rokaさんの投稿一覧

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41 - 50件目/全513件
  1. 評価:4.000 4.0

    コンセプトアルバムとしての漫画

    個々のストーリーはちょっと小粒な印象を受けるものの、まるで一枚のコンセプトアルバムのような世界観、ポップでキュートな独特のホラーテイストは、なかなか魅力的だった。
    現代的なセンスに溢れる作品だが、センスだけで適当に転がしたような無機質さはなく、この作品世界がきちんと愛情をもって構築されているが感じられて、好感度は高かった。
    アルバムで言ったらボーナストラックでありリードトラックでもある、というような位置づけの「リビングデッド・ベイビー」はやはり頭ひとつ抜きん出ていて、素晴らしい。

    • 3
  2. 評価:4.000 4.0

    キュートでドライで潔い

    私の苦手な女性の殺し屋設定(そんなのいるわけねえじゃん、と思っちゃう)の漫画だが、なかなかどうして、面白かった。

    リアリティー、ない。
    作品の奥行きだとか、深みだとか、そういうことを言いだせば、まあ、正直、ない。
    にも関わらず、スピード感に溢れる美しいアクションと、キュートでドライな殺し屋少女の造形は、実に爽快感と清涼感に溢れていて、いやー、空っぽだけど、とても楽しい時間だった。
    印象としては、何も考えずに見られるスタイリッシュなアクション映画のそれで、「何もないこと」をストレートに楽しめる作品も、やはりいいな、と。
    そういうタイプの作品は、小手先のごまかしがきかない分、絶対的な力量・技量が、如実に作品に表れる。
    その点、お見事である。

    だいたい、タイトルが潔くていいじゃんか。
    大して深いものなんか何もないのに、「何かありそう」なことを標榜する作品が巷に溢れる中、「いや、バイオレンスとアクションしかないっすよ」という堂々たる提示は、賞賛に値する。

    • 10
  3. 評価:3.000 3.0

    不運

    気づいたら身体にガチャがついていた、という主人公のバトルギャグ漫画。

    丁寧だし、新しいし、ある部分「ガチャの時代」である現代にマッチしているし、いい完成度のギャグ漫画だとは思うのだけれど、何故だか全く入り込めなかった。
    変な言い方だが、面白いはずなのに、笑えなかった。
    こういうのはもう、我々の出会いが不運だったと言う以外にない。
    特にギャグ漫画はたまにこういうことがあるからマジで困る。

    仮に私がギャグ漫画の作者だったとしたら、「いい漫画だけどイマイチ笑えない」と言われるより、「マジで下らないけど笑える」と言われる方が、百倍嬉しいだろうな、というような不毛なことだけを、私は考えていた。

    私と作品の出会いというガチャは、外れたのだ。
    うーん、あんまり上手いこと言えてねえな、今の。

    • 4
  4. 評価:3.000 3.0

    スプラッターというアイデンティティー

    昔懐かしのホラー漫画。
    表題作の「白い病気」を読んだが、心理的な恐怖ではなく、思わず目を背けたくなるような生理的な恐怖描写、要するにスプラッター的な表現にはなかなか見るべきところがあって、感心した。
    これがこの作家のアイデンティティーかと思う。
    こんなのが少年少女の読むホラー漫画雑誌に普通に載っていたのだから、長閑な時代だったのだろう。

    しかし、ホラーとして見た場合はグダグダというか滅茶苦茶で、私は関東の人間だが、思わず「何でやねん」と呟いた。
    完全にギャグだろ、こんなもん。
    まあ、それを含めてホラー漫画という文化なのだとも思うのだけれど。

    • 2
  5. 評価:4.000 4.0

    錦のように、鳥のように

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    ざっくり言うと、感情と日常生活に関する知識が欠落した超能力少女が、殺し屋をさせられている、という話。
    主人公の少女は自らの左目(普段は眼帯で隠している)を見た相手を精神世界みたいなところに引きずり込む能力を持ち、その世界において無敵である(映画「エルム街の悪夢」とか、ジョジョ第3部の「デス13」みたいな感じをイメージしてもらえるといいかと思う)。

    舞台は1970年代で、話は毎回、主人公が他の子どもたちと昭和の遊びに興じる前半と、精神世界において残酷にターゲットを葬る後半に分かれている(殺し方には、主人公が前半で学んだ遊びの方法が反映されている)。
    正直、読み始めたときはいささか退屈だった。
    ほのぼのとした前半と、シュールで悪夢的な後半のギャップが魅力のひとつなのだが、「それだけでしょ」と思ったのだった。

    だが、読み進めるうちに、印象が変わった。
    登場人物たちが皆、何かしら痛みを背負っていて、その真摯な描き方に優しさを感じた。
    それは、家庭環境の問題であったり、差別の問題であったりするのだが、ここで重要になってくるのが、時代性である。
    1970年代という時代・社会を生きていた人々の、ともすれば現代の我々からは縁遠い種類の傷が、妙にひりひりと刺さる。
    その時代性、そして普遍性の価値。
    私は昔ブルース・スプリングスティーンが好きで、今でもときどき聴くのだけれど、傷ついた人々に静かに寄り添うこの漫画の立ち位置は、何だかブルース・スプリングスティーンの歌を思い起こさせた。

    ちょっと残念だったのは、おそらく打ち切りで、ラストが駆け足になってしまったことだ。
    ただ、そんな中でも、決して雑にならない終幕と、何よりも、おそらく作者がこの漫画の中で一番描きたかったのであろう台詞、「私の心は私のものよ」という主人公の台詞には、シンプルだけれど、やはりグッときた。

