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前向きに生きるということ
133センチは小さい。身内にも友人にも140センチ台の大人は何人もいますが、133センチは、一般的な認識として完全に子供の身長です。私たちがその身長の大人を目にした時には驚いてしまうし、何か障がいがあるのだろうかと考えます。
その133センチの身長で、凛として世の中を渡り歩く主人公の華。周囲の好奇の目や心ない言葉にも負けず、明るくパワフルに、前向きに生きています。
そんな華にも、学生時代に恋愛で傷ついたエピソードがあります。だからこそ、それを経て培われていった強さや優しさに当事者ならではの説得力があります。
この作品には、低身長の華の他にも何らかのハンディキャップで生きづらさを感じている人たちが登場します。誰しも大なり小なり何かあるよね、ということを改めて実感します。それは華のようにはっきり目に見えてわかる場合もあるし、目に見えない内面のハンデを持つ人もいます。もしかすると『普通』なんて無いのかも知れない。
私は差別的な思考で人を見ることを嫌だと感じますが、とはいえ、それでは平等とは何ぞやと考えた時に悩んでしまうのも、紛れもない事実です。障がいを持つ人をなんでもかんでも優先することが平等だとは思えないし、かと言って障がいを見ないように、あたかも健常者のように扱うのも違うだろうし、何をもって『差別をしない』ことになるのかが本当に難しい。良かれと思ってした行為が相手を傷つけてしまうなんてことも、きっとしょっちゅうあるんだろうなと感じます。
そんな難しい場面でも、大切なのは、やはり気持ちなんだと思います。ハンデも人それぞれ、それに対する相手の反応のしかたも人の数だけあるわけで、どんな態度を取れば正解か、どんな言葉をかければ正解か、ではなく、どんな気持ちで接するか。それが全てかなと。相手を尊重し、リスペクトしていることがちゃんと伝われば、仮にその言葉が相手にとって好ましくないものだったとしても、そんなつもりで言ったわけじゃないという気持ちはきっと伝わるはずだから。
作中で、容姿はその人を構成するものの一部であるという意味のセリフが出てきます。要は内面が全てではなく、外見も含めてその人だということです。
『見た目を気にしない』のではなく、その見た目を愛していけたらいいなと感じる、良いセリフでした。
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133cmの景色