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作品レビュー
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311 - 320件目/全498件

  1. 評価:4.000 4.0

    漫画の表現の可能性

    全く好きにはなれなかったし、正直、面白いとも思わなかった。
    しかし、漫画の表現としては、新しさを感じた。

    ただ絵が下手なだけではなく、例えばピカソのような(褒めすぎだけど)「敢えてやっている感」があり、また、その下手さゆえに、奇妙な勢いに溢れていて、繰り返し、好きにはなれないが、無視できないパワーがあった。

    適切な例えかわからないけれど、昔、漫☆画太郎を初めて読んだときに似た衝撃があった。
    (ちなみに漫☆画太郎は好きです。)

    これだけ色々な漫画があり、表現の方法なんて出尽くしたように感じることもある現代だけれど、きっとまだまだ、漫画の表現には可能性があるのだろうと、私はそんなことを考えていた。

    • 4
  2. 評価:3.000 3.0

    狂気の説得力、性急な展開

    ネタバレ レビューを表示する

    養護施設から裕福な家庭に引き取られた二人の少女をめぐるストーリー。

    ホラー映画のパターン的には、こういう話はだいたい「家にやって来る側」が恐怖の存在であることが多い。
    この漫画で言えば、少女が狂っているとか呪われているとかで、引き取った家の人々を恐怖に陥れる、と。
    しかし、この漫画は逆で、少女たちを引き取った夫婦の側がいかれている。
    その点は新鮮に感じられたが、どうにも気になることが、二つ。

    まず、夫婦の狂気にリアリティーを感じない。
    この夫婦の狂気は、簡単に言うと、養護施設から子どもを引き取り、幸福を味わわせた後で、「商売に失敗してやっぱり育てられない」と突っ放すときの、相手の絶望感がたまらないぜ、というものだ。
    私は、これに冷めてしまった。
    そんな狂気、あるかいな、と思ってしまったからだ。
    もちろん、狂気だから、私のような一般ピーポーの理解を超えているのは当然なのだが、作品の中で狂気を描く場合、「理解できないし、意味不明だし、あり得ないけど、あるかも」と思わせるような、一種のバランス感覚が大切であるように思う。
    本作の狂気は、その「あるかも」からあまりに逸脱しているように感じた。

    もうひとつは、展開がはやすぎること。
    二人の少女が裕福で親切そうな夫婦に引き取られ、二人が互いに仲良くなり、閉ざしていた心を開き、家族としてもいい感じになるが、夫婦が「仕事が破綻したから二人のうちどちらかは施設に戻さないと」と話しているのを聞いてしまい(これは二人の仲を裂くための夫婦の芝居で、実際には二人とも施設に送り返す気でいる)、二人は自分の方が残りたいという思いから仲違いするものの、今度は夫婦の真の目的を知り、再び団結して、何と夫婦を殺そうと決意する。
    ここまで、わずか「6話」である。

    はやくない?

    やたら引っ張れとは言わないが、もう少しじっくり丁寧にやってくれよ、という思いは拭えなかった。

    • 10
  3. 評価:5.000 5.0

    ゲゲゲの鬼太郎と私

    「あのとき、あの漫画に出会わなければ、別の人生になっていたはずだ」というような漫画が、人によっては、あると思う。
    私にとってはそれが「ゲゲゲの鬼太郎」である。
    だから、この漫画については、もう好きだとかファンだとか、そういうレベルではない。

    生まれて初めて本気で好きになったものが「妖怪」だった。
    私は幼少期を「妖怪のいる世界」に生き、大学では民俗学を学び、大人になった今でも、どこかに妖怪の影を探しながら暮らしている。
    そういった全てが、「ゲゲゲの鬼太郎」に端を発している。

    世界を作ったから神が崇められるのであれば、私が崇めるべきは水木しげるである。
    彼が、私の世界のかなりの部分を作ったのだ。
    いくら感謝しても足りない。
    しかし、私からは一度も感謝の言葉を伝えられないまま、水木しげるは逝ってしまった。
    それは少しだけ残念だ。
    しかし、水木しげるのことである。
    きっとあの世で妖怪やら霊魂やらと、楽しくやっているに違いない。
    「ゲゲゲの鬼太郎」を読めば、それを信じることが出来るだろう。

    • 8
  4. 評価:5.000 5.0

    受け継がれる精神

    個人的には、ジョジョは4部が一番好きで、3、5、6部が同点で2位、という感じである。
    正直、この(実質)7部は、単行本を買い続けている間は「どうなんだろう」と思っていた。
    しかし、完結してからあらためて一気読みして、印象が変わった。

    「たとえ命は途絶えても、受け継がれる精神がある」というのは、ジョジョ全編を通じての大きなテーマのひとつだと思う。
    実のところ、それが最も色濃く打ち出されているのは、この7部ではないか、と感じたのだった。
    その意味で、やはり本作も、どこまでもジョジョである。

    もちろん、熱いスタンドバトル、豊富すぎるくらいの魅力的なキャラクターたち(敵味方を問わず)も健在で、このあたりはもう、流石と言う他にない。

    • 6
  5. 評価:5.000 5.0

    アイドルとしての岸辺露伴

    私のアイドル、岸辺露伴を主人公に据えたスピンオフ。

    ジョジョの第4部は、ジャンルとしては「サスペンスホラー」に分類されるそうだが、この短編集は、本編以上にサスペンスホラーのテイストを強く感じさせる。
    荒木飛呂彦の、ホラーに対する思い入れ、そして、岸辺露伴に対する思い入れがシャープに炸裂しており、同時に、シリアスだけどコミカル、というジョジョ(特に4部)のトーンが懐かしくもある。