    ぼろは着てても心は錦、なんて言葉がある。
    その言葉の是非はともかく、どれほど困難な世界において、どれほど過酷に生きているのであれ、心だけは、自由であることが出来る。
    だから、心は素晴らしいのだ。
    私はそう思うから、この漫画を全面的に支持する。

    • 7
  6. 評価:4.000 4.0

    カルトを巡るあれこれ

    この世で最も嫌いなもののひとつがカルト宗教である。
    だからもう、主人公がそれに立ち向かうという設定だけで、私は全力で応援してしまう。
    妻をカルト教団から取り戻すなんてもう、感情移入の度合いが激しくなりすぎてヤバい。

    本作の主人公は、一見すると何かイマイチやる気のない感じが、逆にリアリティーがあってよかった。
    たぎるほどの正義感とか、燃え盛る妻への愛とか、そういうものをストレートには描いておらず、かなり抑制した描き方をしながら、その根っこには譲れないものがちゃんとあるのだ、ということが伝わる。
    私はそういう表現というのが好きだし、特に「大人」に向けての作品は、そうであるべきだとつくづく思う。

    カルト教団の造形も、まあ、いくぶん漫画的な誇張というか、「いくら何でもそりゃないだろ」というところはあるにせよ、その薄気味悪さ、躍動的な嫌悪感を撒き散らす様は、なかなか面白かった。

    余談だが、最近「カルト・オブ・ザ・ラム」という「カルト教団の教祖になる」というゲームをやって、これがたいそう面白かった。
    カルト宗教大嫌い、なのに、カルト教団の教祖になるゲームは嬉々として遊べる。
    人間の(私の)こういう柔軟性というかいい加減さというか、実に興味深いし、恐ろしい。
    「自分だけは大丈夫」なんて思わずに、肝に銘じて生きていかないとね。
    いや、マジな話。

    • 79
  7. 評価:2.000 2.0

    死神依存症

    両親に先立たれた主人公の少女か、「100人の魂を天国に送れば両親を生き返らせてやる」という死神みたいな男に出会うのだが…という話。

    設定倒れの典型というか、もう少し広げたり掘り下げたり出来なかったのか、というのが正直な感想であった。

    何よりネックなのが、主人公に肩入れしにくい。
    不幸な生い立ちであることには同情するが、怪しげな男に簡単に心を許し、かと思えば「あんたなんかただの殺_人鬼よ!」と啖呵を切った直後に、今度は男が去って行こうとすると背中から抱きつく。
    どんだけ情緒不安定なんだお前は。

    両親を生き返らせることと、自らの倫理観や罪悪感との葛藤、みたいなものをきちんと描くのではなく、孤独に対する漠然とした恐怖や、死神野郎への依存が主人公の行動原理になっているようにしか思えず、まるで応援する気になれなかった。

    • 6
  8. 評価:3.000 3.0

    途上で

    本当に申し訳ないが、評価は半ば保留みたいなもので、私は途中20話くらいでドロップアウトした。

    もっと先まで読めば面白くなるのかもしれない、という感じもしないではなかったが、そこまで耐えられないくらい、私にとっては道中があまりに退屈だった。

    昔からそうなのだが、「長いこと辛いのを我慢すれば達成感がある」みたいなことが、私は苦手だ。
    だから山登りとか大嫌いだ。
    (山登りは別にそういうものじゃない、という意見もあるのは認めるけれど、私にとってはそういうものでしかない。)

    「途中はともかく」じゃなくて、途中が楽しくなきゃ駄目だろ、と思ってしまう。
    だって人生なんて、ほとんど「途中」なんじゃないの。
    知らんけど。

    この道中を退屈せずに進める人には良作なのだろうが、そこにほとんど何の魅力も見出だせなかった私には、頂上の見えない山登りのようで、苦痛でしかなかった。

    • 12
  9. 評価:2.000 2.0

    よそでやれ

    話としては、ちょっとホラー好きな人なら誰でも知っている「コトリバコ」を元ネタにしたような感じで、特に惹かれるものはなかった。

    どうにも首を捻ったのは登場人物たちの造形で、こういう言い方は申し訳ないけれど、正直、気持ちが悪い。
    何を男同士でベタベタ&イチャイチャしてんの?
    私の感覚がおかしいのだろうか。

    私は性的なマイノリティーに対してそれほど偏見を持っていないと思うが、そういう問題ではなく、何となく美形な男子たちをイチャイチャさせてある種の読者層に訴えかけようとする魂胆が透けて見える気がして、それが受け入れ難かった。
    これほどホラーの興を削ぐ登場人物たちも珍しい。

    硬派なホラーファンとしては、「そういうのはよそでやれ」としか言えない。

    • 5
  10. 評価:2.000 2.0

    怒れるホラーファン

    「カブリモノを被った女子高生におぞましくて怖い話をしたらいいことがある」という訳のわからない設定のホラー。

    とにかく肝心の「怖い話パート」が致命的につまらない。
    「おぞましい」なんてハードルの高い形容、よく使えたな、と思う。

    おまけの「いいことがある」オチも、ほとんどがこじつけや屁理屈のレベルで、全く見所がない。

    悪いけどホラーをなめているとしか思えず、私は苛立ちを禁じ得なかった。

    • 3

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