rokaさんの投稿一覧

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381 - 390件目/全511件
  1. 評価:3.000 3.0

    二つでひとつ

    ポケットモンスターじゃあるまいし、「白・黒同時発売」ってなあ…とも思ったが、まあ、それはいい。

    「黒」が「リング」系のホラー(あくまでオカルトありきのホラー)だったのに対して、「白」はそのオカルトの起源を描いた「エピソードゼロ」的な内容。
    こちらはオカルト的なホラーではなく、「現実」枠内のサスペンス。
    突っ込みどころに溢れているのは、「黒」に勝るとも劣らない。

    個人的には、「白」「黒」どっちから読んでも問題ないと思った。
    時系列を一本道にしてすんなり読みたいならば「白」を先に読むのがいいし、ちょっとモヤモヤを抱えつつ「この呪いの裏にはいったい何が!?」みたいな流れで読みたいならば「黒」を先に、という感じかな。
    まあ、もっともらしく書いたけど、どっちから読んでもそんなに変わらない。
    ただ、あくまで「白」「黒」二つでひとつの漫画、という気はする。

    • 10
  2. 評価:3.000 3.0

    ホラーの勢い

    怨念がらみの「呪いのアプリ」という設定は「リング」、次々に起きる変死は「ファイナルデスティネーション」という洋画をかなり参考にしていると思う。
    まあ、パクリ、とまでは言わないが。

    人を巻き込んで粉砕するエスカレーター、それを目の前で見ながら、直後には少女漫画ばりにときめいているヒロイン、イケメンだけどやってることは完全にストーカーのヒーロー、雑すぎる呪いの引き金(そんなのが引き金だったら即日皆殺しだろ…)など、突っ込みどころはありすぎる気もするが、B級ホラーのお約束ということで、まあ、それはいい。
    それも含めて勢いで読ませる力はそれなりにあったのではないか。

    ちなみに「白」「黒」は、どっちを先に読んでも問題ないと思う。

    • 5
  3. 評価:5.000 5.0

    持つ者、持たざる者

    昔読んだ小説の中で、「何かを持ってる奴はいつ失うかと怯えているし、何も持っていない奴は一生持てないままなんじゃないかと怯えている」という意味のくだりがあった。
    それを、思い出した。

    「お前はいいよな、出来るから」
    「あなたはいいよね、美人だから」
    それは一面でしかなくて、結局、才能のある人もない人も、生きてゆくということは、それほどイージーモードにはなり得ないのだろう。
    みんな、それぞれ何かしらの地獄を抱えて生きているのだろう。
    でも、十代の「僕ら」には、それがわからなかった。
    他人の地獄など見えなくて、自分のことばかりだった。
    そんな時代のワンシーンを次から次へと切り取ってみせたような、なかなか巧みな漫画だと思った。

    • 39
  4. 評価:5.000 5.0

    暴走する妄想、生きるための笑い

    昔の恋人を引きずるのも、やたら妄想が暴走するのも、男性の性分、という勝手なイメージがあったので、まず設定が新鮮だった。

    ああ、「臨死!!江古田ちゃん」の人か、と納得。
    この作者は「明るい自虐」みたいなものの描き方がとても上手で、客観的にはすごく惨めな状況を、ちゃんと笑いに変える。

    でも、本当は笑えない何かを、心の底には、持っている。
    主人公が何気なく漏らした「私はそーゆーのもう終わっちゃってるんで」には、涙が出そうになった。
    私にも、全く同じことを思いながら生きていた頃があった。
    仕事は順調で、毎日がそれなりに楽しくて、周りは「まだ若いじゃん」と笑うけれど、何年も忘れられない恋人がいる、それだけの理由で、「いや、終わっちゃってるんで」と思いながら生きていた、そんな時代が。

    すごく笑えるんだけど、ちょっと切ない。
    この漫画の「笑い」は、どこかで何かを諦めながら、それでも生きてゆくための、必死のあがきみたいに感じるから。
    それって多分、笑い、というものの、ひとつの本質なんじゃないか、と。

