rokaさんの投稿一覧

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371 - 380件目/全509件
  1. 評価:4.000 4.0

    絶妙な「ずれ」

    「青野くん」から飛んできた。

    荒削りではあるけれど、この作者の才能は、はっきり表れていると思う。
    それは、ひとつには、「ずれた」人間を描く巧みさ、ではなかろうか。
    「ぶっ飛んだ」漫画のキャラクター、ではない。
    その「ずれ」は、もっと些細で、微妙なものだ。

    誰かの人格について、あるいは誰かと誰かの関係性について、「何かおかしい」と思うけれど、そのおかしさを、上手く指摘できない、というような、ずれ。
    それを繊細に描くことは、「イカれた」キャラクターを創作するよりも、ずっとさじ加減が難しい気がする。
    そういう、才能なのではないか、と。

    その「ずれ」は、絶妙すぎて、リアルすぎて、はっとするし、ちょっと怖い。
    しかし、そのような「ずれ」は、ある意味では、私たちの誰もが持ち得るものでもあるのだ、と思う。

    素晴らしいのは、そういう「ずれた」人々に対して、作者が漫画の「ネタ」として扱うのではなく、確かな愛情をもって表現しようとしていることだ。
    みんな、どこか、変。
    でも、見方によっては、私たちは皆、そうだ。
    だから、作者の「ずれた」人々への愛情というのは、ほとんど、人間を描くことに対する愛情と、等しいのではないか。
    そうでなければ、こんな漫画は描けないと思う。

    • 22
  2. 評価:5.000 5.0

    胸が壊れそう

    どうしようもなく心を揺さぶられた。
    涙は出なかった。
    ただ、心が痛かった。

    こういう作品だと知っていて読んだ。
    だから、こんなことを言う資格はないのだけれど、「こういう漫画が本当に必要なのか」という考えがよぎってしまった。
    わかっていたくせに。
    作者に申し訳ない。

    もう二度と読まないかもしれない。
    もう一度読んでしまうかもしれない。
    ただ、いずれにせよ、これほど深く感情を切り裂かれた漫画は、私にはあまりない。

    • 18
  3. 評価:3.000 3.0

    裏社会の「軽さ」

    まずまず面白く読んだ。
    ただ、私の悪い癖なのだが、こういう「裏社会モノ」の漫画を読むと、ついつい「闇金ウシジマくん」と比べてしまう。
    そうすると、この漫画は、圧倒的に軽い。
    別にやたらと重苦しく描いてくれとは言わないが、ひりつくような死線をくぐっているはずの登場人物たちの印象が、どうにも軽い。

    彼らが何を守り、何に生き、何に死ぬことを覚悟しているのか。
    私には、それがイマイチ見えなかった。
    それが「軽さ」の正体だと思ったし、その軽さは、私の趣向には合わなかった。

    ただし、それは「よくも悪くも」なので、この軽さゆえに作品を受け入れやすい、という読者であれば、文句なしにノレると思う。

    • 12
  4. 評価:4.000 4.0

    不適合読者

    今さらながら読了。

    期待しすぎたのかもしれない。
    いい作品だとは思ったが、そこまで入り込めなかった。

    その一番の理由は、結構な割合でファンタジーの要素が入っていること。
    ファンタジー自体を否定する気は全くないのだが、この漫画には、どうにもそれが相応しくないような気がしてならなかった。
    私は妙な居心地の悪さみたいなものを感じながら読んだし、その違和感は、最後まで消えなかった。

    あくまで「現実枠」の中に収まる漫画であったなら、評価は変わっていたと思う。
    しかし、それではまるで別の作品になってしまうし、作品の完成度を無視できない以上、相応しくないのは、作品ではなく、読者としての私であるのかもしれない。

    • 11
  5. 評価:4.000 4.0

    酒への愛情

    個人的には「恋する二日酔い」があまりに素晴らしすぎて、こっちはそこまで夢中になれなかった。
    ただ、作者の酒への愛情は、とてもよく伝わってきた。

    酒は、付き合い方を間違えると人生が破綻する足がかりになってしまうけれど、上手に付き合えば、人生を豊かにしてくれる可能性は、間違いなくある。

    「恋する二日酔い」が「酒が特別になる人生の瞬間」を綴った漫画であったとすれば、この作品は、徹底して「ごくありふれた日常の中にある酒の魅力」を描いている。
    特別な時でもなく、特別な相手とでもなく、特別な場所でもなく(チェーン店だもんね)、ただ、仕事帰りに飲む一杯の酒が、どれほど日々を潤してくれることか。
    それに慣れてしまうことなく、深く味わいながら生きることが出来たなら、その酒はきっと、豊かな酒だろう。

    こんなふうに酒に対する愛情を表現できるのは、素敵なことだと思った。

    • 39
  6. 評価:5.000 5.0

    切なさの純度

    めちゃくちゃ面白い。
    「凪」でも感じたけど、この作者は、人間のちょっとした、でも、すごくクリアで、大切で、絶対に無視できない感情みたいなものを、とんでもないくらいリアルに描く。
    その感情が溢れる瞬間を、びびるくらい正確に切り取る。
    凄い。
    どういう才能なんだ。
    いや、ちょっと、言葉に出来ないくらい、本当に凄い。

