくつかやらかしていて、大人になってもそれを忘れない相手から仕返しをされます。因果応報、カルマの法則です。
それにしてもちょっとしんどい。私は読んでいて、そろそろカルマは解消されたのでは?もう許されてもいいのでは?と思いました。若い頃にやってしまったデリカシー皆無の悪ふざけと、大人になってからの計画的で陰湿な仕返し。それでもうイーブンなんじゃないかと。
主人公と夏目巡の恋愛の描写については、恨みや罪の意識が絡まってこじれて、双方が複雑な心情になってしまうところにぐっと来ます。ふと学生時代の良き日の二人の雰囲気が見られることも。
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夏目巡のせいで眠れない