5.0
眩しすぎたせい
最初は、物語がどこに向かおうとしているのかがまるで見えなくて、漫画の登場人物たちと同様、私自身、民子に振り回されるばかりで、とっちらかったような印象を受けた。
こりゃ、最後まで読むことはないかな、と。
しかし、読み進めるうちに、強引なくらいのパワーに引き込まれて、抜け出せなくなった。
終盤はもう、涙が止まらなかった。
でも、どういう涙なのか、よくわからなかった。
私は、どんな人間も、何かしらの地獄を抱えて生きているのではないかと思っている。
はたから見たら、恵まれたイージーモードの人生を送っているように見える人でも、誰もが敬う人格者でも、はたして同じ人類なのかと疑いたくなるくらい嫌な奴でも、それは変わらないのではないかと思っている。
民子は、人々が抱えた地獄の一番深いところの闇を、照らすような人物だった。
刹那に、強烈に。
そこには善とか悪とかいう観念はなくて、多分、民子自身の意志とか感情とかもあまり問題ではなくて、ただ、自分の命を燃やして何かを照らすような生き方しか出来ない。
そうすることでしか、自分自身の地獄を照らせない。
私は、民子にそういう印象を持った。
そんな人物に、いかなる漫画の中であれ、出会ったことがなかった。
閃光は、一瞬だ。
それは、悲しむべきことかもしれない。
けれど、例えば花火が一時間光りっぱなしなら、あるいは、蛍が十年生きるなら、あれほど私たちの胸を打つだろうか。
私が流した涙は、あるいは、民子が刹那に放った光が、あまりに眩しすぎたせいなのかもしれなかった。
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センコウガール