5.0
悪女ではありませんでした。
「北方の怪物」と「悪女」と呼ばれた二人が政略結婚して、心から信頼して愛し合う事になる物語ですが、それに至るには表沙汰になっていない両家の深い因縁があった!二人が出会う事によって一気に解決に向かって行くと同時に、なぜヒロインが「悪女」と呼ばれていたのかその秘密まで明らかになります。
この物語では「アルンデル」の魔法が大きな鍵ですが最後まで読むと、この魔法は「強欲な人」ほど効果的に罹るようです。ヒロインの父親、妹、国王……後は身近な家門の騎士たち(この物語では騎士も出世欲のある普通の人に描かれてます)や噂を信じる平民たちや貴族たち……
妹が最後に大暴走の原因になるのですが、婚約者の王太子とかヒロインの母親、弟はあまり影響を受けてません。王太子は政略婚約だし、母親や弟は妹に困らされてる事が多かったからでしょうか?この大暴走から人々を救ったのは、ヒロインのエルザネスと夫になったルカルエンの愛の力ですね。二人が心から愛し合う夫婦でなければ、この災害は防げなかった訳ですから……
全てが終わった後にエルザネスの実家は責任を取らされて没落するのですが、妹の婚約者だった王太子の「静かな復讐」が怖かったです。元々穏やかな性格の彼は、「君が望んでいたから……」と魔力が尽きた妹を他国に置き去りにします。暴力や暴言も吐かずましてやシを与える事もなく、生きてる限り罪を償わせる方法を選んだ……それぐらい彼の心は傷ついていたのですが、妹は事件の後国王になった彼の王妃になった友人から聞かされても、まだ反省は出来てませんでした。
最後に平民になった弟が姉のいる領地で偶然に姉の一家(大公と二人の子供)た出会えたのは、終わり方としては一番ホッとした場面でした。
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悪女は変化する