rokaさんの投稿一覧

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  1. 評価:5.000 5.0

    ゲゲゲの鬼太郎と私

    「あのとき、あの漫画に出会わなければ、別の人生になっていたはずだ」というような漫画が、人によっては、あると思う。
    私にとってはそれが「ゲゲゲの鬼太郎」である。
    だから、この漫画については、もう好きだとかファンだとか、そういうレベルではない。

    生まれて初めて本気で好きになったものが「妖怪」だった。
    私は幼少期を「妖怪のいる世界」に生き、大学では民俗学を学び、大人になった今でも、どこかに妖怪の影を探しながら暮らしている。
    そういった全てが、「ゲゲゲの鬼太郎」に端を発している。

    世界を作ったから神が崇められるのであれば、私が崇めるべきは水木しげるである。
    彼が、私の世界のかなりの部分を作ったのだ。
    いくら感謝しても足りない。
    しかし、私からは一度も感謝の言葉を伝えられないまま、水木しげるは逝ってしまった。
    それは少しだけ残念だ。
    しかし、水木しげるのことである。
    きっとあの世で妖怪やら霊魂やらと、楽しくやっているに違いない。
    「ゲゲゲの鬼太郎」を読めば、それを信じることが出来るだろう。

    • 13
  2. 評価:5.000 5.0

    受け継がれる精神

    個人的には、ジョジョは4部が一番好きで、3、5、6部が同点で2位、という感じである。
    正直、この(実質)7部は、単行本を買い続けている間は「どうなんだろう」と思っていた。
    しかし、完結してからあらためて一気読みして、印象が変わった。

    「たとえ命は途絶えても、受け継がれる精神がある」というのは、ジョジョ全編を通じての大きなテーマのひとつだと思う。
    実のところ、それが最も色濃く打ち出されているのは、この7部ではないか、と感じたのだった。
    その意味で、やはり本作も、どこまでもジョジョである。

    もちろん、熱いスタンドバトル、豊富すぎるくらいの魅力的なキャラクターたち(敵味方を問わず)も健在で、このあたりはもう、流石と言う他にない。

    • 7
  3. 評価:5.000 5.0

    アイドルとしての岸辺露伴

    私のアイドル、岸辺露伴を主人公に据えたスピンオフ。

    ジョジョの第4部は、ジャンルとしては「サスペンスホラー」に分類されるそうだが、この短編集は、本編以上にサスペンスホラーのテイストを強く感じさせる。
    荒木飛呂彦の、ホラーに対する思い入れ、そして、岸辺露伴に対する思い入れがシャープに炸裂しており、同時に、シリアスだけどコミカル、というジョジョ(特に4部)のトーンが懐かしくもある。

    ジョジョファン、第4部ファン、岸辺露伴ファン、には必読と言って然るべき良作である。
    その全てに該当する私は、大変楽しく読めた。
    何しろもう、岸辺露伴がそこにいるというだけで、大満足であった。

    • 20
  4. 評価:3.000 3.0

    ホラー描写のインパクト

    2話完結でサクッと読める。

    昔、「不幸の手紙」という文化(?)があった。
    「リング」の貞子ちゃんは「呪いのビデオ」で広がっていった。
    時代は変わり、「呪いのチェーンメール」だの何だのあって、最近はSNSである。
    その時代の主流のメディアに乗っかって恐怖が拡散されてゆく、というタイプのホラーは、これからも手を変え品を変え量産され続けるのだろう。
    別にそれに反対するわけでもないけれど、個人的には、ちょっと食傷気味である。

    ただ、本作、ホラー描写のインパクトはなかなかで、ホラー漫画としての「画」の強みを感じる部分はあった。

    • 2
  5. 評価:5.000 5.0

    自然に、自由に

    まさに心が震える傑作短編集。
    切なく微かな震えから、ぐらんぐらんに揺さぶる激しい震えまで、バリエーションも実に豊かである。

    漫画の、あるいは、物語の、定型。
    どうもがいても、どんなに工夫を凝らしても、いつの間にかそこに収まってしまう、というような、定型。
    私たちはどれほどオリジナルであろうとしても、結局、何かに似てしまう。
    別にそれが悪いことでもない。
    しかし、この漫画は、そういう定型から、あまりに自然に自由だと思った。
    定型を拒否するでも斜に構えるでも奇をてらうでもなく、ただ、自然に、私の知るあらゆる定型から逸脱していた。
    きっとこういうのを本物の才能と呼ぶのだろう。
    素晴らしい作品だった。

    • 15
  6. 評価:3.000 3.0

    鳥山石燕ファンとして

    実在した江戸時代の妖怪絵師、「鳥山石燕」をモデルにした「烏山石影」を主人公にした妖怪漫画。

    私は子どもの頃からの妖怪オタクであり、鳥山石燕という人は、私にとってはほとんど神様みたいな存在である。
    現代に「姿」を残している妖怪の大半は、「鳥山石燕」→「水木しげる」という流れで存在していると言っても過言ではないと思う。
    この二人がいなかったなら、妖怪という文化そのものが、既に滅びていたかもしれない。

    そんな鳥山石燕を、漫画のキャラクターとしてどう描くのか。
    大いに興味はあったが、正直、ちょっとがっかりした。
    結局、鳥山石燕という「ブランド」を都合よく利用して、少年漫画的なキャラに仕立て上げている程度に過ぎず、石燕への愛情もリスペクトも、私は感じなかった。

