rokaさんの投稿一覧

投稿
747
いいね獲得
21,051
評価5 20% 148
評価4 28% 211
評価3 31% 229
評価2 17% 124
評価1 5% 35
51 - 60件目/全506件
  1. 評価:2.000 2.0

    乱歩が泣いている

    単独の漫画作品として見れば、それほど悪くはなかった。
    ミステリと呼ぶにはあまりに大雑把に過ぎるし、アニメチックな絵柄も気になるが、ポップで勢いはあり、「探偵調」のアクション漫画として読む分には、まあ、許容範囲ではなかろうか、と。

    しかし、馬鹿言っちゃいけない、本作は「明智小五郎」を名乗っているわけだ。
    この一点は、どうしても許容できなかった。

    小学校の頃、乱歩が子ども向けに書いた探偵小説を読んで、生まれて初めて好きになった探偵が明智小五郎だった。
    だから、余計に許せない。
    いくら何でもやりすぎだ。

    例えば、だ。
    「ジョジョ」ではない漫画で空条承太郎という学生帽の人間が出てきて、「オラ、ワクワクすっぞ!」とか言われて許容できますか?
    「ドラゴンボール」ではない漫画で孫悟空という胴着の人間が出てきて、「ジッチャンの名にかけて!」とか言われて許容できますか?
    私は無理だ。
    そのくらいのことを、この漫画はやっている。

    かといって、明智小五郎という設定を取っ払ってしまうと、乱歩作品へのオマージュというかパロディというか、そういう部分が全て死んで、作品の機能が停止する。

    もう少しまともに明智小五郎を描いてくれたなら、それなりに読める漫画にはなったと思うが、これでは、乱歩が泣いている。

    • 5
  2. 評価:3.000 3.0

    民俗学と爽やかさ

    民俗学の研究者が、地方の様々な葬送の慣習から事件の謎を紐解く、というミステリ。
    といっても、本格ミステリではなく、民俗学を題材にしたライトなミステリと思ってもらえばいいかと思う。
    民俗学そのものの扱いも、それほど掘り下げられてはおらず、よく言えばポップだが、物足りなくもある。

    私は大学の専攻で民俗学に近いことをやっていたのもあり、題材としては好きであった。

    ただ、私の勝手な希望だが、ミステリとして民俗学を扱うならば、やはりそこには、人間のグロテスクな情念や、共同体の無自覚な残酷さ、みたいなものを期待してしまう。
    が、よくも悪くも本作のトーンは穏やかで爽やかで、ドロドロしたものがない。
    このあたり、好みの問題と言ってしまえばそれまでなのだけれど、この国の忌みや穢れにまつわる風習が、そんなに爽やかであってたまるか、という思いは、引っかかりとして残った。

    • 3
  3. 評価:3.000 3.0

    単調からの転調

    ネタバレ レビューを表示する

    自分が望む人間のクローンを作ってもらえるが、クローンの存在は絶対に秘密、クローンの存在を他の人間に知られたらアウト(記憶を消されて生まれたときの知能に戻される)、という話。

    前半はオムニバス的な作りで、設定自体は悪くないと思ったが、話としては掘り下げや広がりがイマイチで、ちょっと単調な印象は持った。

    そのまま低調なオムニバスが続くのかと思いきや、途中から方向性が切り替わり、主人公(というかそれまでは明確な主人公というポジションでもなかったが)がクローン施設を脱出する展開に。
    これはこれでまあ、悪くはなかった。

    前半のオムニバス調が当初からの前フリだったのか、それとも編集者から「これじゃまずい」となって方向転換したのか、私にはわからなかった。
    いずれにしても、いささか行き当たりばったりの感があり、悪くはないけど深く入り込めない、という典型的な作品だった。

    • 2
  4. 評価:2.000 2.0

    疲れた

    人が真剣に(かどうかは知らんけど)作ったものに罵詈雑言を浴びせるなんて、本来どうかと思う。
    客が金さえ払えばどんなクレームをつけてもいい、そんなわけがないのと同じで、読者が作品に何を言ってもいい、ということでもないと思う。
    そこにはやはり、一定の節度や品みたいなものがあるべきだとは思っている。

