5.0
生きづらさ、そして、カートのこと
別サイトで読んだ、同じ作者の「センコウガール」が素晴らしくて、この漫画に飛んできた。
女装癖とか同性愛とか、そういうことは多分、作品の本質ではなくて、核心にあるのは一種の生きづらさ、なのではないかと思う。
なりたい自分、なれない自分、求めていたはずの「自分らしさ」すら、見出だしたはずの「本当の自分」すら、いつの間にやら見誤っていた気がする自分、ぐちゃぐちゃに絡まったまま、それでも生きてゆくしかない自分。
そんな若い魂の痛みが、ひりひりするくらいに伝わってきて、胸が痛んだ。
タイトルは明らかにニルヴァーナの「スメルズ・ライク・ティーン・スピリット」をもじっているけれど、カート・コバーンという人もまた、強烈な生きづらさを抱えていた。
瞬く間にロック・スターに成り上がってしまったという現実と、「こんなものになりたかったわけじゃないのに」という無い物ねだりの相克の中で、カートは生き、死んでいった。
そんなカートの姿が、この漫画の登場人物たちにだぶって見えた。
もう少し、書きたいことはあるのだけれど、続きは、「サイドB」で。
- 7
スメルズ ライク グリーン スピリット SIDE-A