5.0
持つ者、持たざる者
昔読んだ小説の中で、「何かを持ってる奴はいつ失うかと怯えているし、何も持っていない奴は一生持てないままなんじゃないかと怯えている」という意味のくだりがあった。
それを、思い出した。
「お前はいいよな、出来るから」
「あなたはいいよね、美人だから」
それは一面でしかなくて、結局、才能のある人もない人も、生きてゆくということは、それほどイージーモードにはなり得ないのだろう。
みんな、それぞれ何かしらの地獄を抱えて生きているのだろう。
でも、十代の「僕ら」には、それがわからなかった。
他人の地獄など見えなくて、自分のことばかりだった。
そんな時代のワンシーンを次から次へと切り取ってみせたような、なかなか巧みな漫画だと思った。
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僕らは自分のことばかり