    ジョジョファン、第4部ファン、岸辺露伴ファン、には必読と言って然るべき良作である。
    その全てに該当する私は、大変楽しく読めた。
    何しろもう、岸辺露伴がそこにいるというだけで、大満足であった。

    • 14
  6. 評価:3.000 3.0

    ホラー描写のインパクト

    2話完結でサクッと読める。

    昔、「不幸の手紙」という文化(?)があった。
    「リング」の貞子ちゃんは「呪いのビデオ」で広がっていった。
    時代は変わり、「呪いのチェーンメール」だの何だのあって、最近はSNSである。
    その時代の主流のメディアに乗っかって恐怖が拡散されてゆく、というタイプのホラーは、これからも手を変え品を変え量産され続けるのだろう。
    別にそれに反対するわけでもないけれど、個人的には、ちょっと食傷気味である。

    ただ、本作、ホラー描写のインパクトはなかなかで、ホラー漫画としての「画」の強みを感じる部分はあった。

    • 1
  7. 評価:5.000 5.0

    自然に、自由に

    まさに心が震える傑作短編集。
    切なく微かな震えから、ぐらんぐらんに揺さぶる激しい震えまで、バリエーションも実に豊かである。

    漫画の、あるいは、物語の、定型。
    どうもがいても、どんなに工夫を凝らしても、いつの間にかそこに収まってしまう、というような、定型。
    私たちはどれほどオリジナルであろうとしても、結局、何かに似てしまう。
    別にそれが悪いことでもない。
    しかし、この漫画は、そういう定型から、あまりに自然に自由だと思った。
    定型を拒否するでも斜に構えるでも奇をてらうでもなく、ただ、自然に、私の知るあらゆる定型から逸脱していた。
    きっとこういうのを本物の才能と呼ぶのだろう。
    素晴らしい作品だった。

    • 14
  8. 評価:3.000 3.0

    鳥山石燕ファンとして

    実在した江戸時代の妖怪絵師、「鳥山石燕」をモデルにした「烏山石影」を主人公にした妖怪漫画。

    私は子どもの頃からの妖怪オタクであり、鳥山石燕という人は、私にとってはほとんど神様みたいな存在である。
    現代に「姿」を残している妖怪の大半は、「鳥山石燕」→「水木しげる」という流れで存在していると言っても過言ではないと思う。
    この二人がいなかったなら、妖怪という文化そのものが、既に滅びていたかもしれない。

    そんな鳥山石燕を、漫画のキャラクターとしてどう描くのか。
    大いに興味はあったが、正直、ちょっとがっかりした。
    結局、鳥山石燕という「ブランド」を都合よく利用して、少年漫画的なキャラに仕立て上げている程度に過ぎず、石燕への愛情もリスペクトも、私は感じなかった。

    とまあ、厳しいことを書いてしまったが、全てはひとえに私の鳥山石燕に対する思い入れのせいであり、漫画を単独で見れば、決して酷い代物ではない。

    • 2
  9. 評価:3.000 3.0

    蛇足か否か

    爽やかな恋の一場面を描いた短編集。
    個人的には「花咲くマーブル」が好きだった。

    ただまあ、難しいところなんだけど、正直、「ひとつ手前で終わった方がよかったのでは」という話が目立った。
    読んでもらえばわかるが、「ここで終われば」というところから、ちょっと、続く。
    その「ちょっと」を、蛇足と感じるかどうかで、評価が分かれると思う。
    私は、その「ちょっと」のせいで、余韻というか、魅力的な余白が削がれてしまっているような気がした。

    • 2
  10. 評価:4.000 4.0

    現代の寓話

    この作者は、今、自分が最も注目している漫画家の一人である。
    極めて現代的な観点から、しかも普遍的な角度で、老いや死を描くことの出来る、稀有な作家だと感じる。

    昔話の中では、桃が流れてきて元気な子が生まれるとか、おむすびが穴に落ちて財宝が手に入るとか、老人に唐突なラッキーが訪れて、何だかんだで誠実な老人はハッピーになり、意地悪な人間にはバチが当たる。
    が、現代は(多分、本当は昔もだろうけど)誠実な老人にとっても過酷である。
    夫には先立たれ、子どもには見捨てられ、近隣からは孤立し、家はゴミ屋敷となる。
    そんな老婆に訪れた「不意なラッキー」を描いた作品であり、私は、現代社会におけるひとつの寓話として読んだ。

    また、この作者の漫画には、罪と、罪に対する許し、というテーマが繰り返し出てくる。
    寓話的でありながら、単に「善人は結局めでたしめでたし」というだけの話ではなく、そこには罪という影があり、それが作品に奥行きを与えている。
    清廉潔白ではなく、自らの罪を自覚しているがゆえに、他人の罪に対しても寛容であれる、という本作の主人公の姿は、ひとつの本質かもしれない。

    星をひとつ引いたのは、「よろこびのうた」があまりに圧倒的すぎて、つい比較してしまったせいである。
    そういう意味では、私の評価は、あまりフェアではない。

    • 5
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