    • 10
  5. 評価:5.000 5.0

    見事なスピンオフ

    学生時代、オリジナルの大ファンだった。

    明智警視や剣持警部を主人公にしたスピンオフなら誰でも思いつきそうなものだが、まさか「犯人」を主役にしたコメディとは、目からウロコである。
    その発想がまずよし。

    オリジナルの「金田一少年の事件簿」は、一部を除いて「復讐」という大義名分を掲げた犯人が大半だったこともあり、基本的には、堂々と、凛として、金田一と対峙した人物が多かった。
    それは、漫画のキャラクターとしては格好がつくが、どこか人間らしさを欠いてもいた。
    犯人だって、ビビるし、テンパるし、捕まって「後悔はないわ」なんて、そんなことないんだ、本当は。
    そういう意味では、このコメディの中で描かれた犯人の姿こそが、「リアル」な犯人像である、と言えるかもしれない。

    徹底的に「下らない」体裁をとりつつも、意外にも「犯人」という存在の本質に迫る、見事なスピンオフ。

    • 57
  6. 評価:4.000 4.0

    古きよき王道

    日常への奇妙な侵入者、明らかに邪悪な存在なのに、主人公以外は誰もそのことに気づかず、主人公は周りに信じてもらえず、孤立してゆき…というある種のサスペンスの王道的な展開。

    真新しい話ではないが、漫画としてひとつひとつの恐怖演出が的を射ており、安心して(?)楽しめる怖さである。

    非常に安定感のある、古きよきホラー漫画。

    • 8
  7. 評価:4.000 4.0

    情緒がある

    奇抜な設定とか、あっと驚く展開とか、ハラハラするようなスリルとか、そういうものがあるわけではない。
    しかし、独特の空気感は秀逸で、情緒溢れる、という表現がぴったりくる漫画。
    私が平安時代の人間なら「いとをかし」と言ったことだろう。

    • 4
  8. 評価:4.000 4.0

    生き残り

    一話完結型のオムニバスホラー。
    基本的にはローティーンを対象にした漫画だと思うのだが、意外にきちんとホラーだった。
    もちろん、猟奇的な描写などはないのだが、毎回、甘い結末はほとんどなく、やるなあ、と。

    題材は、いじめや恋の問題という古典的・普遍的なものから、ネットが絡むような現代的な怪談まで様々。
    少女漫画としてのホラーが一大ブームを巻き起こしたのは過去の話で、今やホラー漫画雑誌なんてひとつもない。
    けれど、その歴史の一部は、こんなふうに現代に生き残っているんだな、と思うと、ちょっと感慨深い。

    • 5
  9. 評価:4.000 4.0

    前作に比べて

    基本的な作品のトーンは前作と同じで、相変わらず面白いのだが、一話のエピソードの尺は半分くらいになっており、その点は好みが分かれるかと思う。
    よりサクサク読めるようになったという良さもあるが、そのぶん、キャラクターの掘り下げは浅くなり、重みのあるパンチはなくなった気もする。
    個人的には、「新」ではないバージョンの方が好きである。

    • 4
  10. 評価:4.000 4.0

    本気で怖がれた、あの頃

    嗚呼、もう、懐かしさで心が震える。

    今では、ホラー漫画を読んでも、本気の本気で怖がることなんて出来ない。
    それが出来たのは、子どもだけだ。
    だからこの懐かしさは、過去に触れた作品に対する単純な感慨ではなく、永遠に取り戻せない私自身の恐怖に対する感傷でもある。

    様々な作者によるオムニバスであるがゆえに、なおさら、ホラー漫画雑誌を夢中で怖がれたあの頃が蘇る。

    大人になって、ホラー漫画よりも遥かに恐いものをたくさん知った。
    でも、マジでホラー漫画がトップクラスに恐かった時代も、あったのだ。
    別にそれをいいとも思わない。
    ただ、そんな時代も、あったんだな、と。
    その思いは少しだけ、郷愁に似ている。

    • 5

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