    それでも、読んでいて浮かぶ気持ちに言葉を与えるならば、平凡だけど、「切ない」ということになると思う。
    ただ、その切なさの純度が、半端じゃない。
    「悲しくて、切ない」とか、「甘く、切ない」とか、「切なくて、やりきれない」とかじゃなく、100%、切ない。
    だからその切なさは、突き抜けて、もう、ただ爽やかだ。

    読んでよかったなあ。
    何だか、足りないものも余計なものも何もなくて、全てが満たされたような気分になった。
    ちょうど、人生の特別な場面で、完璧なビールの一杯を飲み干したときみたいに。

    • 51
  7. 評価:3.000 3.0

    ラストが…

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    一気に読んでしまった。
    読ませるパワーはかなり強いと思う。

    あくまで「大人」のための恋愛漫画。
    自分はそこまでひねくれているつもりもないが、さすがに十代のキラキラした恋愛漫画には、「いや、勘弁して下さい」となってしまう。
    きっと眩し過ぎるのだ、私が汚れてしまったが故に。

    その点、この漫画は、恋愛にまつわる「綺麗事」を徹底的に排除したような作品で、かといって殺伐とすることもなく、気持ちよく読めた。
    そういうバランスというのは、難しいし、貴重である。

    それだけに、ラストは残念だ。
    何というか、「大人」として恋愛することにしっかり向き合う漫画だと思っていたのだけれど、ラストはそれを裏切られたような気がしてしまった。
    もっとも、この漫画は、「おぼつかない恋愛と揺るぎない友情」を描いてもいるわけで、そういう意味では、相応しいラストなのかもしれないのだけれど…。

    • 14
  8. 評価:4.000 4.0

    今どきの私たちは

    今までSNSを題材にした漫画はいくつか読んだが、全てつまらなかった。
    この漫画だけ、例外になった。
    今どきの日常の切り取り方が、丁寧で、ささやかだけどリアルで、好感を持った。

    電子機器が私たちの恋愛に与えた影響なんて、言い出せばきりがなくて、例えば、デートの約束、ケータイで楽勝。
    昔は、中学生の頃なんて、相手の家に電話して、お父さんが出て、震えたりしたものだ。
    文明万歳。
    あー、手軽な現代。

    けれど、そういう手軽さの裏で。

    二度と会えなくなったはずの誰か、例えば昔の恋人が、今、どこにいて、何をしているのか。
    そもそも生きているのか。
    かつての私たちには、それを知る術は、なかった。
    一番よく知っていたはずの誰かが、不意に、自分の人生から消滅する。
    別れる、ってのは、そういうことだった。
    一昔前までは、だ。
    今や、時代は変わった。
    知ろうと思えば、知れてしまうことが、結構ある。
    二度と会えなくなったはずの誰かの姿は、意外と手軽に液晶の向こうにあったりする。

    はたして、手軽になったのか、ややこしくなったのか、その両方なのか。
    その混沌とした電子の波の中を、今どきの私たちは、今日も漂う。
    ときどき、恋とかしながら。
    二度と会えないあの人の名前を、ググったりしながら。

    • 12
  9. 評価:3.000 3.0

    二つでひとつ

    ポケットモンスターじゃあるまいし、「白・黒同時発売」ってなあ…とも思ったが、まあ、それはいい。

    「黒」が「リング」系のホラー(あくまでオカルトありきのホラー)だったのに対して、「白」はそのオカルトの起源を描いた「エピソードゼロ」的な内容。
    こちらはオカルト的なホラーではなく、「現実」枠内のサスペンス。
    突っ込みどころに溢れているのは、「黒」に勝るとも劣らない。

    個人的には、「白」「黒」どっちから読んでも問題ないと思った。
    時系列を一本道にしてすんなり読みたいならば「白」を先に読むのがいいし、ちょっとモヤモヤを抱えつつ「この呪いの裏にはいったい何が!?」みたいな流れで読みたいならば「黒」を先に、という感じかな。
    まあ、もっともらしく書いたけど、どっちから読んでもそんなに変わらない。
    ただ、あくまで「白」「黒」二つでひとつの漫画、という気はする。

    • 9
  10. 評価:3.000 3.0

    ホラーの勢い

    怨念がらみの「呪いのアプリ」という設定は「リング」、次々に起きる変死は「ファイナルデスティネーション」という洋画をかなり参考にしていると思う。
    まあ、パクリ、とまでは言わないが。

    人を巻き込んで粉砕するエスカレーター、それを目の前で見ながら、直後には少女漫画ばりにときめいているヒロイン、イケメンだけどやってることは完全にストーカーのヒーロー、雑すぎる呪いの引き金(そんなのが引き金だったら即日皆殺しだろ…)など、突っ込みどころはありすぎる気もするが、B級ホラーのお約束ということで、まあ、それはいい。
    それも含めて勢いで読ませる力はそれなりにあったのではないか。

    ちなみに「白」「黒」は、どっちを先に読んでも問題ないと思う。

    • 5

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