rokaさんの投稿一覧

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371 - 380件目/全512件
  1. 評価:4.000 4.0

    それでも、人生は続く

    夫が死んだ。
    ずっと男に寄りかかってきた人生だから、どうしたらいいかわからない。
    そんな主人公は、現代的な価値観から言うと「駄目な女」かもしれないが、私は好感を持った。
    その理由は明確で、自分がどういう人間であるかを、自覚しているからだ。
    弱さとか愚かさというものは、それを自覚した時点で、もう半分くらいは救われているんじゃないかと思う。
    主人公が前に進めたのも、自分がどういうふうに生きてきたか、という事実から逃げなかったことが、出発点だったのではないかと私は思った。

    誰かを愛せることは、素晴らしい。
    でも、残酷なことに、「生きてゆくこと」は、それとはまた別の問題なのだ。
    多分。

    一人の女性が専門的なスキルを身につけることで自立してゆく、という非常に現代的な漫画だけれど、古い価値観を攻撃するようなタッチではなく、「愛は消えたり奪われたりすることもあるけれど、それでも、人生は続くのよ」と優しく諭すような漫画だと思った。
    その優しさが、私はわりに好きであった。

    • 16
  2. 評価:1.000 1.0

    勝手にしやがれ

    恋に落ちるのは簡単だが、愛を続けてゆくには努力が要る、と思う。

    その努力が出来ない、したくない、というならば別れるべきだ。
    別れないなら努力をすべきだ。
    どちらかだ。
    結婚は維持する、でも努力はしたくない、いい大人が、阿呆か。
    成績を上げたい、でも勉強はしたくない、という子どもと同じ、というか、それ以下だ。
    腐った根性で家庭にいながら子どもを育てているぶんだけ、大人の方が罪は重い。

    そんな、無責任を超越したような阿呆だから、「離婚してもいいですか?」なんてふざけたことを言う。
    勝手にしやがれってんだ。
    「はい、いいですよー」って誰に言ってほしいんだ。
    それすら誰かに決めてほしいのか。
    自分の人生の全て、誰かのせいにしたいのか。
    まったく、タイトルからして最低だと思う。
    だったら読まなきゃいいじゃないかって?
    そのとおりだ、私が間違っていた。

    だいたい、どういう読者にどういう感情を起こさせることを意図した漫画なのか。
    「あーわかる、うちの夫もこんな感じ、ほんと、離婚したいよねー」という読者の反応を期待しているのか?
    それを考えると、つくづく気持ちが悪い。
    虫酸が走る。
    漫画を読んでこれほど気分が悪くなったことは、多分ない。

    エッセイ風の描き方だが、どうもフィクションらしい。
    だったらなおさらタチが悪い。
    これがエッセイなら愚かなだけだが、フィクションなら、そこに愚かな読者を釣ろうとするあざとさが加わるからだ。
    そんな商売は、ほとんど邪悪と言ってもいいと思う。

    やだやだ。
    もう忘れよう、この漫画のことは。

    • 67
  3. 評価:4.000 4.0

    流氷の話

    「あの事件」をモチーフにした第一話を読んだときは、印象は悪かった。
    少年の実像に迫るようなリアリティーを感じなかったし、異常な事件を扱ってセンセーショナルな作品にするぜ、というあざとさすら覚えて、気に入らなかった。

    しかし、第四話の「流氷」の話まで読んで、感想が変わった。
    「子どもたちの犯罪」をテーマにしたこの漫画に流れている一貫した悲しみみたいなものに触れた気がした。
    それは、本当は別の未来があり得たかもしれないのに、様々な不運や愚かさから、自らその未来を手放してしまった子どもたちを思っての、悲しみではないかと感じた。

    作品は、そんな子どもたちを擁護するでも非難するでもなく、ただ、見つめている。
    そのスタンスは、嫌いではなかった。

    • 9
  4. 評価:4.000 4.0

    絶妙な「ずれ」

    「青野くん」から飛んできた。

    荒削りではあるけれど、この作者の才能は、はっきり表れていると思う。
    それは、ひとつには、「ずれた」人間を描く巧みさ、ではなかろうか。
    「ぶっ飛んだ」漫画のキャラクター、ではない。
    その「ずれ」は、もっと些細で、微妙なものだ。

    誰かの人格について、あるいは誰かと誰かの関係性について、「何かおかしい」と思うけれど、そのおかしさを、上手く指摘できない、というような、ずれ。
    それを繊細に描くことは、「イカれた」キャラクターを創作するよりも、ずっとさじ加減が難しい気がする。
    そういう、才能なのではないか、と。

    その「ずれ」は、絶妙すぎて、リアルすぎて、はっとするし、ちょっと怖い。
    しかし、そのような「ずれ」は、ある意味では、私たちの誰もが持ち得るものでもあるのだ、と思う。

    素晴らしいのは、そういう「ずれた」人々に対して、作者が漫画の「ネタ」として扱うのではなく、確かな愛情をもって表現しようとしていることだ。
    みんな、どこか、変。
    でも、見方によっては、私たちは皆、そうだ。
    だから、作者の「ずれた」人々への愛情というのは、ほとんど、人間を描くことに対する愛情と、等しいのではないか。
    そうでなければ、こんな漫画は描けないと思う。