    とまあ、厳しいことを書いてしまったが、全てはひとえに私の鳥山石燕に対する思い入れのせいであり、漫画を単独で見れば、決して酷い代物ではない。

    • 4
  7. 評価:3.000 3.0

    蛇足か否か

    爽やかな恋の一場面を描いた短編集。
    個人的には「花咲くマーブル」が好きだった。

    ただまあ、難しいところなんだけど、正直、「ひとつ手前で終わった方がよかったのでは」という話が目立った。
    読んでもらえばわかるが、「ここで終われば」というところから、ちょっと、続く。
    その「ちょっと」を、蛇足と感じるかどうかで、評価が分かれると思う。
    私は、その「ちょっと」のせいで、余韻というか、魅力的な余白が削がれてしまっているような気がした。

    • 2
  8. 評価:4.000 4.0

    現代の寓話

    この作者は、今、自分が最も注目している漫画家の一人である。
    極めて現代的な観点から、しかも普遍的な角度で、老いや死を描くことの出来る、稀有な作家だと感じる。

    昔話の中では、桃が流れてきて元気な子が生まれるとか、おむすびが穴に落ちて財宝が手に入るとか、老人に唐突なラッキーが訪れて、何だかんだで誠実な老人はハッピーになり、意地悪な人間にはバチが当たる。
    が、現代は(多分、本当は昔もだろうけど)誠実な老人にとっても過酷である。
    夫には先立たれ、子どもには見捨てられ、近隣からは孤立し、家はゴミ屋敷となる。
    そんな老婆に訪れた「不意なラッキー」を描いた作品であり、私は、現代社会におけるひとつの寓話として読んだ。

    また、この作者の漫画には、罪と、罪に対する許し、というテーマが繰り返し出てくる。
    寓話的でありながら、単に「善人は結局めでたしめでたし」というだけの話ではなく、そこには罪という影があり、それが作品に奥行きを与えている。
    清廉潔白ではなく、自らの罪を自覚しているがゆえに、他人の罪に対しても寛容であれる、という本作の主人公の姿は、ひとつの本質かもしれない。

    星をひとつ引いたのは、「よろこびのうた」があまりに圧倒的すぎて、つい比較してしまったせいである。
    そういう意味では、私の評価は、あまりフェアではない。

    • 5
  9. 評価:4.000 4.0

    悲しい欲望

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    世の中にはそれはもう、ありとあらゆる種類の性的嗜好がある。
    私自身は性的には多分ノーマルで、面白くも何ともない人間だが、達成するのが極めて困難な性的嗜好を持って生まれなくて、本当によかったと思いながら生きている。
    だって、例えばだが、相手が未成年じゃないと興奮しないとか、相手を殺さないと満足できないとか、そんな運命のもとに生まれてしまったら、いくら何でも人生がハードモードすぎる。
    あーよかった。

    さて、この漫画の主人公は、自分が殺_されることに対して性的興奮を覚える「オートアサシノフィリア」という嗜好を持っている。
    これはもう、性的嗜好としては最大級に悲劇的なそれであり、ある意味、究極でもある。
    何しろ、その欲求が真に満たされるチャンスは、ただの一度しかないからだ。
    我々は、死んだら終わりですから。

    主人公は、それを達成すべく、私のような一般ピーポーの理解を遥かに超えて、あり得ないレベルの労力を費やし、努力を重ねる。
    それは、単純なものさしではかってしまえば、「異常」の一言で切って捨てられる種類の執着だ。
    だが私は、主人公を軽蔑することも、嫌悪することも、上手く出来なかった。

    誇張抜きで、私は性的嗜好を「運命」だと思っている。
    それは、生活や性格を変えることよりもずっと難しい、というか、ほとんど修正不可能なものだと思う。
    現代の社会生活と相容れない種類の性的欲求は、逃れることも抗うこともかなわない、残酷な足枷だ。
    私は「たまたま」そのような足枷を持たずに生まれ育ったに過ぎない。

    私が主人公に対して感じたのは、違和感や不快感ではなく、自らの欲望に殉じようという潔さと、そんなふうにしか生きられない悲しみだった。

    それだけに、終盤の展開はちょっと残念だった。
    はたから見たらどんなに異様でも不毛でも、主人公を死なせてやりたかった。
    また、女子高生の多重人格という設定は、ちょっとぶっ飛びすぎていて、いささか冷めてしまった。

    • 10
  10. 評価:5.000 5.0

    彼が好きな彼女は、彼女が嫌いな彼女

    私は「ありのままでいい」というメッセージが基本的に嫌いである。
    そんな単純に事が済んでたまるか、と思いながら生きている。
    Mr.Childrenの歌にそんなのがあったけど、コンプレックスだってモチベーションだ。
    けれど、この漫画は、刺さった。

    今のところ(現在12話)、自分のありのままを受け入れられない女の子と、彼女にありのままでいてほしい男の子の、すれ違いの物語として私は読んだ。
    これは、難しい。
    私は、主人公の整形も、故郷からの「脱出」も、理解できるし、支持したい。
    たとえ形式上は逃避に見えたとしても、それは、コンプレックスに押し潰されることなく、人生を切り開くための必死の冒険だったと思うからだ。
    しかし一方で、男の子の気持ちも、痛いくらいにわかってしまった。
    けれど、彼が好きな彼女は、彼女自身が消し去りたい彼女なのだ。
    そんな残酷なことってあるか。
    私にはもう、どうしたらいいのか、さっぱりわからない。
    いったいどうしたら、二人が幸せになれるのか。
    あるいは、そんな道は存在しないのかもしれない。
    いずれにしても、この二人の行く末を、見届けたい。

    また、漫画としては、主人公が夢中になっているプレイボーイの先輩も、どう考えても病んでいる先輩の元恋人も、二人の間に挟まっている印象の悪い醜男も、意外とステレオタイプではなく、みんな何かしらの地獄を抱えていそうというか、なかなか奥行きがありそうで、脇役たちからも目が離せない。

    • 6

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