4.0
立ち向かう女性の物語
冒頭の謎めいた独白に興味を持ちました。もしかするとこれは主人公と彼が純粋に幸せへ向かっていくストーリーではないのでは、と。
ハッピーエンドなのかもしれないし、そう願いたいです。けれど、何かある感が否めず。
当時の貴族社会の体質を考えると、娘を駒のように扱う父親や浮気を正当化する婚約者に涙を飲んで従うしかなさそうなものですが、主人公は運命に抗おうとします。父親に意見を言うことも許されないような時代に、その勇気が美しかったです。
婚約者から頭が悪いと罵られ、知識を得ようと図書館で本を読む向上心がまた良い。父親にも婚約者にも、加えて周囲の友人関係にすら絶望させられながらも、心折れずに成長しようとする主人公の姿がひたむきで応援したくなります。
そうして図書館で、主人公は彼と出会うことになります。幸せな結婚の予感がする一方、冒頭の独白から連想する不穏さも消えず、この先のストーリーが気になっています。
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あなたが私を手に入れたいのなら