    しかし、申し訳ないが、信じられないほどつまらなかった。

    これで笑える人間がこの世に存在するということを私は信じられないし、本作の売りであるはずの「おことば」は、上手くも深くも何ともない、ただただ痛い、としか思えなかった。

    私はもう、疲れたよ。

    • 3
  5. 評価:5.000 5.0

    「これ系」の最高傑作

    ちょっと雑なカテゴリー化になるが、
    1.短編形式のオムニバスであり、
    2.登場人物が現実の枠を超えた奇妙な出来事を経験する、
    というタイプの漫画を、「世にも奇妙な物語系」と勝手に呼ぶことにする。

    古くは「笑うせえるすまん」とか「Y氏の隣人」、懐かしいジャンプのホラー枠で言えば「アウターゾーン」、個人的に好きな「走馬灯株式会社」なんかがこれに分類されるかと思う。
    何が言いたいって、掃いて捨てるほどあるそのような作品群の中で、過去に数々の名作も生まれてきたこのジャンルの中で、本作が最高傑作なのではないか、ということだ。

    この「世にも奇妙な物語系」には、話の「定型」が決まっているタイプが結構あって、例えば「笑うせえるすまん」であれば、喪黒福造に出会って「ドーン」とやられるのが「定型」だし、「走馬灯株式会社」であれば「自分の今までの人生を記録したDVDを見る」というのが「定型」になっている。
    本作の場合、「アンテン様」という神様に願い事をすることが「定型」なのだが、まずこの「定型」が、作品の装置として素晴らしい。
    設定自体はいたってシンプルで、「ひとつ得れば、ひとつ失う」という人生の鉄則みたいな感じなのだが、そこから生まれる制約や矛盾、得るものと失うもののバランスといったところから、哲学的な深みを感じさせつつ、しかもポップに物語を紡ぐ様は、芸術的ですらある。

    そして、明確な「定型」がありながらも、話のバリエーションの振れ幅は尋常ではなく、背筋が寒くなるようなホラーから、抒情的なハートフルストーリーまで、どこを切り取っても完成度が高く、隙がない。
    舞台設定も、現代から、戦後から、江戸時代あたりから、と多岐に渡るが、これは、アンテン様が「神」であればこそ可能な設定の自由度であり、また、アンテン様が長きに渡り、人間の本質を見つめ続けてきた、という重みも感じさせる。

    アンテン様、という「神様」のあり方は、何だかとても魅力的で、しっくりきた。
    私は基本的には無神論者だし、多くの日本人は本質的にそうだと思うが、こういう「神様」がすっと入ってくる読者は多いかと思われる。
    そういう意味では、実に日本的な作品でもある。

    私は、「私とワルツを」でボロボロ泣いてしまった。
    大人になってから、漫画でこれほど泣いたことは多分ない。

    • 16
  6. 評価:3.000 3.0

    ナッシング・トゥ・セイ

    ネタバレ レビューを表示する

    タイトルが作品のほぼ全てであり、「出オチ」のような漫画である。

    いや、面白かった。
    面白かったけど、正直、「これだけ」で引っ張られるのはちょっとしんどかった。
    ごめん、何か、何も言うことが思いつかん。

    • 2
  7. 評価:4.000 4.0

    同じであり、別である

    私はもう、完全に「もうひとつのディアボロス」として読んだ。
    しかし同時に、「ディアボロス」とは明確に別の作品だ、とも感じながら読んだ。

    刑事モノであり、裏社会モノであり、バディーモノであり、という多くの作品の枠組みを「ディアボロス」から継承していながら、「同じじゃん」というネガティブな印象を抱かせないところは、なかなか大してものだと思う。
    このあたりは、「PO」といういささか風変わりな題材によるだけでなく、「ディアボロス」の二人とは全くことなる主人公二人のキャラクターをパリッと描けている部分が大きいかと思う。
    (まあ、主人公二人に関していうと、私は「ディアボロス」の二人の方が好きだったのだが。)