    • 22
  5. 評価:5.000 5.0

    胸が壊れそう

    どうしようもなく心を揺さぶられた。
    涙は出なかった。
    ただ、心が痛かった。

    こういう作品だと知っていて読んだ。
    だから、こんなことを言う資格はないのだけれど、「こういう漫画が本当に必要なのか」という考えがよぎってしまった。
    わかっていたくせに。
    作者に申し訳ない。

    もう二度と読まないかもしれない。
    もう一度読んでしまうかもしれない。
    ただ、いずれにせよ、これほど深く感情を切り裂かれた漫画は、私にはあまりない。

    • 18
  6. 評価:3.000 3.0

    裏社会の「軽さ」

    まずまず面白く読んだ。
    ただ、私の悪い癖なのだが、こういう「裏社会モノ」の漫画を読むと、ついつい「闇金ウシジマくん」と比べてしまう。
    そうすると、この漫画は、圧倒的に軽い。
    別にやたらと重苦しく描いてくれとは言わないが、ひりつくような死線をくぐっているはずの登場人物たちの印象が、どうにも軽い。

    彼らが何を守り、何に生き、何に死ぬことを覚悟しているのか。
    私には、それがイマイチ見えなかった。
    それが「軽さ」の正体だと思ったし、その軽さは、私の趣向には合わなかった。

    ただし、それは「よくも悪くも」なので、この軽さゆえに作品を受け入れやすい、という読者であれば、文句なしにノレると思う。

    • 12
  7. 評価:4.000 4.0

    不適合読者

    今さらながら読了。

    期待しすぎたのかもしれない。
    いい作品だとは思ったが、そこまで入り込めなかった。

    その一番の理由は、結構な割合でファンタジーの要素が入っていること。
    ファンタジー自体を否定する気は全くないのだが、この漫画には、どうにもそれが相応しくないような気がしてならなかった。
    私は妙な居心地の悪さみたいなものを感じながら読んだし、その違和感は、最後まで消えなかった。

    あくまで「現実枠」の中に収まる漫画であったなら、評価は変わっていたと思う。
    しかし、それではまるで別の作品になってしまうし、作品の完成度を無視できない以上、相応しくないのは、作品ではなく、読者としての私であるのかもしれない。

    • 11
  8. 評価:4.000 4.0

    酒への愛情

    個人的には「恋する二日酔い」があまりに素晴らしすぎて、こっちはそこまで夢中になれなかった。
    ただ、作者の酒への愛情は、とてもよく伝わってきた。

    酒は、付き合い方を間違えると人生が破綻する足がかりになってしまうけれど、上手に付き合えば、人生を豊かにしてくれる可能性は、間違いなくある。

    「恋する二日酔い」が「酒が特別になる人生の瞬間」を綴った漫画であったとすれば、この作品は、徹底して「ごくありふれた日常の中にある酒の魅力」を描いている。
    特別な時でもなく、特別な相手とでもなく、特別な場所でもなく(チェーン店だもんね)、ただ、仕事帰りに飲む一杯の酒が、どれほど日々を潤してくれることか。
    それに慣れてしまうことなく、深く味わいながら生きることが出来たなら、その酒はきっと、豊かな酒だろう。

    こんなふうに酒に対する愛情を表現できるのは、素敵なことだと思った。

    • 39
  9. 評価:5.000 5.0

    切なさの純度

    めちゃくちゃ面白い。
    「凪」でも感じたけど、この作者は、人間のちょっとした、でも、すごくクリアで、大切で、絶対に無視できない感情みたいなものを、とんでもないくらいリアルに描く。
    その感情が溢れる瞬間を、びびるくらい正確に切り取る。
    凄い。
    どういう才能なんだ。
    いや、ちょっと、言葉に出来ないくらい、本当に凄い。

    それでも、読んでいて浮かぶ気持ちに言葉を与えるならば、平凡だけど、「切ない」ということになると思う。
    ただ、その切なさの純度が、半端じゃない。
    「悲しくて、切ない」とか、「甘く、切ない」とか、「切なくて、やりきれない」とかじゃなく、100%、切ない。
    だからその切なさは、突き抜けて、もう、ただ爽やかだ。

    読んでよかったなあ。
    何だか、足りないものも余計なものも何もなくて、全てが満たされたような気分になった。
    ちょうど、人生の特別な場面で、完璧なビールの一杯を飲み干したときみたいに。

    • 51
  10. 評価:3.000 3.0

    ラストが…

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    一気に読んでしまった。
    読ませるパワーはかなり強いと思う。

    あくまで「大人」のための恋愛漫画。
    自分はそこまでひねくれているつもりもないが、さすがに十代のキラキラした恋愛漫画には、「いや、勘弁して下さい」となってしまう。
    きっと眩し過ぎるのだ、私が汚れてしまったが故に。

    その点、この漫画は、恋愛にまつわる「綺麗事」を徹底的に排除したような作品で、かといって殺伐とすることもなく、気持ちよく読めた。
    そういうバランスというのは、難しいし、貴重である。

    それだけに、ラストは残念だ。
    何というか、「大人」として恋愛することにしっかり向き合う漫画だと思っていたのだけれど、ラストはそれを裏切られたような気がしてしまった。
    もっとも、この漫画は、「おぼつかない恋愛と揺るぎない友情」を描いてもいるわけで、そういう意味では、相応しいラストなのかもしれないのだけれど…。

    • 14

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