3.0
ナッシング・トゥ・セイ
タイトルが作品のほぼ全てであり、「出オチ」のような漫画である。
いや、面白かった。
面白かったけど、正直、「これだけ」で引っ張られるのはちょっとしんどかった。
ごめん、何か、何も言うことが思いつかん。
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24位 ?
タイトルが作品のほぼ全てであり、「出オチ」のような漫画である。
いや、面白かった。
面白かったけど、正直、「これだけ」で引っ張られるのはちょっとしんどかった。
ごめん、何か、何も言うことが思いつかん。
私はもう、完全に「もうひとつのディアボロス」として読んだ。
しかし同時に、「ディアボロス」とは明確に別の作品だ、とも感じながら読んだ。
刑事モノであり、裏社会モノであり、バディーモノであり、という多くの作品の枠組みを「ディアボロス」から継承していながら、「同じじゃん」というネガティブな印象を抱かせないところは、なかなか大してものだと思う。
このあたりは、「PO」といういささか風変わりな題材によるだけでなく、「ディアボロス」の二人とは全くことなる主人公二人のキャラクターをパリッと描けている部分が大きいかと思う。
(まあ、主人公二人に関していうと、私は「ディアボロス」の二人の方が好きだったのだが。)
これだけ技量のある作者だから、全然別の作品を描こうと思えば、きっと描けるのだろう。
しかし、思うに、この作者には、明確に描きたい一貫したテーマがあるのではなかろうか。
それは、いささか陳腐な言い方をすれば、人間の光と影、ということになるかと思う。
それを描くのに、表社会と裏社会、というモチーフを「得意技」として用いる、ということなのではなかろうか。
手を替え品を替え、何度も何度でも、同じものを描く。
自分が本当に描きたいものを描き続ける。
小説でも映画でも漫画でも、作品に対するそのようなアプローチというのが私は嫌いではないし、支持したいと思っている。
「見当たり捜査」という地味な警察の捜査を題材にしているだけに、捜査の専門知識の丹念なリサーチに基づく本格派の刑事漫画なのかと思っていた。
全然違った。
ノリとしては完全に異能バトル漫画のそれで、キャラクターは敵も味方もあまりにぶっ飛んでいるというかトチ狂っているというか、これを仮に刑事モノの漫画として読むならば、今どき子どもでも笑ってしまうと思う。
ただ、正直言って、ちょっと面白かった。
ここまで滅茶苦茶に「崩される」と、これはこれでアリかもしれん、という気になったのだ。
何事も中途半端は叩かれるね。
ここまでいっちゃうと、叩く気も失せる。
それはそれで、作品のひとつの方向性として、あっていいのではないか、とは思った。
しかしまあ、案の定、打ち切りである。
残念ながら、それは序盤からわかっていた。
だって、序盤の「これからどんだけバトルがあるんだ」という敵の数と、完結している「話の数」が、どう考えても合わない。
普通にいくと、こんなに少ないボリュームで完結するはずがない。
ということは…というわけである。
途中から私は、「どの時点で打ち切りが決まったのだろう」という暗いことを考えながら、本作を読み進めた。
その暗さは、本作のテンションとはおよそつり合わず、しかしまあ、打ち切りが確定していても作品の中ではテンションを継続しなければならない、漫画家ってつらいなあ、と。
合掌。
ループもの、というよりは、よくある不倫漫画にループの設定を無理に持ち込んだ、という印象が強かった。
穿った見方をすれば、「これじゃありきたりだから、ループものでいってみますか?」と編集者から提案でもあったんじゃないか、と思うような作品である。
そんなとってつけたようなループ設定だから、当然、粗も多く、オーソドックスな「死ぬとループする」という設定に加えて、「死を回避できてもループする」という形なのだが、これがさっぱり機能していない。
死んでもループ、寝て起きてもループ。
何か、緊張感がない。
何普通に寝てんだよ。
他作品の推薦でアレだが、私が読んだ最高のループものは「サマータイムレンダ」である。
ループものの傑作をお探しの方は、是非。
鬼の血を引く者(主人公はこっち側)と、桃太郎の血を引く者の異能バトル漫画。
小学生の頃だったら楽しく読めたかもしれないけれど、このジャンルは偉大な先達がありすぎて、どうしたって「じゃあジョジョと比べてどうなんだ」とか、「HUNTER×HUNTERと比べてどうなんだ」という話になる。
そうすると、うーん、ということになる。
別に懐古趣味に走っているのではなく、最近だと「ダンダダン」のバトルシーンなんかはマジで凄いと思った。
それと比べても、うーん、である。
何か突出したものがひとつあれば、あるいは明確に新しいものがあれば、また違うのだろうが、残念ながら私はそれを見出だすことが出来なかった。
こういう漫画はキャラが立ってナンボなのに、そもそも描き分けが似通っているのも気にかかる。
先に言っておくが、私は本作にムカついているので現在いささか機嫌が悪く、かなり性格の悪いことを書く。
登場人物をわざわざプリンだとかババロアだとかで表現しているのがアイデンティティーなわけでしょう。
離婚というシリアスな物事をゆるい絵で描いてみたよ、と言いたいわけでしょう。
だったらコメディとして機能していなければしょうがないと思うのだが、はっきり言って絶望的につまらない。
こういう系の漫画に対して私が感じることは大体いつも同じだ。
大人はもう少し自分の人生に責任を持て。
夫がクズのような人間だった。
はいはい、気の毒ですよ。
しかしだ、何かを自分の意思で選んで失敗した責任を、全部誰かのせいにして生きてゆけるほど、私たちの人生はイージーモードではない。
例えば、ギャンブルに大金をつぎ込むことを選んで失敗した。
それって、そこまで同情されるか?
