5.0
眩しい。応援したくなる。
新しい視点の宇宙漫画。未来への希望溢れる作品です。また、子供の言語教育に一石を投じる意欲作でもあると感じました。
バイリンガル教育を施している最中に両親が亡くなり、どの言語も拙いままとなってしまった主人公の小学生女子、ありす。周囲の同級生たちは、ありすが帰国子女だから日本語が苦手なのだと認識しています。
明るく容姿が美しいありすは、学校では人気者の立ち位置。ですが……。
子供とは往々にしてあっけらかんと残酷なもので、同級生たちは日本語でのコミュニケーションが上手くできないありすのことを悪びれもなく赤ちゃんと呼んだり、責任のある仕事に推せるタイプではないよねと言ったりします。ありすはだんだんと、自分は頭が悪く、できないことだらけなのだと思うようになっていきます。そしてその感情すらもうまく言語化できずにいます。
そんなありすに手を差し伸べるのが、隣のクラスの天才、犬星君。小6の卒業間近に、犬星君はありすの語学力がどの言語も年齢に達していない、いわゆるセミリンガル状態であることに気づきます。地元の別々の中学校に進学した2人は、毎日1時間、ありすの語学力向上のために会って勉強をすることに。
読んでいて、青春だなと感じました。ありすが犬星君の言葉によって呪縛から解き放たれ、夢を溢れさせていく過程がキラキラ輝いていて。
孤高の天才である犬星君もまた、本当は友達が欲しい人。アプローチが天才すぎて周囲が引いてしまい、淋しい思いをしてきたんですよね。
そんな犬星君の発想に、初めて全力で応えたのがありす。2人が一緒に未来を見据えて前に進んでいこうとする、その姿が眩しいです。
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ありす、宇宙までも