    これだけ技量のある作者だから、全然別の作品を描こうと思えば、きっと描けるのだろう。
    しかし、思うに、この作者には、明確に描きたい一貫したテーマがあるのではなかろうか。
    それは、いささか陳腐な言い方をすれば、人間の光と影、ということになるかと思う。
    それを描くのに、表社会と裏社会、というモチーフを「得意技」として用いる、ということなのではなかろうか。

    手を替え品を替え、何度も何度でも、同じものを描く。
    自分が本当に描きたいものを描き続ける。
    小説でも映画でも漫画でも、作品に対するそのようなアプローチというのが私は嫌いではないし、支持したいと思っている。

    • 10
  8. 評価:3.000 3.0

    ここまでくると

    ネタバレ レビューを表示する

    「見当たり捜査」という地味な警察の捜査を題材にしているだけに、捜査の専門知識の丹念なリサーチに基づく本格派の刑事漫画なのかと思っていた。

    全然違った。

    ノリとしては完全に異能バトル漫画のそれで、キャラクターは敵も味方もあまりにぶっ飛んでいるというかトチ狂っているというか、これを仮に刑事モノの漫画として読むならば、今どき子どもでも笑ってしまうと思う。

    ただ、正直言って、ちょっと面白かった。
    ここまで滅茶苦茶に「崩される」と、これはこれでアリかもしれん、という気になったのだ。
    何事も中途半端は叩かれるね。
    ここまでいっちゃうと、叩く気も失せる。
    それはそれで、作品のひとつの方向性として、あっていいのではないか、とは思った。

    しかしまあ、案の定、打ち切りである。
    残念ながら、それは序盤からわかっていた。
    だって、序盤の「これからどんだけバトルがあるんだ」という敵の数と、完結している「話の数」が、どう考えても合わない。
    普通にいくと、こんなに少ないボリュームで完結するはずがない。
    ということは…というわけである。

    途中から私は、「どの時点で打ち切りが決まったのだろう」という暗いことを考えながら、本作を読み進めた。
    その暗さは、本作のテンションとはおよそつり合わず、しかしまあ、打ち切りが確定していても作品の中ではテンションを継続しなければならない、漫画家ってつらいなあ、と。
    合掌。

    • 3
  9. 評価:2.000 2.0

    ループの意義は

    ネタバレ レビューを表示する

    ループもの、というよりは、よくある不倫漫画にループの設定を無理に持ち込んだ、という印象が強かった。
    穿った見方をすれば、「これじゃありきたりだから、ループものでいってみますか?」と編集者から提案でもあったんじゃないか、と思うような作品である。

    そんなとってつけたようなループ設定だから、当然、粗も多く、オーソドックスな「死ぬとループする」という設定に加えて、「死を回避できてもループする」という形なのだが、これがさっぱり機能していない。
    死んでもループ、寝て起きてもループ。
    何か、緊張感がない。
    何普通に寝てんだよ。

    他作品の推薦でアレだが、私が読んだ最高のループものは「サマータイムレンダ」である。
    ループものの傑作をお探しの方は、是非。

    • 13
  10. 評価:3.000 3.0

    先達との比較

    鬼の血を引く者(主人公はこっち側)と、桃太郎の血を引く者の異能バトル漫画。

    小学生の頃だったら楽しく読めたかもしれないけれど、このジャンルは偉大な先達がありすぎて、どうしたって「じゃあジョジョと比べてどうなんだ」とか、「HUNTER×HUNTERと比べてどうなんだ」という話になる。
    そうすると、うーん、ということになる。

    別に懐古趣味に走っているのではなく、最近だと「ダンダダン」のバトルシーンなんかはマジで凄いと思った。
    それと比べても、うーん、である。

    何か突出したものがひとつあれば、あるいは明確に新しいものがあれば、また違うのだろうが、残念ながら私はそれを見出だすことが出来なかった。

    こういう漫画はキャラが立ってナンボなのに、そもそも描き分けが似通っているのも気にかかる。

    • 4

設定により、一部のジャンルや作品が非表示になっています