「自業自得だ」ってならないか?
結婚なんて、自分の人生を賭けた一種のギャンブルだろう。
誰に強いられたわけでもない、義務でも何でもない、ただ、一人の相手に、自分の人生というチップを賭けて、そして、負けたんだろ。
それが相手だけのせいなのか。
競馬で負けて、責められるべきは馬なのか。
私は何も、全てお前の責任だ、と言いたいわけではない。
人生には不運もある。
だが、運・不運に左右される物事を引き受ける覚悟がなければ結婚なんてすべきではないし、それに敗れたなら、百歩譲って、責任は二人のものであるべきだ。
一方だけを悪者にするのはフェアじゃない。
相手がどんなに酷い人間であってもだ。
繰り返す、そのクズに賭けたのはお前だぞ。
離婚直前、イケメンの医者になっていた初恋の人、じゃなかった、ケーキに出会って…という終盤の展開は冗談抜きで吐き気がした。
ご都合主義だから、ではない。
可哀そうな私にはこれくらいいいことあってもいいわよね、という腐った被害者意識が透けて見えるからだ。
いい加減にしろ。
お前なんか焼きプリンにしてやる。
私のレビューを継続的に読んでくださっている奇特な方がいらっしゃるならば、「こいつ、またデスゲーム系読んでんじゃん、馬鹿じゃねえの?」と思うだろう。
安心して下さい、私自身もそう思う。
さて、本作、絶望的なほどの欠点もないけれど、拾うべき点もあまりに乏しい。
これ系を読み過ぎて、何だか評価基準がわからなくなってきたので、正気を保って評価するために、デスゲーム系が面白くなる条件みたいなものを、今、私なりに考えてみた。
①ゲームそのものの完成度が高い。
これは「ルール設定」の面白さ、と言っていいと思う。
②頭脳戦として練られている。
一見不可能に見える状況を「そう切り抜けるか!」という面白さ。
③予想を裏切る展開。
特に、「安全圏」にいると思われていた人物が死ぬ、とか。
あるいは、ゲームに意外な目的があった、とか。
④キャラが立っている。
先の③も、実はこれがないと成立しない。
デスゲームである以上、死んでもいいキャラしかいなければ、意外であってもどうでもよくなる。
⑤緊張感がある。
これも、④がないと成立しない。
「別にこいつが死んでも」と思われてしまったら、緊張感もクソもない。
そういうのが、本作、一個もない。
逆に、また他作品の推薦で申し訳ないのだけれど、「今際の国のアリス」には、前述の①~⑤の全てがあった。
そういうことなのだ。
まあ、こんな箇条書きで作品が出来上がるほど、創作の世界は甘くはないけれども、何かひとつくらいはあってほしい、とも思う。
「静かに暮らしたい」というタイトルを見て、ジョジョファンであれば真っ先に吉良吉影を思い浮かべるはずなのだが、私も例外ではなく、それで読み始めた。
吉良吉影とは全く違うスズキさんの話だったが、面白かった。
テンポよく、一気に読ませるのにちょうどいい尺の設定にも好感を持った。
女性の殺し屋、それも、色仕掛けではなく、正統派の(?)殺し屋、という時点でリアリティーは著しく欠落の方向へ傾くが、そのハンデを覆すくらい、登場人物たちのキャラがパリッと立っていて、ある程度、一貫性がある。
「ある程度」と書いたのは、冷徹な殺し屋であるはずのスズキさんが少年に肩入れする根拠みたいなものが、いささか薄弱に感じられたからである。
個人的には、スズキさんにはもう少しドライでいてほしかった。
ただまあ、冷血に徹しているつもりでも、不意に情が湧いてしまうのが、人間というものなのかもしれない。
一番好きだったのは、スズキさんの過去のエピソードである。
幼い頃の自分を助けてくれた殺し屋を殺し、あくまで血の通わない殺し屋として生きることを選んだスズキさんの姿には、胸をしめつけられた。
だからこそ、少年に対する執着にもうひとつ、何か欲しかった、という思いは残るものの、トータルとしては、甘みと苦みを適度に抱き合わせた、ハードボイルドとエンターテイメントを同居させた、なかなかの良作だと思う。
評価には迷ったし、決して好きな作品でもなかったのだが、どういったってこの突出した独自性は認めざるを得ない。
今まで読んできた全ての漫画の中で最もレビューが困難な作品のひとつであり、また、これほどレビューとして何かを書くことが無意味な作品も珍しい。
とにかく読んでもらうしかない、という種類の漫画。
読んでどうなるかということについては、何の責任も持てないけれど。
まず、吸血描写が実におぞましく、美しい。
もちろん、画力の高さもあるが、吸血鬼の漫画である以上、絶対にオリジナリティーのあるハイクオリティーな吸血描写を描いてやるんだ、という気合いを感じた。
その心意気やよし。
最初は、吸血が性_交のメタファーになっているのかと思ったが、それにこだわった話でもなく、少年バトル漫画のような趣もあり、ただ、そのいずれもいささか中途半端な印象は受けた。
しかし、作品の骨子は多少ブレながらも、「永遠に生きる存在」としての吸血鬼の悲哀を描く、という点は一貫していた。
ジャンルとして「吸血鬼の漫画」ということで考えれば、それに求められるものは十分に満たした作品だったのではないかと思う。
設定により、一部のジャンルや作品が非表示になっています
新しいパパがどう見ても凶悪すぎる